甘酒の効果がスゴイ!高血圧から認知症まで
発酵食品が健康に良いというのは、よく知られていますね。
そんな発酵食品の中でも、日本人に昔から親しまれてきたのが「甘酒」です。夏バテや疲労回復があるとして活用されてきました。
最近では、その甘酒の効果に注目が集まり、健康を気づかう人たちの間ではブームになっているようです。
そこで、甘酒にはどんな健康効果があるのか?最新の症例や研究結果とともに詳しく紹介します。
目次
甘酒にはどんな効果が?
今回紹介する甘酒は、米こうじから作るノンアルコールの甘酒です。
甘酒には作る材料によって2種類あり、酒かすで作るものと、米こうじで作るものがあります。
- 酒かすから作る甘酒
- 米こうじから作る甘酒
米こうじを原料に作る甘酒には、麹(こうじ)菌の働きによって、酵素やビタミン類がたっぷりと含まれています。
また、発酵されているので、栄養が吸収しやすい状態に分解されていて、身体への吸収が速やかです。
- 麹菌がたっぷり含まれるため、酵素や各種ビタミンを含む栄養素が豊富に含まれる。
- ブドウ糖やビタミンB群、アミノ酸を主成分とする甘酒は、栄養の内容がほとんど点滴と同じ。
- 発酵により吸収しやい状態に分解されているため、消化もよく身体への吸収が早い。
このように、甘酒には栄養素が豊富に含まれていて、まさに栄養の宝庫とも言えます。そのため、様々な症状の改善が期待できます。
甘酒は高血圧を改善する“天然の降圧剤”
米こうじから作る甘酒には、ペプチドが豊富に含まれます。それは、米こうじのタンパク質が分解されて、ペプチドに変化するためです。
ペプチドには、血圧の上昇となる原因と抑える働きがあります。そのため、まさに“天然の降圧剤”ともいうべき物質です。
- 甘酒にはが血圧上昇を抑える「ペプチド」が豊富に含まれる。
甘酒以外にも、高血圧や血管の老化を予防するためには、血管に良い食べ物を積極的に摂ることがおすすめです。
こちらの記事では、血管に良い食べ物とおすすめの食べ方を紹介していますので、参考にして下さい。
甘酒で便秘を改善
甘酒には、植物性乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維が豊富に含まれます。これらは、大腸に届くと善玉菌を作り出すエサとなります。
そのため、腸内の善玉菌が増えて、腸内環境が改善されます。
腸内の善玉菌が増えると、短鎖脂肪酸の一つである「酪酸(らくさん)」が作られます。酪酸は大腸の粘膜を刺激して、腸が便を送り出すためのぜん動運動を促進します。
このような作用によって、便秘の改善効果が期待できるのです。
- 甘酒には植物性乳酸菌、オリゴ糖、食物繊維などの善玉菌のエサとなる栄養素が豊富。
- 腸内に善玉菌が増えて、短鎖脂肪酸の一つ「酪酸」が作られる。
- 酪酸が大腸の粘膜を刺激して、腸のぜん動運動を促進する。
甘酒で血糖値の上昇を抑える
甘酒で善玉菌が増えることで腸内環境が改善することは、血糖値の安定にもつながります。
腸内に悪玉菌が多いと、腸が炎症を起こして糖が吸収されやすくなります。そのため、少量の糖質の摂取でも血糖値の急な上昇につながることがあります。
そのため、甘酒で善玉菌が増えることで、腸の炎症が治まり、急な血糖値の上昇を抑えることが期待できます。
- 善玉菌の増加によって、腸内の炎症が治まる
- 血糖値が下がり過ぎるなど、正常な血糖値を維持できないために、様々な不定愁訴に襲われる病気。
甘酒で腸内環境が改善されることで、腸の粘膜の炎症を修復する短鎖脂肪酸が作られます。
このようにして腸のバリア機能が高まることで、血糖値が調整されます。そのため、機能性低血糖の改善にもつながるのです。
- 腸内環境が改善されることで、腸の粘膜の炎症を抑える短鎖脂肪酸が作られる。
- 腸のバリア機能が高まり、血糖値が調整される。
食事指導と合わせて、朝晩大さじ1杯づつの甘酒を勧めたところ、血糖値が改善して、2種類飲んでいた薬が1種類に減ったというものです。
- 食事指導と合わせて、朝晩大さじ1杯づつの甘酒を摂取。
血糖値が改善して、2種類飲んでいた糖尿病薬が1種類に減った。
真島消化器クリニック院長、真島先生によると、糖尿病の患者さんでは、1日に大さじ2杯までを、空腹時を避けて食後に摂ることが勧められています。
参考書籍:「食べる甘酒のすべてがわかる本」
甘酒で免疫力をアップ
腸内環境が改善されることによって、免疫力もぐんとアップする効果が期待できます。
腸には、体の免疫機能をつかさどる細胞の60〜70%が集中しています。そのため、腸内環境の状態は体の免疫機能に大きく影響してきます。
腸の状態が悪くなると、どんなに優れた栄養素を摂り入れても、体への吸収が悪くなります。そうなると、免疫機能が低下して、体の不調や様々な病気が発症することになります。
腸内環境を左右するのは、腸の中に約500種類、100兆個も棲息している腸内細菌です。
そのため、甘酒で善玉菌が増えて腸内環境が良好になることで、免疫機能のアップにもつながります。
- 善玉菌が増えて腸内環境が改善することで、免疫機能が向上する。
甘酒でダイエットも?!
