動脈硬化を予防する – 血管年齢を若く保つ方法とは?
高血圧が進行して起こる動脈硬化は、血管の状態が悪くなって発症します。ですので、動脈硬化を防ぐには、血管年齢を若く保つことがとても大切になります。
よく、健康には「血液をサラサラにする」ことが効果的だと言われます。実はそれよりも、血液を運ぶ血管自体が健全かどうかということの方が重要なのです。
血液がサラサラでも血管の状態が悪ければ、その血液をスムーズに循環させることができません。血管の病気「動脈硬化」を防ぐためには、血液を運ぶ「血管力」を上げることがポイントとなります。

「血液サラサラ」と同じくらい「血管年齢」を若く保つことが大切
目次
動脈硬化は血管の衰えが原因となって起こる
動脈硬化は、血管が硬くなるだけではなく、血管の内側が盛り上がり、血液の通り道が狭くなって血流が滞ることです。
その原因には、加齢や高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの危険因子によって、血管の内側の「血管内皮細胞」が障害されることで起こります。傷ついた「血管内皮細胞」のバリア機能が弱まわることで、血管内に異物が侵入しやすくなるのです。
その異物の代表格が「LDLコレステロール」です。これは「悪玉コレステロール」と呼ばれている血液中の脂質の一種で、酸化することで動脈硬化を進行させるのです。
動脈硬化を防ぐためには「血管力」を高める!
生活習慣や喫煙などのリスク要因が加わることで、年齢に関係なく、動脈硬化はどんどん進行していくことになります。そのような状態が続くと、血管が詰まったり切れたりして、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすことになるのです。
最悪の場合には、突然死や寝たきりとなったり、認知症に繋がってしまうこともあります。
このような状態を防ぐためには、血管の状態を良くして、「血管力」を高めることが重要となります。「血管力」が高まると、血管全体がしなやかさを保ち、血管の内壁がなめらかな状態になるので、血液をスムーズに循環させることができるのです。
血管を若返らせる、大切な物質とは?
血管の内壁は「血管内皮細胞」という、薄い細胞の層によって覆われています。
この血管内皮細胞は、血管を守るバリアとしての役割を持っています。そして、そこから「NO (一酸化窒素)」という物質が分泌されることによって、弾力のあるしなやかな血管が維持されています。
この「NO (一酸化窒素)」には、血圧をコントロールしたり、血管についた傷の修復を促したりする機能が備わっているのです。ですので、血管内皮細胞から「NO (一酸化窒素)」がきちんと分泌されることで、血流がよくなり、しなやかで弾力のある血管が維持されて、動脈硬化や高血圧の予防につなるのです。
- 動脈を拡張させる
- 血液の流れをよくする
- 血圧を安定させる
また、悪い生活習慣や生活習慣病によっても、血管内皮細胞が障害を受けることになります。そうすると、「NO」の分泌は少なくなります。「NO」の分泌量が減れば、ますます血管内皮細胞の障害は進むことになり、動脈硬化が促進されるという悪循環に陥ることになるのです。
「血管力」を高める生活習慣とは?
動脈硬化や高血圧の予防につながる「NO」の働きは、それだけではありません。
血管内の炎症やプラーク(コブ)を修復する「血管保護作用」もあるのです。また、血小板が凝縮して血栓(血のかたまり)ができるのを防ぎ、血管が詰まる原因を取り除く働きもあります。
では、この「NO」の分泌を増やすためにはどうしたらいいのでしょう?
それは、食生活や生活習慣を見直すことも大切ですが、最も効果的な方法は、「血行を促進すること」です。
日常生活の中で、少し工夫をすることによって、この「NO」の分泌を促進することができるのです。
- 血行を促進する効果的な方法有酸素運動による筋肉の収縮
有酸素運動によって筋肉を動かすと、酸素や栄養が消費され、それを補うために心拍数を増やして血液を全身の細胞に送り出します。
この時、筋肉からは「ブラジキニン」という物質が放出されて、それが血管内皮細胞を活性化させることで、「NO」の分泌が促進されるのです。
魚は「血管力」を高めるのに効果的な食べ物?
食べ物で「NO」の分泌を促す効果があるのは、青魚などに含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」です。
魚に多く含まれる「EPA (エイコサペンタエン酸)」には、血管内皮細胞の炎症を静め、血管の膜をつくる作用があります。
最近の研究でも、魚が血管に及ぼす効果が明らかになっています。
魚に含まれるEPA が脳卒中のリスクを40〜50%、心筋梗塞のリスクを約20%低下させるという研究結果もあります。
医療機関などでも、治療の一環としてEPA の摂取を勧めたりしているところもあります。魚に多く含まれるEPAの他に、ブルーチーズに含まれているLTP (ラクトトリペプチド)にも、血管内皮細胞の機能を高める作用があることが分かっています。
これには血管拡張作用と、それにともなう降圧作用があるため、血管内皮細胞の改善があると考えられているのです。
- 青魚
EPAが含まれている - ブルーチーズ
LTPが含まれている
「黒にんにく」の血管力を高めるスゴイ成分とは?
魚以外に、血管力を高める食べ物としておすすめなのが「黒にんにく」です。
黒にんにくは、生のニンニクを一定条件の元で長期間、発酵・熟成して作られたものです。この発酵する過程で、ニンニクが本来持っている様々な有効成分が飛躍的に増加することがわかっています。
そのため疲労回復だけではなく、強力に抗酸化作用を高め、免疫力をアップする健康食品として近年注目されているのです。
黒にんにくの優れた効能として、血管拡張作用やコレステロールの低下、血行を促進して血液をサラサラにする作用があります。そのため、高血圧の予防や動脈硬化予防にも効果が期待できます。
黒にんにくの高血圧を予防する効果については、こちらの記事をご覧下さい。
更に、黒にんにくは食べ初めて割りと早い段階で、その効果を実感している人が多いようです。
黒にんにくを実際試している人の感想や評判など、こちらの記事を参考にして下さい。
血管年齢が気になり出した人は、早目の血管ケアをすることで、将来起こるかもしれない血管病を予防することができます。
魚や黒にんにくなど、血管を若返らせる効果の高い食べた物は、積極的に取り入れてみて下さい。
食べる順番を変えるだけで「血管力」が高まる?
食事で食べる順番を変えるだけでも「血管力」を高めることができます。それは「野菜から先に食べて、ごはんを最後に食べる」という順番です。
これは糖尿病の治療にも有効な食事療法として認められています。その理由は、野菜から先に食べることで、食後の血糖値の上昇を抑えることができるためです。

