「血圧が高い」と言われたら?薬を飲む前にすること

「血圧が高い」と診断されたら

定期健診などで「血圧が高いですね」と指摘されると、つい焦ってしまい「薬を飲んで治療しなければいけない」と思う人もいるかもしれません。

しかし、すぐに治療法を決める必要はありません。まずは、本当に薬物治療が必要な高血圧症なのかどうかを判断する必要があります。

もしかしたら、あなたの高血圧は薬物治療に進む前に解決できるかもしれないからです。

計測した血圧値は正しいのか?

血圧は常に変動しています。計る時間帯や心身の状態によっても変わってきます。日中は活動する時間帯となるため、筋肉や脳へたくさん血液を送り届ける必要があります。そのため、血圧が高くなるのが普通です。

血圧は常に変動している
  • 時間帯
  • 体の状態
  • 心の状態(緊張やストレスなど)

また、血圧は自宅で計る場合と、病院などの医療機関で計った時とでは、数値に差が出る場合があります。
医師の前では緊張して血圧が高めに出るという人もいます。そういう人は、普段の測定値を示すために、自宅で測定したものを医師に見てもらうようにすると良いでしょう。

他にも、体調や精神状態によっても血圧は一時的に高く出る場合があります。

血圧が一時的に上がる原因

  • 睡眠不足
  • 過労
  • 不安やストレスを抱えている
  • 興奮した状態
  • 重い荷物を持った時
  • 寒さを感じる時
  • エアコンで体が冷えている時

見ての通り、日常生活の中では血圧を上げる要素がいくつもあるものです。
仕事のストレスや過労、睡眠不足、夫婦喧嘩や家庭内でのもめ事があっても、血圧は一時的に高くなります。

すぐに解決できない問題を抱えている場合など、2~3ヶ月くらい様子を見るといいかもしれません。
正しい血圧を測定するためには、ゆったりと平穏な精神状態で、特に活発に動いた後でない状態で計測することです。

一時的な血圧上昇は「高血圧症」ではない?

疑問

一回測った血圧が高かったからと言って、高血圧症と決めつけるのは早過ぎるかもしれない。

一時的に血圧が上がっていたからと言って、高血圧症と判断するのには早すぎます。しかし、一時的に血圧が上がる状態が何度も続くのは良くありません。
それが慢性的になることで、高血圧症を招くことにもなりかねません。

ストレスや緊張などが長く続く場合、途中で深呼吸などをして、心身をリラックスさせるよう気をつけましょう。
深呼吸は血圧を下げる効果があります。複式呼吸で深呼吸を数回から10回程度すると良いでしょう。特に吐く息を長くすると効果的です。

高血圧症かどうかの基準は?

血圧が正常か高いのかを判断するのは、何が基準になっているのでしょう?

それは、WHO(世界保健機関)やISH(国際高血圧学会)、またJNC(米国高血圧合同委員会)が発表している、血圧区分や高血圧病期別分類などのガイドラインが診断基準となります。

国際的なガイドラインの改定は行われていますが、高血圧の診断基準は、「収縮期140/拡張期90mmHg以上」となっています。

高血圧の診断基準

  • 収縮期(最大血圧=上の血圧):140mmHg 以上
  • 拡張期(最低血圧=下の血圧): 90mmHg以上

※実際の診断は、医師の判断に任せ、独断で判断しないこと。

日本での高血圧症の診断と治療については、国際基準をベースにして、患者さん個々の状況や病状に応じて、医師が最終的に判断をするシステムとなっています。

高血圧かどうか詳しく調べるには?

医療機関や家庭で血圧を測って、130/85mmHg以上だったら、内科の病院で詳しい検査を受ける必要があります。大きな病院ではなくても、小さな町の医院でも、高血圧の治療のために必要な検査は行っています。

病院を受診する際には、気をつけることがあります。
食後すぐに検査を受けると、血糖値血清脂質の検査結果に影響が出ます。病院に行く前3時間は、食事を摂らないようにしましょう。前夜に大量のお酒を飲むのも控えるべきです。

また、時間に余裕がなく診察室に駆け込んだり、受診前に喫煙をすると、血圧が上がって正しい測定ができなくなります。病院で受診する時は、時間に余裕を持って出かけるようにしましょう。

家庭で血圧を測定している場合は、その記録も持参するといいでしょう。

血圧計

普段から家庭で血圧を測っておけば、病院で測った血圧との違いにもすぐに気が付くはず。

高血圧で薬物療法を始めるタイミングは?

高血圧で薬物療法を開始するタイミングは、高血圧のリスクによって、人それぞれ異なります。高血圧と判断されて、すぐに薬物療法を始める必要があるのは、高リスクの高血圧の人です。
それ以外の場合は、ある一定の期間、減塩や減量、運動、喫煙、節酒などの生活習慣の改善を試しみる必要があります。

生活習慣の改善を続けても、血圧が目標値(収縮期140/mmHg 拡張期90mm/Hg未満)にならない場合は、薬物療法を開始することになります。

薬物療法を開始するタイミングの目安は、低リスクの人で初診から3ヶ月後、中等リスクの人で初診から1ヶ月後になります。

高血圧のリスクの分類

   高血圧
血圧以外のリスク要因 軽症
(140〜159/90〜99mmHg)
中等症
(160〜179/100〜109mmHg)
重症
(180/110mmHg以上)
危険因子なし 低リスク 中等リスク 高リスク
糖尿病以外の心血管病の危険因子が1〜2個ある 中等リスク 中等リスク 高リスク
糖尿病、臓器障害、心血管病のいずれか、または3個以上の心血管病の危険因子がある 高リスク 高リスク 高リスク

 

心血管病の危険因子

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 喫煙
  • 脂質代謝異常(高コレステロール血症・高中性脂肪血症・低HDL血症)
  • 微量アルブミン尿
  • 高齢(男性60歳以上、女性65歳以上)
  • 若年発症(50歳以下)の心血管病の家族歴
高血圧で糖尿病を合併していたり、臓器障害・心血管病がある場合は、高リスクと判定されます。
高リスクの場合は、心筋梗塞や脳血管障害をすぐに起こす危険があるため、ただちに降圧薬治療を開始する必要があります。

しかし、薬物療法を始めたからといって、生活習慣の改善はしなくていいわけではありません。日々の食生活や運動は、血圧のコントロールに不可欠なことです。薬物療法を始めても並行して続けていく必要があります。

初期の高血圧症は生活改善で治る場合も?

高血圧が軽症で初期の段階であれば、生活改善で治る場合もあります。

高血圧の原因には、生活習慣に根ざした肥満、塩分の摂り過ぎ、ストレスの蓄積などが考えられます。もし、それらの危険因子によって血圧が上がっている状態であれば、生活を改善することで血圧を下げることができます。

病気の背景にある「悪しき習慣」を改めることで、血圧をコントロールすることは十分に可能なことなのです。

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