血圧が高いとどうなるの?高血圧で起こる危険な病気
血圧は、年齢と共に高くなる傾向があります。
それでは、血圧が高いままだとどうなるのでしょうか?高血圧は重症になるまでほとんど自覚症状がありません。そのため、治療されずに放置されることも多いのです。
高くなった血圧をそのまま放置しておくと、危険な病気を発症することになり、最悪の場合には突然死の危険性も考えられます。
目次
血圧が高いとどうなるの?
血圧は、心臓が収縮して血液を送り出す時に血管壁にかかる圧力「拡張期血圧(上の血圧)」と、逆に、全身から血液が戻ってきて心臓が拡張した時にかかる圧力「収縮期血圧(下の血圧)」があります。
- 「収縮期血圧(上の血圧)」
心臓が収縮して血液を送り出す時に血管壁にかかる圧力 - 「拡張期血圧(下の血圧)」
全身から血液が戻ってきて心臓が拡張した時に血管壁にかかる圧力
- 「心拍出量」
心臓が1回の収縮で送り出す血液の量 - 「抹消血管抵抗」
抹消血管での血液の流れにくさ
血圧が高くなる体の仕組みについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
“血圧が高い”ということは、それだけ血管壁にかかる圧力が強く働いているということです。では、なぜ圧力が強くなるのでしょう?
それは、血管の内壁に異物が張り付き、内腔が狭くなったり、血管を流れる血液がドロドロになって血流が悪くなり、血液がスムーズに流れなくなるためです。
血圧と最も深く関係しているのが「血管」です。血圧が高くなるということは、血管壁が過剰に収縮して、それだけ血管への負担が大きくなっているということなのです。
- 血管内の血液がスムーズに流れなくなっている。
- 血管壁が過剰に収縮して、血管への負担が大きくなっている。
まれに、頭痛やめまい、動悸が起こることがありますが、そのような場合は、高血圧に伴う合併症の症状が起きていることがあるのです。
高血圧に伴う症状については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ご覧下さい。
急な血圧の上昇が起こることも?

日常生活の中で血圧を急上昇させる動作もある。
日常生活の中では、急激に血圧を上昇させることがあります。
過度の緊張状態やストレスが長時間続くと、血圧は上昇することになります。特に、動脈硬化が進んでいると、急激な血圧の変動によって、心筋梗塞や脳梗塞などの危険な発作を起こす危険性もあります。
日常生活の中で血圧を急上昇させる動作については、こちらの記事で紹介していますのでご覧下さい。
高齢者で血圧が高くなっている場合には、特に血圧の変動に注意する必要があります。
高齢者の血圧は、気温の変化や日常生活の様々なことで血圧変動が起きやすく、突然の発作にもつながる場合があるからです。
高齢者の高血圧で気をつけたいことについては、こちらの記事で紹介していますのでご覧下さい。
一般的に血圧は除々にじわじわと高くなっていき、中年期頃に高血圧となるケースが多いです。
しかし、すでに高血圧となっている場合で、ごく短い期間に急速に血圧が上昇する場合があります。
これは、「高血圧緊急症(悪性高血圧)」と言って発症率は少ないですが、非常に血圧が高くなります。そのため、合併症を併発して死に至ることが多い危険な病気です。
このような悪性高血圧は発症率は少ないですが、比較的に若い人に起こる傾向があります。
高い血圧をそのまま放置することで、血圧のコントロールができずに悪化することが原因です。
血圧が高いままだと動脈硬化が進行する!?
健診などで血圧が高くなっていても、ほとんど自覚症状が表れないため、そのまま治療をせずに放置されるケースが多いです。
しかし、血圧が高くなっているということは、それだけ心臓や血管への負担がかかっているということです。そのような状態が長く続くと、血管への負荷がかかり続けることになります。
そのため、高くなった血圧をそのまま放置しておくと、血管の老化が進行して、やがて動脈硬化を起こすことになります。動脈硬化は危険な血管病を起こす最大の原因となります。
動脈硬化は高血圧や加齢によって進行していきます。そして、脳や心臓など体の重要な部分の血管にトラブルが起きて様々な病気を起こす原因となるのです。
動脈硬化は血管の老化現象でもあり、加齢と共に誰にでも起こるものです。
しかし、加齢以外に動脈硬化の進行を急速に速めてしまう原因があります。中でも大きく関係してくるのが「脂質異常症(高脂血症)」です。
脂質異常症は、血液中の中性脂肪(トリグリセライド)やコレステロールなどの脂質が異常に増えて、一定の基準よりも多くなった状態のことです。
血液中の中性脂肪(トリグリセライド)やコレステロールなどの脂質が異常に増えて、一定の基準よりも多くなった状態。
脂質異常症はまさしく“血液がドロドロ”の状態です。このような状態になると、高血圧だけのときよりも動脈硬化の進行を急速に速めてしまうことになります。
また、この他にも運動不足や生活習慣の乱れなどの血管を老化させる原因によって、動脈硬化の進行を速めることになります。
血管の老化を防いで動脈硬化を予防する方法については、こちらの記事で紹介していますのでご覧下さい。
高血圧が続くと起こる“危険な病気”とは?