食事の順番は、野菜から先に!これだけでも食後の血糖値の上昇が抑えられる。
「高血糖」も血管にダメージを与える要因となります。
血管を構成しているのはタンパク質(アミノ酸)です。血管壁のタンパク質に、血液中のブドウ糖が結びついて糖化することで、血管の内皮細胞が障害されます。
高血糖状態が続くと、血管を老化させる原因となるのです。
食生活では、血糖値を急上昇させないことに注意する必要があります。
そのためには、主食よりも野菜を先に食べるという順番が有効です。同じものでも、食べる順番を変えるだけで、血糖値の上昇を緩やかにして、血管への負担を避けることができます。
最初に野菜を食べることでお腹が満たされ、最後に食べるごはんの量を少なくすることもできるので、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。
生活習慣の乱れは「血液の質」を悪くする
血管を流れる「血液の質」は、普段の食生活や運動習慣、睡眠やストレスなどによって大きく影響を受けます。
食生活が乱れたり、運動不足・睡眠不足・過度のストレスを受けることなどで、血液中に「脂質」や「ブドウ糖」が増えすぎたり、血圧が上昇したりすることになります。
このような生活習慣の乱れによって「汚れた血液」が、「血管内皮細胞」を傷つけて、「NO 」の分泌を悪くし、動脈硬化を進行させる原因となるのです。

運動不足・睡眠不足・ストレスなど「生活習慣の悪化」が血管年齢を悪化させる。
動脈硬化を防ぐためには、「血管力」を高めると共に、血管内を流れる「血液の質」をきれいに保つような生活習慣を心がけなければいけません。
「血管力」は年齢に関係なく修復できる?!
一旦、硬く狭くなり、もろくなってしまった血管でも、しなやかで詰まりにくい健康な血管に蘇らせることは可能です。それは、これまでの食生活や生活習慣を見直すことです。
実際に、私の父の場合も動脈硬化が進んだ状態で、次の処置(手術)の計画があったところを、約2ヶ月程の期間で血管の状態を改善することができました。
血管には素晴らしい回復能力が備わっています。あなたも是非、この回復力を信じて、明日からの生活を変えてみませんか?