米こうじで作る甘酒には、自然な甘みがあります。
そのため、砂糖の代わりに甘酒を加えることで、無理なく美味しくダイエット効果が期待できます。
- 自然な甘みと腹持ちの良さで、食欲をコントロールできる。
- 余分な脂肪を排出する効果も高い。
それは、運動を合わせて米こうじの甘酒を摂取するこによって、効果がより高まるというものです。
研究用のラットに米こうじの甘酒を4週間飲ませた結果、脂肪をより効率的に燃焼させることが判明しました。
これは、米こうじの甘酒を摂取することで、筋肉にある脂肪を燃焼させる酵素の活性が高まることが作用したものと考えられます。
- 甘酒を摂取することで、筋肉にある脂肪を燃焼させる酵素の活性が高まる。
これは、群馬県安中市の公立碓氷(うすい)病院で、慢性腎臓病で脂質異常症を併発している患者さんを対象に行われたものです。
慢性腎臓病になると、脂質異常症を併発して中性脂肪が上がりやすくなります。そのため、毎日、米こうじの甘酒をボトル1本分を飲むことを3ヶ月間続けて、中性脂肪値の変化を調べました。
その結果、14名中11名の患者さんで、中性脂肪値が平均で12、9%低下したということです。
- 毎日、米こうじの甘酒をボトル1本分を飲むことを3ヶ月間続ける。
14名中11名の患者さんで、中性脂肪値が平均で12、9%低下した。
参考書籍:「食べる甘酒のすべてがわかる本」
甘酒の美容効果
甘酒は、健康効果だけではなく、美容にも効果が多いに期待できます。
コラーゲンといえば美容効果の高い成分で知らていますね。甘酒には、このコラーゲンの材料となるアミノ酸の一種「システイン」や、「ビオチン」というビタミンが豊富に含まれています。
コラーゲンは、抜け毛や薄毛予防にも効果的な栄養成分です。
また、甘酒には美肌には欠かせないビタミンB群も豊富です。その上、肌の保湿に欠かせない「アミノ酸」が、吸収されやすい形で含まれています。
更に注目したいのが、アミノ酸の一種「エルゴチオネイン」が含まれることです。エルゴチオネインは、ビタミンEの7千倍の抗酸化力を持つと言われている、最強の抗酸化物質です。
- 美肌に欠かせない「ビタミンB群」が豊富
- 肌の保湿に欠かせない「アミノ酸」が吸収されやすい形で含まれている
- コラーゲンの材料となる「システイン」「ビオチン」も豊富
- 最強の抗酸化物質「エルゴチオネイン」が含まれる
甘酒で眼精疲労も改善
甘酒は、眼精疲労や目の充血の改善にも有効です。
それは、「システイン」というアミノ酸が含まれているので、傷ついた網膜の修復効果が期待できるためです。
また、目の粘膜の健康維持に欠かせない「ビタミンB2」も豊富です。そのため、疲れ目やドライアイの改善にも役立ちます。
- ビタミンB2が豊富
- アミノ酸「システイン」も豊富
甘酒は認知症にも効く?
腸内環境が改善されることで、脳の活性化や認知機能の向上効果も期待できます。
甘酒には、飲む点滴と言われるほど栄養価が高いです。そのため、甘酒を常食することによって、栄養状態が改善して、認知機能の向上が期待できるということです。
実際に、認知症特有の症状が改善されたケースがあります。それは、症状の重い認知症患者さんに、米こうじの甘酒を継続して摂取してもらったところ、便秘や下痢、食欲の改善とともに、夜間の興奮状態の改善効果があったというものです。(桑島内科医院副院長 桑島靖子先生)
桑島内科医院副院長、桑島靖子先生は、医学的に生甘酒の検証を続ける第一人者でもあります。
甘酒は、高齢で風邪などの病み上がりで食欲がない人や、要介護の人にも最適な食べ物だということです。
参考書籍:「食べる甘酒のすべてがわかる本」
健康効果が期待できる甘酒
今回紹介している甘酒の効果については、米こうじで作られた甘酒を対象としたものです。
市販されているほとんどの甘酒は、加熱殺菌されています。
そのため、熱でビタミンが変成し、有用菌の微生物も死滅してしまい、酵素の効果も期待できません。
甘酒の健康効果を期待するなら、米こうじから甘酒を手作りすることがおすすめです。
米こうじで作る生甘酒
米こうじの甘酒は、米こうじとお湯だけで簡単に作ることができます。
【材料】
- 米こうじ 200g
- お湯(約60度) 400ml
【作り方】
- 炊飯器にほぐした米こうじをお湯(約60度)を入れて混ぜる。
- 炊飯器のフタを開けてふきんをかけ、保温モードで約6時間保温する。
途中で1〜2度混ぜる。 - ほんのり黄色みを帯びて、甘みが出ていたら完成。
※途中で温度が下がったら、フタをして温度を上げて、60度前後に保つようにする。
甘酒の効果的な飲み方
米こうじの甘酒は、常温か冷やして飲みます。60度以上で加熱すると、酵素の活性が失われてしまうので注意しましょう。
- 「温度」
常温もしくは冷やして飲む(60度以上で温めない)
- 朝飲むと、ブドウ糖が脳のエネルギー源となり、シャキッと目覚める
- 飲酒前に飲むことで、悪酔い防止に。
- 食後に飲むと、消化を助ける働きがある。
甘酒を効果的に飲むポイントについては、こちらの記事でも紹介していますので、参考にして下さい。
このように、様々な健康効果や美容にも効果が大いに期待できる甘酒です。早速、明日からでも試してみたくなりますね。
健康維持のためにも是非、米こうじの甘酒を手作りしてみてはいかがでしょう?