動脈硬化を予防するには? – 血管の老化を防ぐポイント
血管の老化で起こる動脈硬化は、進行すると命に関わる重大な病を引き起こすリスクが高まります。
しかし、加齢とともに血管は老化するため、動脈硬化は誰にでも起こる可能性があります。
そこで、動脈硬化を進行させないためにはどうしたらいいのか?予防するためのポイントをご紹介します。
動脈硬化を予防するには?
動脈硬化は血管が老化して進行します。
血中にコレステロールや中性脂肪などが溜まると、血液がドロドロになり、血液がスムーズに流れなくなります。そうすると、血管が詰まったり硬くなったりして、弾力性や柔軟性を失います。
このような状態が、動脈硬化を悪化させます。
血管(動脈)にコレステロールや中性脂肪などが溜まって血管が詰まり、弾力性や柔軟性を失った状態。動脈硬化になると、スムーズに血液が流れなくなり血流が滞る。
高血圧で常に血管に負担がかかっていると、更に動脈硬化が悪化します。
そのため、動脈硬化を予防するには、血圧の上昇などで血管に負荷をかけたり、血管を詰まらせたり硬くなるのを防ぐことです。
動脈硬化を進行させる生活習慣
血管の老化は年齢とともに進むため、誰にでも起こることです。しかし、加齢以外に血管の老化を急速に進行させるものがあります。
その最も大きな要因となるのが、普段の生活習慣にあります。
血管の老化を加速させる原因

タバコ、高血圧、脂質代謝異常、高血糖は、血管の老化を加速させる危険因子。
次に挙げるものは、血管の老化を加速させる危険因子(リスクファクター)になります。
- 喫煙
- 高血圧
- 脂質代謝異常
- 高血糖
それぞれの危険因子がどのように血管へ悪影響を及ぼすのかなど、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
動脈硬化を予防するには、先ずはこれらの要因を改善することが先決となります。
内臓脂肪が動脈硬化を促進させる

内蔵脂肪型肥満を放置していると、動脈硬化になるリスクが30倍以上にもなる。
また、「高血圧」「脂質代謝異常」「高血糖」のすべての原因に関係してくるのが、「内臓脂肪型肥満」です。
内臓脂肪は、腹部の内臓周りにつく脂肪で、中高年の男性によく見られる傾向があります。
最近の研究によると、内臓脂肪が原因で動脈硬化を防ぐ特定のタンパク質が減少することがわかっています。そのため、内蔵脂肪をそのまま放置していると、動脈硬化になるリスクが30倍以上にもなると言われています。
内臓脂肪の蓄積と動脈硬化の関係については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
あなたの血管は大丈夫?
動脈硬化を確認するには、血管の状態で判断することができます。
自分の血管がどの程度老化しているのかは、「血管年齢」を測定することでわかります。
「血管年齢」とは、動脈の硬さや詰まり具合など、動脈硬化の状態を測定して、血管の老化度を示したものです。
血管年齢は、医療機関で行われる検査によって測定されます。
- PWV(脈波伝播速度)検査
脈波(心臓から送り出された血液によって生じる拍動)が、手足に伝わる速度を測定して、動脈の硬化度を割り出す。 - ABI値(足首上腕血圧値)検査
足首と上腕の血圧を測って比較することで、血管の詰まり具合を測定する。
「血管年齢」の測定については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
動脈硬化を予防する食生活とは?

動脈硬化の予防には、原因を取り除くとともに毎日の食生活が重要になる。
動脈硬化を予防するためには、普段の生活習慣で動脈硬化を進行させないことが大切です。
そのためには、先に記した「血管の老化を加速させる危険因子」を取り除くと共に、食生活が重要になります。
「高血圧」「脂質代謝異常」「高血糖」、それに「内臓脂肪型肥満」と全てに影響してくるのが、毎日の食習慣です。
そこで、血管の老化を防いで動脈硬化の予防に効果的な食生活について、ポイントをご紹介します。
悪玉コレステロールを減らす食事
動脈硬化の進行に大きく関係してくるのが、悪玉の「LDLコレステロール」の増加です。
動脈硬化症の初期段階では、血管のプラーク内部にLDLコレステロールが沈着していることがわかっています。
そのため、血中のLDLコレステロールを減少させることが、動脈硬化の予防につながります。
脂質の摂り過ぎや塩分の過剰摂取、食べ過ぎや飲み過ぎなどによる摂取カロリーの増加は、LDLコレステロールを増加させる原因です。
- 脂質を摂り過ぎない
- 塩分の過剰摂取を避ける
- 過食などで摂取カロリーを増やさない
摂取を控えたい「危険な油」

