減塩のための調味料選び – 正しい減塩方法
高血圧の人にとって、食事で最も気をつけているのが「減塩」ではないでしょうか?
しかし、塩分を減らしているつもりでも、実際は減塩できていないケースもあります。
そこで今回は、正しく減塩するために、家庭で主に使う調味料の減塩方法を紹介します。
目次
減塩するための調味料とは?
高血圧の予防や改善のために、食事で最も注意したいのが「塩分の摂り過ぎ」です。
いくら塩分の多い食品を控えていても、濃い味付けや塩分の多い調味料を使っていては、うまく減塩できません。
また、正しい減塩法は、決して塩分を控えることだけではありません。体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出するためには、カリウムを摂ることも必要です。
そこで、家庭で主に使われる調味料で、正しく減塩するためのポイントを紹介したいと思います。
減塩するための正しい「塩」選び
減塩には、塩分の量を減らすことも大切ですが、「塩分の質」が問題になります。
一般的な塩は、「天然塩」「再生塩」「精製塩」に分類されます。そして本来、高血圧の人が摂取を控えなければいけない塩は、「精製塩(食塩)」です。
精製塩はミネラル分が排除されている。「イオン交換膜塩法」という精製方法によって作られた塩で、99.9%以上が塩化ナトリウム。
家庭で調理する時に使う塩を、工業的に作られる「精製塩」ではなく、「天然塩」を使うようにするといいでしょう。
自然乾燥で作られる「天然塩」には、ナトリウムの他にカリウム、マグネシウム、クロムなどのミネラルが豊富に含まれています。そのため、その相互作用で血圧の上昇を緩和する働きがあります。また、栄養バランスもとりやすくなります。
参考:書籍「高血圧をらくらく下げるコツがわかる本」、「高血圧のすべてがわかる本」
減塩が逆効果になるケースも?
また、高血圧の人は減塩を過剰に気にする人もいますが、人によっては減塩が逆効果となるケースもあります。そのため、減塩することで血圧が上がる人もいます。
減塩で血圧低下を示す人の比率と同じくらいに、「血圧上昇を示す人がいる」という調査結果があります。そのため、割合は少ないとはいえ、減塩が逆効果となる人もいます。
男女82人の正常血圧者に対して、12週間にわたって減塩実験を行った結果について書かれた文献がある。この文献では、減塩によって、ごく一部の方の血圧が上がった例が報告されている。
日本海水学会誌「第54巻 塩と健康」 第1号 45-53 (2000)
塩の種類など詳しい内容については、こちらの記事で紹介していますので、参考にして下さい。
減塩しても塩分過剰になることも?!

肥満や糖尿病を併発していると、体内で塩分が過剰になる仕組みがある。
いくら塩分を控えていても、体内の塩分が過剰になるケースもあります。それは、肥満や糖尿病を併発している場合です。
肥満や糖尿病になるとインスリンの働きが悪くなり、血糖値を一定にしようとしてインスリンの分泌が増えます。インスリンは腎臓にも作用しているため、尿細管からナトリウム(塩分)の再吸収を促進する働きがあります。
そのため、肥満や糖尿病の人は食事で塩分摂取を控えていても、インスリンが増加することで体内で塩分が過剰になります。
肥満や糖尿病になると、高血圧になる人が増えるのもこのような原因があるためです。
体内での塩分が過剰になる原因については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
減塩するための「しょう油」の使い方
どの家庭でも常備している調味料といったら、「しょう油」ではないでしょうか?
