あなたの「減塩方法」は間違ってる?塩の質とミネラル不足
高血圧というと、まず「減塩」を勧められますよね。
そのせいか、巷では「減塩醤油」など「減塩」をアピールした商品が数多く販売されています。テレビCMなどでも「減塩」が取りあげられることが多く、あたかも「減塩」することが「健康」への近道のように思われがちです。
しかし、本当に大事なことは「減塩」ではありません。高血圧になる原因も、正しくは「塩分量」ではなく、「塩分の質」が問題なのです。

「減塩」と聞くと、「塩分を減らせば良い」と思いがち。「塩分の質」も見直そう。
高血圧の本当の敵は「ニセモノの塩」?
高血圧の方は、だいたいが「塩分の摂りすぎ」を指摘されます。
医師からも、極力塩分を控えた食事をするよう「減塩」をアドバイスされるのです。しかし、ここには大きな勘違いがあります。
それは、高血圧の人が本当に控えなければいけないものは、「食塩(精製塩)」だからです。
塩は、「天然塩」「再生塩」「精製塩」に分類されます。一般的に高血圧の人が摂取を控えなければいけないと言われている塩は、「精製塩」です。
精製塩は、「イオン交換膜塩法」という精製方法によって作られた塩で、99.9%以上が塩化ナトリウムです。
イオン交換膜法
電解法の一つで、イオン交換膜と電気分解を用いて塩化ナトリウム水溶液から水酸化ナトリウムを合成する方法である。
出展:Wikipedia「イオン交換膜法」
海水を原料とする天然塩には、約60種ものミネラル分が豊富に含まれているのですが、精製塩の場合は、それらのミネラル分が完全に排除された状態になります。
これだと「塩」ではなく、ただの塩化ナトリウムにすぎません。
このようなミネラルバランスの悪い塩を摂取すると、当然のことながら体内のミネラルバランスは崩れることになります。しかし、現在の日本では、純度99%を超える塩化ナトリウムが「食塩」として定着しているのが現状です。
一般的な精製塩や食卓塩は純粋に近い塩化ナトリウムであって、高純度の化学合成物質ということになります。
- 精製塩は、ミネラル分が排除されている。
- 日本で販売されている塩のほとんどは、純度99.9%以上の塩化ナトリウム。
このような状況の中、高血圧の人は「減塩」するように言われているのです。
しかし、健康のために本当にしなければいけないことは、正しくは「減塩」ではなく、「塩を厳選すること」にあるのです。
加工食品に含まれている塩分に注意
こうして化学合成してつくられた「精製塩」は、安価で安定的に生産が行えることから、大量に生産される加工品や、外食産業などでは多く使われています。
意外なところでは、食パンやうどん、はんぺんなどの練り製品にも、食塩は含まれているのです。うどんやそうめんなどは、製麺の過程で塩分が加えられています。
家庭で使う塩分には気を遣っていても、外食する時や、お惣菜、お弁当などの加工品を買う際には、どうしても見落とされがちです。
よほど素材にこだわったものを提供しているお店でない限り、添加物として「精製塩」が使われていることがほとんどでしょう。
本当の意味で「減塩」するのであれば、このような現状を踏まえた上で、どこのお店で何を買うか?ということにも敏感になる必要があるのではないでしょうか。

本当に減塩したいのなら、どこで何を買うか?も重要。
塩分が過剰に少なくなると高血圧になる人もいる
減塩で血圧低下を示す人の比率と同じくらいに、「血圧上昇を示す人がいる」という調査結果もあります。割合は少ないとはいえ、減塩が危険となる人がいるということも、また事実なのです。
以下は、男女82人の正常血圧者に対して、12週間にわたって減塩実験を行った結果について書かれた文献です。
この文献では、減塩によって、ごく一部の方の血圧が上がった例が報告されています。
減塩で血圧が上がる人もいる
各個人を個別に見ると、血圧が下がる人もいれば、逆に上がる人もいることがわかる。このような減塩に対する血圧応答の現れ方は、子供の場合でも同じである。
ミネラルバランスのとれた「天然塩」が高血圧予防に
塩には海塩、岩塩、湖塩がありますが、元はすべて海水が原料となっています。この海水を原料とした天然塩には、マグネシウムやカルシウムといった、多様なミネラルが豊富に含まれています。
天然塩は精製塩とは異なり、ミネラルバランスが整っているため、身体への負担はほとんどありません。
逆に、天然塩を摂取することで、豊富なミネラルを補えるので、高血圧を予防することにも繋がるのです。天然塩に含まれる豊富なミネラル成分、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄などが、抹消血管を広げ、血圧を下げる効果があるとされています。
高血圧になる原因の一つに、ミネラル不足がありますが、これは塩の質によってミネラル不足が生じているとも考えられます。
天然塩のミネラルは点滴と同じ?
ちなみに医療現場でよく使われている点滴には、塩化ナトリウムが含まれています。
これは血液に直接入ることになります。「減塩」を気にしている人からすると、「血液に直接入れて大丈夫なの?」と思いますよね。
点滴はミネラルバランスが整っているから大丈夫なのです。
海水、羊水、血液、点滴(リンゲル液)のミネラルの組成は極めて似ているのです。そして、体内ではそのミネラルバランスを調節する、優れた機能が備わっています。
ですので、ミネラルバランスの整った天然塩を体に摂り入れることは、健康にもつながるのです。

塩化ナトリウムが入っていても、ミネラルが豊富な点滴には害がない。
「天然塩」と「加工塩」の違いと種類
スーパーや百貨店で売られている塩には、様々な種類があります。産地も日本国内に限らず、海外のものまで広く取り扱われるようになりました。
商品名を見ただけでは、どれが本当に健康にいい塩なのか、選ぶのに困りますよね?
以下に、天然塩の種類と製法を記しますので、参考にしてみてください。
天然塩には、その製法が異なるものがあります。摂れた産地や製法でも味や粒子が違ってきます。
- 完全天日塩
海水を塩田などにより濃縮。加熱を行わずに、太陽光と風だけで数ヶ月かけてじっくりと結晶化させた塩のこと。 - 平釜塩
海水を塩田などで濃縮した後、口の広い平釜で煮詰めたもの。火の力で塩の結晶を取り出す、伝統製法。
以下は、天然塩ではなく「加工塩」となります。
- イオン交換塩加工
原料はイオン交換塩。これを海水などで溶解し、ミネラル分を添加して成分調整を行い、再結晶化した塩のこと。 - 自然海塩加工
輸入した原塩を海水などで溶解し、ニガリなどのミネラル分を添加して成分調整したうえで、再結晶化したもの。
海水からのミネラルをたっぷり含んだ天然塩は、生産するのに手間がかかるため、精製塩よりも値段は高くなります。その分、体に摂り入れられるミネラルバランスは豊富です。病気になって薬代などの医療費がかかることを考えたら、決して高くはないはずです。
しかも、味も辛味のなかにまろやかな甘みや旨みを感じて、美味しいのです。
100%に近い塩化ナトリウムの精製塩だと、ビリビリと舌を刺す、しょっぱさだけで旨味を感じることはありません。
家庭で使う塩を天然塩に変えると、よく料理の味が美味しくなったということを聞きます。それぞれの塩の特徴によって、料理に使い分けたりする人もいます。
特に高血圧の人は、良質な「本物の塩」を摂り入れて「美味しい減塩生活」をしてみてはいかがでしょう?