血圧を下げる食べ物 – チョコレートの効果は?
最近、チョコレートにまつわる健康効果が注目されています。そんな中、実はチョコレートに血圧を下げる効果があると言うのです。
果たして、本当にチョコレートには血圧を下げる効果があるのでしょうか?
目次
チョコレートには血圧を下げる効果がある?

チョコレートには糖質や脂質以外にも、食物繊維やカルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛などの豊富なミネラルが含まれている。
甘いスイーツのイメージが強いチョコレートですが、実は糖質や脂質以外に、食物繊維やカルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛等の豊富なミネラルが含まれているのです。
これは、チョコレートの原料であるカカオに、食物繊維を初めとする豊富なミネラルが含まれているためです。
- 食物繊維
- カルシウム
- マグネシウム
- 鉄分
- 亜鉛
また、チョコレートが持つ滋養強壮や疲労回復などの効果を期待して、昔から「薬」として使われていたようです。
そして、ヨーロッパで行われた実験によると、チョコレートを食べることで血管を広げる作用が期待できることがわかったのです。
基本的に高血圧とは、血管が詰まって細くなることによって、血圧が上昇することで起こります。そのため、チョコレートを食べて血管が拡張されることで、血圧を下げる効果が期待できるのです。
この実験では、カカオポリフェノールを多く含むカカオ分が70%以上の「ビターチョコレート」を摂取することで、高血圧の人の血圧を下げることがわかりました。
チョコレートの「カカオポリフェノール」が血圧を下げる?!
では、具体的にチョコレートに含まれる「カカオポリフェノール」が、どのように働いて血圧を下げるのでしょう?
それは、カカオに含まれるポリフェノールの成分の一つである「エピカテキン」という成分が、 小腸で吸収されると血管を拡張させ、血圧の上昇を抑制する効果があるというものです。
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは、小腸で吸収されて血管の内部に入っていきます。血管の内部に炎症が生じている場合には、その炎症により血管が狭くなり、赤血球が通り抜けにくくなっています。そこに、カカオポリフェノールが作用することで、炎症が軽減されて血管が広くなる効果が期待できるのです。これによって、赤血球が通りやすくなると考えられます。
血管の炎症を軽減して拡張させ、血圧の上昇を抑制する。
しかし、このカカオポリフェノールの効果は、チョコレートの種類によって異なります。
これは、ドイツのケルン大学の研究チームが行った実験で明らかとなりました。それは、ポリフェノールを多く含ビターチョコレートを食べるグループと、ポリフェノールを含まないホワイトチョコレートを食べるグループに分けて、18ヶ月間に渡って行われました。
この実験によると、ホワイトチョコレートやミルクチョコレートには血圧を下げる効果は殆どなく、カカオポリフェノールを多く含むビターチョコレートでないと血圧を下げる効果がないということがわかったのです。
カカオポリフェノールを多く含むカカオ分が70%以上の「ビターチョコレート」でないと血圧を下げる効果は期待できない。
ホワイトチョコレートやミルクチョコレートには血圧を下げる効果は殆どない。
ビターチョコは善玉菌を増やして動脈硬化を改善する?!