しょう油には、「薄口」と「濃い口」とがありますが、塩分は「薄口」の方が高いので注意して下さい。
しょう油で減塩するためには、いつも使うしょう油をダシ汁で割った「ダシ割りしょう油」にすると、塩分を減らすことができます。
- しょう油を、昆布やかつお節などでとったダシ汁で2~3倍に薄める。
また、しょう油の変わりに柚子酢を使うのもおすすめです。
柚子には、リモネンやヘスペリジンなどの高血圧や動脈硬化の予防に効果的な成分が含まれています。
柚子の酸味を活かして、柚子の絞り汁を酢として利用するもの。
柚子に含まれる成分、リモネンやヘスペリジン(ビタミンP)には、動脈硬化の改善や高血圧を予防する効果がある。動脈硬化の予防にもとても効果的。
お酢には血圧を下げる豊富な成分が含まれていますので、高血圧の人にはおすすめの調味料です。
お酢の効果については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
実は、「味噌」には減塩効果があった?!
味噌汁は塩分の摂り過ぎになるイメージを持つ方が多いですが、実はそうではありません。味噌汁には“塩分を排出する作用”があります。
味噌に含まれる塩分は、確かに少なくはありませんが、それ以上に余分な塩分を排出する働きがあります。
味噌作りの原料となるのは大豆です。また、味噌汁の主な具材には、豆腐や野菜、わかめなどの海藻類があります。これらには「カリウム」が豊富に含まれています。そのため、体内の余分な塩分(ナトリウム)を尿とともに体外に排出する働きがあります。
味噌汁に野菜や海藻をたっぷり入れて具だくさんにすることで、カリウムの働きで味噌自体の塩分もうまく排出されます。
また、大豆や野菜、海藻類には食物繊維が豊富に含まれています。そのため、「具だくさん味噌汁」にすることで、汁の量は減り、「ナトリウム」と「カリウム・食物繊維」の相殺効果によって、塩分の摂り過ぎを防ぐことができます。
その他にも、大豆の発酵成分や、野菜や海藻類などから豊富に摂れるカリウム、食物繊維の効果で、血圧を下げる効果にも期待ができます。
減塩のための調味料選びの注意点
最近では、手軽にダシや味を付けるための調味料が豊富にあります。しかし、塩分の摂取を控えるためには注意したいことがあります。
それは、市販のダシに含まれる「塩分」です。
一般的に、市販の固形や粉末のダシには、うま味成分として塩分が多く入っています。
これらは「うまみ調味料」として、簡単に料理にうま味をつけることができるため、活用されている方も多いのではないでしょうか?
しかし、実は「うま味」の元となっているのは「L-グルタミン酸ナトリウム」です。そのため、摂り過ぎるとナトリウム過剰で血圧を上げる原因となります。
せっかく他の食材や調味料で減塩していても、このような「うまみ調味料」を頻繁に使っていては、その効果も期待できなくなります。
市販の調味料に含まれる塩分については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
美味しく減塩するために
減塩は薄味になって、味気ない料理となるイメージがありますが、工夫次第で美味しくできる減塩方法もあります。
例えば、煮物を作る時に使うしょう油を、仕上げの最後に入れるようします。そうすることで、塩分が素材の中までしみ込みません。
また、ソースやしょう油をかけて食べる料理には、調味料を小皿に入れて、つけて食べるようにします。そうすると、塩分の摂取量を減らすことができます。
更に、酸味や香辛料の香りを活かして調理することで、塩分を控えても味わい深く美味しく食べることができます。
濃い目の味付けが好みの方は、全ての料理が薄味だと物足りなさを感じることもあるかもしれません。
そんな場合は、メインの一品だけを濃い目の味付けにすると、満足できる食事になるでしょう。
- 煮物は仕上げの最後にしょう油を入れる
- メイン料理など一品だけ濃い目の味付けにする
- 酸味や香辛料の香りを活かす
- 漬け込みや煮物の、タレの量を減らす工夫をする
塩分を控えて美味しく食べる工夫については、こちらの記事で紹介していますので、参考にして下さい。
減塩に関しては、勘違いや間違った思い込みなどがある場合もあります。そのため、正しい知識を身に付けることが、減塩への一番の近道かもしれません。
毎日の食事を美味しく減塩できるよう、工夫してみてはいかがでしょう?