動脈硬化が引き起こす「怖い病気」とは?
日本人が一番恐れている病気は、ガンです。しかし、そのガンよりも実はもっと恐ろしい病気があるのです。それは、動脈硬化が原因の病気です。
日本人の死因は、1位がガンで、その次に脳梗塞や脳出血などの脳卒中、心臓疾患となります。この脳卒中や心臓疾患の原因となるのは、どちらも動脈硬化から起こってくる病気です。
この両方を合わせると、ガンと同等の死因数となります。
日本人の死因数
第1位 | 悪性新生物(腫瘍) | 30.1% |
第2位 | 心疾患 | 15.8% |
第3位 | 脳血管疾患(脳梗塞や脳疾患など) | 10.7% |
第4位 | 肺炎 | 9.8% |
第5位 | 老衰 | 3.4% |
参照:厚生労働省 – 死因順位
上記は、人口の総数に対しての死因を割合で示しています。しかし、中高年以降を対象にして死因を調べてみると、死因の第1位はガンと動脈硬化がほとんど同等の順位です。
日本人の死因で多い「動脈硬化」の怖さ
中高年以降の死因をトータルで見ると、ガンと「心血管病」は同等の数なのです。日本人の約3分の1の人が、心血管病(血管の病気)で亡くなっているということになるのです。
この心血管病の主な原因となるのが「動脈硬化」です。
日本人の約3分の1の人が、心血管病(動脈硬化)で亡くなっている。
ガンは、いったん発症すると治りにくい、治療が苦しいというイメージから、一番恐れられている病気です。しかし、本当はそれ以上に怖いのは「動脈硬化が原因の病気」なのかもしれません。
その理由は、動脈硬化は自覚症状がほとんどありません。そして、ある日突然、激しい発作などを起こして倒れ「命取り」となるのです。
それが、動脈硬化が原因となる脳卒中や心臓疾患です。

腫瘍とは異なり、動脈硬化は突然襲ってくる。
それ以外にも、動脈硬化が進行して起こる「動脈瘤」は、ある日突然それが破裂して死に至る場合があります。
私の父の場合もそうでした(⇒ 詳しくは「このブログを立ち上げたきっかけ」をご覧ください)。
幸いにも、父の場合は後遺症が残ることがなく、無事に手術も成功しました。しかし、このような緊急手術の場合は、後遺症が残る可能性があるのです。
実際に手術の前に、主治医からの説明で「この手術が成功したとしても、下半身不随など他に後遺症が残る可能性もある」というようなことを言われました。
しかし、他に選択の余地はありません。動脈瘤破裂は緊急を要する手術となるため、命を救うことが先決されるからです。
動脈瘤が破裂した場合、致死率が90%、緊急手術したとしても救命率は50%という怖い病気なのです。石原裕次郎や司馬遼太郎などは、この動脈瘤破裂で亡くなった有名人です。
- 手術が成功しても後遺症が残る場合がある。
- 緊急手術となるため、生命の危険性が高い。
病気の怖さを比較するのもおかなしな話ですが、「動脈硬化」の怖さについては、まだまだ知られていないのが現状です。
動脈硬化が「認知症」や「寝たきり」の大きな原因に?!
動脈硬化が原因の病気が、日本人の寿命に大きく関わっていることは前述した通りですが、その怖さはそれだけではありません。
現在の高齢化社会で恐れられいる、「認知症」と「寝たきり」の原因にも、動脈硬化は大きく関係しているのです。

寝たきりや認知症の原因として、脳梗塞などの血管病(動脈硬化)が多い。
認知症(ボケ,老人性痴呆)は、欧米では原因不明のアルツハイマー病による痴呆が多いのですが、日本では、多発性脳梗塞などの脳血管病が原因となる痴呆が多くなっているのです。
また、寝たきりとなる原因で一番多いのが、脳卒中の発作後の障害です。脳卒中の発作は、寝たきりにはならなくても、言語障害や半身不随といった重い後遺症が残ることがあります。
- アルツハイマー病などの認知症。
- 半身不随、言語障害などの後遺症。
原因不明のアルツハイマー病などと違い、動脈硬化はその原因がわかっています。ですので、重い病気を発症する前に予防することは十分に可能なのです。
「命取り」となるような病気になる前に、その原因となるものを改善することが重要になります。
動脈硬化を防ぐにはどうしたらいいか?

他の病気とは異なり、動脈硬化は予防することができる病気。心配する前に、予防に力を入れよう。
動脈硬化は、突然発症するものではありません。高血圧などが原因となって血管が老化し、それが長年にわたって悪化することで起こる病気です。原因は、食生活などを中心とする生活習慣が問題となって発症する場合が多いです。
今から改善してもすぐに治るというものではありませんが、毎日の食事や生活習慣を見直すことが、動脈硬化を防ぐことにつながります。
また、病気になる前にその原因となる生活習慣を改善することで、医療費の節減にも大いに役立ちます。
現在は医療費の高騰が問題になっています。特に高齢者の医療費の占める割合は非常に大きく、これは若い世代の人への負担を大きくすることにもつながるのです。
何種類もの薬を処方され、定期的な通院が必要となる前に、日々の生活習慣を見直すことです。
動脈硬化の原因は、食事を中心とした生活習慣がほとんど。
日頃の食事、習慣を見直すだけで改善する可能性が高い。
それでは、実際に動脈硬化を防ぐためには、どのようなことに注意したらいいのでしょうか?
すぐにでも取り掛かることができ、改善効果の高いものを3つ挙げてみます。
生活習慣の改善で最も優先するべきことは、次の3つです
一つづつ具体的に説明しておきます。
禁煙

タバコは、1本吸うだけでも血圧を上昇させる。
喫煙は、血管を収縮させて酸素不足を起こし、悪玉コレステロールを増大させる作用があります。
※悪玉コレステロール
血管に詰まり、動脈硬化の原因となりやすいコレステロール。
また、喫煙が原因となる病気は動脈硬化だけではありません。肺ガンなど呼吸器のガンがよく知られていますが、それ以外にも心臓や脳の血管障害を引き起こす可能性を高める、大変大きな危険因子となります。
禁酒
飲酒は、直接的には動脈硬化を発症させる原因にはなりません。しかし、過度のアルコール摂取から高血圧、高脂血症、そして動脈硬化への道を辿ることになります。
過度の飲酒
高血圧 > 高脂血症 > 動脈硬化
また、飲酒は肥満の原因にもなります。必ずしも禁止とまでは言いませんが、高脂血症や動脈硬化の危険性がある場合には、禁酒するのが望ましいでしょう。
体重のコントロール
肥満の原因は、食物の過剰摂取や、栄養過多によるエネルギーの摂り過ぎ、運動不足などによるものです。
肥満になると、皮下だけではなく内臓や筋肉、血中にも脂肪やコレステロールが沈着し、蓄積されます。それが、動脈硬化や高脂血症になるのです。
また、高血圧や糖尿病などの発症を促すことにもなります。
この場合の体重コントロールとは、単に外見的に瘦せるとか、体重の数値を落とすことではありません。体重を標準体重に近づけることで、体脂肪率を減らすことが重要になります。
それが、血中トリグリセリドやコレステロールの値を正常範囲内に戻すことになります。
体内の余分な脂肪分を落とすことは、動脈硬化の発症の危険性を遠ざけることに繋がります。そのためには、摂取エネルギーをコントロールして、適度な運動を心がけることが効果的なのです。