また、チョコレートは血圧を下げるだけでなく、血管の柔軟性を高める効果もあることがわかりました。
米ルイジアナ州立大学のマリア・ムーア博士によって、善玉菌のビフィズス菌と乳酸菌が、ココアの成分を健康物質に変えることが発見されました。
ココアの含有量が70パーセント以上のビターチョコには、抗酸化成分である多量のポリフェノールのほか、カテキンやエピカテキン、食物繊維などの成分が多く含まれています。
これらの成分は、もともと消化吸収されにくいものですが、腸内でビターチョコが善玉菌のエサとなって処理されます。その結果、善玉菌が増殖して消化機能を促進させるのです。
またそれだけではなく、ココアに含まれる食物繊維が善玉菌によって腸内で発酵し、ポリフェノール高分子は抗炎症作用を持つ小さな分子に分解されます。そのため、体内に吸収されやすくなるのです。
抗炎症作用を持つ小さな分子が血液に吸収されると、心血管組織の炎症を抑えたり、動脈硬化の予防や改善にも効果が期待できます。
以前では、動脈硬化を起こすと血管は二度と元のような柔軟性を取り戻さないと言われていました。しかし、今では血管の動脈硬化はある程度改善することがわかっています。
そのため、ビターチョコを食べることで、高血圧や脳卒中の予防だけではなく、動脈硬化を改善して心筋梗塞の予防にも効果が期待できるのです。
- ポリフェノール、カテキン、エピカテキン、食物繊維などの成分によって、善玉菌が増殖して消化機能を促進させる。
- 心血管組織の炎症を抑えたり、動脈硬化の予防や改善にも効果が期待できる。
しかし、腸内細菌が悪玉菌の方が多い場合、ビターチョコだけを食べていても効果が得ることができません。その場合は、善玉菌となるビフィズス菌や乳酸菌を含むものと一緒に、ビターチョコを食べることが有効となります。
血圧が高めの人ほど、チョコレート効果が出やすい?!
このチョコレートによる血圧への効果を実証した研究が、蒲郡で行われました。その研究では、カカオポリフェノールが多いビターチョコレートを4週間摂取して、血圧の変化を確認しました。
それによると、高血圧群(最高血圧140mmHg以上あるいは最低血圧90mmHg以上)と、正常血圧群(最高血圧140mmHg未満かつ最低血圧90mmHg未満)に分けて、それぞれチョコレート摂取前後の最高血圧の変化をみました。
その結果、高血圧群の人の方が、正常血圧の人よりも、血圧の低下量が大きかったのです。
これによって、チョコレートの効果は正常血圧の人は変化が小さく、高血圧の人ほど血圧の低下が大きいことがわかりました。
また、ビターチョコを使って食べる量も限定したことで、メタボリック症候群に繋がる、体重やBMI値などの増加はみられないこともわかりました。
腎機能が弱っている人は、チョコレートの食べ過ぎに要注意!
ビターチョコが健康に良いといっても決してカロリーは低くありません。そのため、食べ過ぎには注意する必要があります。
沢山食べたからと言って効果が増すわけではありません。1日に1~2かけらを食べるぐらいが適量でしょう。
また、腎機能が低下している場合には注意が必要です。
ビターチョコにはカリウムが多く含まれています。そのため、腎臓が弱っていると高カリウム血症になりやすくなります。高カリウム血症は、体のだるさや手足のしびれ、頭がぼうっとするなどの症状が出ます。
腎機能障害がある人や、腎機能が低下している場合には、チョコレートを食べる際には少量にして、くれぐれも食べ過ぎないように注意しましょう。
日常の食事習慣にチョコレートを食べて健康に
欧米では昔から、日常の食生活の中でチョコレートを楽しむ習慣があります。決して子供のためだけのおやつではなく、大人のための嗜好品という位置づけで種類も豊富にあります。
日本でも最近では、低カロリーのものや、ポリフェノールを多く含むチョコレートが販売されています。高血圧の予防や改善のためには、カカオポリフェノールを多く含むビターチョコを、1日に25g程度食べるようにするといいでしょう。
お茶やコーヒーを飲む時や、お酒のおつまみとして、チョコレートを日常の食事習慣の中に取り入れてみるのもいいかもしれませんね。
ビターチョコレートのように、血管を丈夫にしたり修復する作用のある食べ物を、毎日の食生活で積極的に摂り入れるようにするといいでしょう。
毎日の食事に取り入れやすい、身近で血管に良い食べ物について、こちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。
チョコレートのように、おやつとしてではなく健康のために楽しめる食べ物があると、それだけで食生活も豊かに感じるものです。
くれぐれも食べ過ぎには注意して、大人の嗜好品として楽しんでみてはいかがでしょう?