「血管年齢」の測定方法 – 簡単な検査から詳しい検査まで
最近よく、健康関連の本やメディアなどで、「血管年齢」を目にすることが多くなりました。
「血管年齢」が高くなると、重大な病を引き起こすリスクが高まると言われます。
そこで気になるのが、自分の「血管年齢」はどのくらいなのか?ということです。
今回は、「血管年齢」を測定するための簡単な検査から、詳しい検査までをご紹介します。
目次
「血管年齢」を測定する方法は?
「血管年齢」とは、血管の硬さを年齢で表した指標となるものです。
動脈硬化の状態を測定することで、血管壁の硬さや詰まり具合の程度を確認します。
血管年齢の測定は、動脈の硬さや詰まり具合を調べて、血管の老化度を示すもの。
検査で測定された数値を元に、同性で同年齢の人の過去の測定データとを比べて、年齢を割り出したもの。
「血管年齢」を測定する検査
自分の「血管年齢」を知るための検査には、各医療機関で行っている「血管年齢検査」があります。
- 「CAVI(キャビィ)検査」(心臓足首血管指数)
両腕と両足の脈波と血圧を測定して、血管の硬さを調べる検査。
動脈硬化が進行していると数値が高くなり、CAVIの値が9.0以上になると血管年齢が高くなっている。 - 「ABI値(足首上腕血圧値)検査」(足関節上腕血圧比)
足首と上腕の血圧を比較することで、足の動脈の血管の詰まり具合を判定し、閉塞性動脈硬化症の進行程度を割り出す。
ABI値が0.9以下の場合は、症状の有無に関わらず、動脈硬化の進行が疑われる。
また、結果もすぐに出るため、その場で医師からの診断を受けることができます。
「血管年齢検査」は、人間ドックや健康診断のオプション検査としてありますので、気になる方は追加で受けてみるといいでしょう。
自宅でできる「血管年齢」を測る方法

自宅で血圧測定することで、「平均血圧」と「脈圧」がわかるため、血管年齢の指標となる。
血管の老化度を知るための一番身近なバロメーターとなるのが、「血圧」です。
血管が硬く弾力を失った状態になると、収縮期血圧は高くなり、拡張期血圧は低くなります。
そのため、「平均血圧」で動脈硬化の程度を知ることができます。
また、中枢の太い血管に動脈硬化が進行していると、「脈圧」が大きくなります。そのため、収縮期血圧から拡張期血圧を引いた「脈圧」は、血管年齢を表す指標となります。
- 「平均血圧」
平均血圧を割り出して動脈硬化の進行を測る。
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)÷3
健康な人の平均血圧の目安は90くらい。
平均血圧が「110以上」なら要注意 - 「脈圧」
収縮期血圧と拡張期血圧との差が脈圧。
数値が大きくなるほど血管が硬くなっている。また、脈圧は中枢の太い動脈に動脈硬化が進行しているかどうかの指標ともなる。
脈圧=収縮期血圧(上)-拡張期血圧(下)
脈圧のボーダーラインとなる目安が「60未満」。
「65以上」になると、心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが高まる。
健康診断でわかる「血管年齢」

一般の健診で行う血液検査項目、「血圧値」「血糖値」「LDLコレステロール値」を知ることで血管の老過度がわかる。
血管の老化度は、健康診断などの身近な検査値からも確認することができます。
一般の健診で行う血液検査では、「血圧値」、「血糖値」、「LDLコレステロール値」の項目があります。これらの数値が一定以上高くなっていると、血液がドロドロで血管に負担がかかっている状態です。
そのため、血圧や血液検査の数値から、血管の老化度を推測することができます。
詳しくは、こちらの記事の「血管の老化度を確認する方法は?」の章で紹介していますので、参考にして下さい。
血管年齢を詳しく知るためには?
更に近年では、医療機器の開発が進み、血管の老化度を詳細に調べることのできる検査が、急速に普及しています。
中でも、血管の老化度を示す指標となる、「血管病年齢」を知るために有効な検査があります。
- 「 PWV(脈波伝播速度)検査」
脈波(心臓から送り出された血液によって生じる拍動)が、手足に伝わる速度を測定して、動脈の硬化度を割り出す。
動脈硬化が進んでいると血管の弾力性がなくなり、伝播速度が速まりPWV値が高くなる。
PWV値が13.5以上だと動脈硬化が進行している可能性がある。 - 「FMD(血流依存性血管拡張反応)検査」
内皮細胞が放出するNO(一酸化窒素)量を血管拡張の程度から測定して、内皮細胞の機能を判定する。NO量が少ないと、内皮機能の衰えを表す。 - 「頚動脈(けいどうみゃく)エコー検査」
首の動脈の状態を超音波装置で観察して、血管壁の厚さや、プラークや血栓の有無などを画像で判定するもの。全身の動脈硬化の程度を推定できる。
血管年齢は若くても、動脈硬化が進行していることも?!
「血管年齢検査」は、動脈硬化の進行程度を確認するための指標となるものです。
しかし、一般的に普及している「血管年齢検査」では、発見できない動脈硬化もあります。それは、“初期の段階の動脈硬化”です。
初期の動脈硬化の場合、とても軟らかいコブのようなプラークが血管の内壁にできます。その後、時間の経過とともに、プラークが大きくなったり増えたりして、血管壁全体が厚く硬くなっていきます。
CAVI検査などの一般的な「血管年齢検査」では、でき始めの軟らかいプラークは発見されにくく、血管年齢としては過小評価されます。そのため、初期の段階での動脈硬化は発見されにくいのです。
動脈硬化の状態を詳しく調べるには、先に紹介している「血管病年齢」を知る検査が有効になります。
「頚動脈(けいどうみゃく)エコー検査」では、動脈壁を超音波で観察するため、まだ軟らかいプラークもみつけることができます。
健診で「脂質異常症」を指摘されたのに、「血管年齢検査」では問題なかったという場合には、初期の動脈硬化の可能性も考えられます。
特に、「喫煙」や「脂質異常症」などの動脈硬化のリスクが高い場合には、動脈硬化の状態を詳しく調べる検査を受けてみるのがいいかもしれません。
「血管年齢」が高くなる理由
「血管年齢」が高くなる理由には、血管に負担をかけるような生活習慣が大きく影響しています。
- 喫煙
- 暴飲暴食
- 運動不足による肥満
- ストレスの蓄積
そのため、「血管年齢」が高くなっている場合には、これらの要因を取り除くことが重要です。
- 高血圧
- 喫煙
- 脂質代謝異常
- 高血糖
傷ついて老化が進んだ血管も、セルフケアを行うことで強く若返らせることが期待できます。
老化した血管を改善する方法については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
血管の老化は、からだ全体の健康に大きく影響します。また、加齢とともに血管は老化していくものです。
血管の老化が気になりだしたら、先ずは、自分の「血管年齢」を認識することから始めてみましょう。