高血圧が悪化すると、脳梗塞や心筋梗塞、心不全などの危険な病を起こす危険性が高まる。
高血圧が長く続くことで動脈硬化が進行してきます。そして、動脈硬化が起きている場所によっては、脳や心臓、腎臓などの機能へ影響が出てくることになります。
脳への影響が出た場合には、脳動脈瘤や脳梗塞、脳出血などの危険性が高まります。また、心臓への影響が出ると、心筋梗塞や心不全などを起こす危険性もあります。
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 心不全
- 腎不全
- 大動脈瘤
- 大動脈瘤乖離(かいり)
- 大動脈瘤破裂
しかし、高血圧はそのまま放置して悪化することで、ある日突然発作を起こして、最悪の場合にはそのまま急死する場合もあるのです。
若くして急死する原因の多くには、「心筋梗塞」や「大動脈瘤破裂」などの発作があります。これらの病気を起こす原因となっているのが「高血圧」なのです。
危険な高血圧になるタイプなど、こちらの記事で紹介していますのでご覧下さい。
そして、これらの危険な病気を起こすほど高血圧が続いていても、そのほとんどが自覚症状がないのです。そのため、高血圧を悪化させないよう、血圧が高くなってきたらそのまま放置せずに、早めに治療して予防することが大切になります。
高くなった血圧を下げる方法は?
血圧が高くなる原因の多くは生活習慣にあります。
高血圧は生活習慣病のひとつでもあります。運動不足や肥満、喫煙、お酒の飲みすぎ、ストレスや睡眠不足などは、血圧を高くする原因となります。
- 過食と肥満
- 塩分の過剰摂取
- カルシウムやカリウムの摂取不足
- アルコールの過剰摂取
- タバコ
- 運動不足
- 過剰なストレス
- 睡眠不足
悪い生活習慣を改善する
特に血圧に大きく影響があるのが、「タバコ」「過度の飲酒」「肥満」です。
もしこれらの要因がある場合には、それを改善することで血圧を下げる効果が期待できます。
血圧を下げる食事
また、毎日の食生活も血圧に大きな影響を及ぼします。
高血圧というと「塩分の摂り過ぎ」ばかりが大きく取りあげられますが、食事で気をつけることはそれだけではありません。
良質なタンパク質や食物繊維など、栄養バランスのとれた食生活が大切です。
また、脂質やカロリーの摂り過ぎも血圧を高くする要因です。
高血圧を予防するための食事のポイントについて、こちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。
血圧を下げる運動
適度な運動は、糖尿病や肥満を始めとした生活習慣病を予防するのに効果的ですが、高血圧にもとても効果があります。
適度な運動を定期的に行うことで、血圧を下げる効果があることがわかっています。
高血圧に効果的な運動については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧下さい。
他の病気が原因の高血圧
この他に、高血圧には他の病気が原因となって起こる「二次性高血圧症」があります。
「二次性高血圧症」の場合には、原因となっている病気を治療することで高血圧も改善されます。
「二次性高血圧症」については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
血圧を測定する習慣が高血圧予防に
高血圧は悪化して症状が表れる前に予防することが大事です。
そのためにも、日々の血圧を管理してコントロールすることが重要になります。
たまの健診などで血圧を測定するだけではなく、普段の「家庭血圧」を測定することで、高血圧の予防や改善につながるのです。
血圧が高くなり始めたら、まずは家庭での血圧測定を習慣にすることから始めてみて下さい。
生活習慣の改善によって、どれだけ血圧への影響があるのか、その変動を確認することもできます。
また、「家庭血圧」を測定することで、病院の健診などでは発見されにくい、「早朝高血圧」や「仮面高血圧」を発見することもできます。
家庭での血圧測定については、こちらの記事で紹介していますのでご覧下さい。