動脈硬化を引き起こす3つの原因とは?

血管が衰えることで起こる動脈硬化は、加齢以外にも加速させる原因がある。
血管病は主に動脈で起こります。動脈は収縮と拡張とを繰り返すうちに、次第に弾力を失い、硬くもろくなっていくのです。こうした血管の衰えによって起こる病気が「動脈硬化」です。
血管の衰えはほとんどの場合、加齢と共に起こるものです。しかし、それ以外に年齢とは関係なく動脈硬化を加速させてしまう原因があるのです。
目次
動脈硬化を加速させる3つの原因
動脈硬化は進行すると心筋梗塞や脳卒中を起こす原因となり、突然死をも招く危険性のある怖い病気です。
血管の老化現象である動脈硬化は、加齢と共に少なからず誰にでも起こる症状です。年齢とともに収縮期の血圧が高くなるのはそのためです。
動脈硬化が進行した血管では、動脈壁に色々な物質が溜まって厚くなっています。そのせいで血管内腔が狭くなり、血管壁全体が厚くなります。また、動脈も硬く弾力を失って血流も悪くなるのです。
- 動脈壁が厚くなり、血管内腔が狭くなる
- 血管壁全体が厚くなる
- 動脈が硬く弾力を失う
- 血液の流れが悪くなる
- 高血圧
- 高LDLコレステロール血症
- 高血糖(糖尿病)
高血圧が続くことが動脈硬化の原因に?
高血圧は過剰な塩分摂取などによって起こります。塩分を摂り過ぎることで、体内のミネラルバランスが乱れ、余分な塩分(ナトリウム)を排出しようとして血圧が高くなります。
また、余分に摂り込まれた塩分が血管壁に入り込んで、血管を厚く硬くしてしまいます。こういう状態が続くことによって、血管壁の内皮細胞が傷つき、その隙間から異物が入り込みやすくなります。
そのため、傷ついた血管から異物が侵入して、動脈硬化を引き起こす原因となるのです。
高LDLコレステロールが動脈硬化を起こす
血管壁から入り込む異物の代表ともいえるのが、血液中に増えた悪玉のLDLコレステロールです。
血管壁に入り込んだLDLコレステロールは、活性酸素の攻撃を受けやすく、さらなる悪玉物質となる「酸化LDLコレステロール」に変化します。
そうすると、体の中では免疫機能が働き出します。単球という免疫物質が血液中から血管壁に入り、マクロファージという物質に変わって、悪玉の酸化LDLコレステロールを処理するのです。
この異物を処理したマクロファージが、泡沫細胞(ほうまつさいぼう)に変化して血管壁に溜まっていくことで、アテローム性プラークを作るのです。

泡沫細胞のイメージ
画像:植村内科クリニック
泡沫細胞
血液中のマクロファージ(貪食細胞)が、大量の悪玉コレステロールや脂肪性物質を取り込み、泡状になった細胞。活性酸素を産生するのに加え、アテローム(粥腫)と呼ばれる、中がドロドロした状態のかたまりの元となり、血管の壁に沈着することで、動脈硬化を悪化させる。出展:ヘルスクリニック
これが「アテローム硬化」と呼ばれる血管の老化現象です。プラークが溜まった血管は、弾力性を失い始めて硬くなっていきます。
高血糖も動脈硬化を進行させる原因に?
高血糖が続くと、AGE(終末糖化産物)という悪玉物質が血液中に増えていきます。AGEは、血液中に増えた血糖がたんぱく質と結びつくことで変化してできる悪玉物質です。
AGEが増えると、活性酸素などによって血管を傷つけてしまいます。そして、このAGEが血管壁に侵入することで、アテローム性プラークの中に入り込み、動脈硬化を進行させるのです。
高血糖が続くとAGE(終末糖化産物)が血液中に増え、酸化によって動脈硬化を進行させる。
動脈硬化の予防には血管ケアが重要

日頃の生活習慣の中で、血管をケアするように意識することが大切。
動脈硬化が起こっている血管は、そのまま放置することで重大な血管病を引き起こす危険性が高まります。
血管内にできたプラークが大きくなり、血管は厚く硬くなってもろい状態になるからです。そうなると、血圧の急上昇などによってプラークが破れやすくなります。
プラークが破れると、キズを覆うために血栓ができ、血管内腔がふさがれてしまいます。そのせいで、血流が滞り心筋梗塞や脳梗塞が起こってしまうのです。
動脈硬化の予防や改善には、日頃の血管ケアがとても大切になってきます。
もろく弱くなった血管を元気にするためには、血管の内皮細胞を痛める要因を減らすことが重要です。
そのためには、動脈硬化の原因となる高血圧や高LDLコレステロール血症、高血糖を改善することなのです。
また、これらの要因はすべて日常の生活習慣から引き起こされるものです。肥満やストレス、タバコやお酒の飲み過ぎ、運動不足などが続くことで起こってきます。
動脈硬化を改善するための改善方法については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
血管の老化で起こる動脈硬化は、毎日の悪い生活習慣の積み重ねが原因となって進行していきます。
そのため、日頃から血管に負担をかけない生活を心がけることがとても大切になるのです。