「トランス脂肪酸」は動脈硬化を進行させるため、摂取を控えたい危険な油。
LDLコレステロールを増やさないために、食事で最も注意したいのが“脂質”です。
特に、動脈硬化を進行させるとして摂取を控えたいのが、「トランス脂肪酸」という油です。
トランス脂肪酸の摂取については、「日本動脈硬化学会」でも、LDLコレステロールの増加や、血管内皮機能の障害などにより、動脈硬化性疾患のリスクを増大させる可能性があるとして、摂取を控えるよう促しています。
「トランス脂肪酸」については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
動脈硬化を予防する「良い油」
脂質で気をつけたいのは、「悪い油」を控えることだけではありません。逆に、摂取することで動脈硬化を予防する効果のある「良い油」もあります。
良い油の種類は、「オレイン酸」と「オメガ3系脂肪酸」になります。
一価不飽和脂肪酸の一種である「オレイン酸」と「オメガ3系脂肪酸」には、悪玉のLDLコレステロールを減らし、善玉のHDLコレステロールを増やす作用があります。
「オメガ3系脂肪酸」は、「α-リノレン酸」や「EPA・DHA」になります。特に、青魚に多く含まれる「EPA・DHA」には、動脈の弾力性を保持したり、血小板凝集抑制や血清脂質改善などの効果があります。
そのため、このような「良い油」の摂取は、動脈硬化の進行を防ぐのにとても効果的です。
- オレイン酸
オリーブ油、ナッツ類(アーモンド、くるみ、カシューナッツなど) - α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)
エゴマ油、亜麻仁油、ココナッツオイルなど - EPA・DHA(オメガ3系脂肪酸)
青魚(サバ、イワシ、アジ、サンマ、ブリなど)の魚油に多く含まれる
動脈硬化を予防する食品については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
血管の老化を防ぐ食事

普段から血管を健康にする食べ物を積極的に摂るようにすると、血管の老化を防ぐことにつながる。
また、普段から血管をイキイキと健康にする食べ物を多く摂るようにしていると、血管の老化を防ぐことができます。
血液をサラサラにする効果で知られる「お酢」には、悪玉のLDLコレステロールの酸化や、血管の老化を防いで動脈硬化を予防する働きがあります。
また、「生姜」には、中性脂肪を減らしてLDLコレステロールを減らす作用があり、血管を修復する成分が豊富に含まれています。
更に、お酢と同じく血液サラサラ効果の高い「玉ねぎ」は、血栓を防いで血管の老化を防ぐ有効成分が豊富です。
他にも、スタミナ食など多様な効能で知られる「にんにく」にも、抗酸化作用や血中脂質や血圧の低下作用で、血管の老化を予防する効果が期待できます。
それぞれの血管に良い作用については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
これらの食べ物を、毎日の食事で積極的に摂り入れることで、血管の老化を防ぐことにつながります。食べる順番で動脈硬化を予防
食事の際に、何から先に食べるか順番に気をつけるだけでも、動脈硬化を予防することができます。
肉類などの主食からではなく、野菜から先に食べるようにします。そして、ご飯を最後に食べるようにすることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます。
- 野菜から先に食べる
- 肉類などの主食
- ご飯を最後に食べる
血管を若返らせる方法
加齢を防ぐことはできませんが、老化した血管を修復して元気にすることはできます。
私たちの体には元々、血管を修復したり保護するための機能が備わっています。そのため、これらの体の機能を高めることで、老化して弱った血管を修復して、イキイキと若返らせることができます。
「内皮細胞」の働きを活性化する

血管内皮細胞の働きを活発にすると、「NO (一酸化窒素)」の分泌を促して血管修復機能や保護機能が働く。
血管の老化を予防するためのカギとなるのが、「内皮細胞」の活性化です。
「内皮細胞」の働きが活発になると、「NO (一酸化窒素)」の分泌が良くなり、血管修復機能や保護機能が働きます。
先に述べた「血管の老化を加速させる危険因子」である、「高血圧」「脂質代謝異常」「高血糖」があると、血管の内側にある「内皮細胞」を障害します。
そのため、「内皮細胞」に備わっている血管を守るための“バリア機能”が低下します。
それによって、動脈硬化の進行を速めることになるのです。
血管内皮細胞の働きを活発にして、「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くするには、高血圧や高血糖、脂質異常となる悪い生活習慣を改善することです。
「NO (一酸化窒素)」の分泌が良くなり、血管修復機能や保護機能が働く。
ウォーキングなどの有酸素運動をすると、筋肉から「ブラジキニン」という物質が放出されます。それが血管内皮細胞を活性化させ、「NO」の分泌が促進されるのです。
- 高血圧や高血糖、脂質異常となる悪い生活習慣の改善
- 有酸素運動
「長寿ホルモン」の分泌を増やす

寿ホルモン「アディポネクチン」の分泌を活発にすることで、血管の老化を防いで生活習慣病のリスクを改善できる。
また、私たちの体には“長寿ホルモン”と呼ばれるものがあります。これは善玉ホルモンの一種で、「アディポネクチン」というホルモンです。
「アディポネクチン」には、血管の老化を防いで生活習慣病のリスクを改善するなど、様々な効果があることから、“長寿ホルモン”として注目されています。
- アディポネクチンが正常に分泌されると、血糖値を下げたり血管修復機能が働く。
- 血管の老化を防いで生活習慣病のリスクを改善する。
中でも特に、「アディポネクチン」の分泌を増やすとされるのが、青魚などに含まれる「EPA (エイコサペンタエン酸)」と、大豆製品に含まれる「βコングリシニン」です。
普段の食事で、青魚や大豆製品を多く摂るようにすると、血管を若返らせる“長寿ホルモン”を増やすことができます。
体の機能を高めて、血管を若返らせる効果的な方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
血管の老化は加齢と共に、誰にでも訪れるものです。しかし、日々の食事や生活習慣を見直すことで、その進行を防ぐことはできます。
是非、今の食生活を振り返ってみて、動脈硬化を防ぐためにも、若々しく健康な血管作りを始めてみてはいかがでしょう?