血圧を下げるために効果的な栄養素とは?

血圧を下げるのに効果的な栄養素とは?
血圧を下げるための食事は減塩だけではありません。血圧を下げて動脈硬化を防ぐ栄養素を、できるだけ意識して摂取するようにすることが大切です。
高血圧や動脈硬化の予防に有効で、血圧調整に効果が期待できる栄養素としては、各種のビタミンとミネラル、食物繊維、タンパク質、不飽和脂肪酸などがあります。
中でも、高血圧の人には特に意識して摂取してほしい栄養素をご紹介します。
目次
カリウムは食品から摂れる“自然の降圧薬”

さつま芋にはカリウムが多く含まれている
ミネラルの一種である「カリウム」は、血圧の高い人にとっては強い味方となる栄養素です。
カリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排泄して、血圧を下げる作用があります。
またそれだけではなく、昇圧物質であるカテコールアミンやアンジオテンシンなどの分泌や働きを抑えて、血圧の上昇を予防する働きもあるのです。ですので、カリウムはいわば食品から摂取できる“自然の降圧薬”とも言えます。
カリウムは、食品から摂取できる“自然の降圧薬”
そうすることで、高血圧と動脈硬化などの合併症を予防することにも繋がります。
カリウムの1日の摂取量の目安は?
カリウムの摂取量には特に決まりはありませんが、塩分摂取量の3分の1程度を目安にすると良いでしょう。
1日の塩分量が8〜10g程の場合なら、カリウムの摂取量はその3分の1の3〜4g程度となります。この量のカリウムを摂るためには、野菜なら300g、果物では200g、イモ類や豆類で100gの量が目安となります。
カリウムが豊富な食品とその含有量
食品名 | 目安量 | 含まれるカリウム |
さつまいも(焼き) | 中1個(約200g) | 980mg |
バナナ | 1本(約120g) | 468mg |
和牛もも(脂身なし) | 1切れ(約120g) | 420mg |
アボガド | 1/2個(約250g) | 360mg |
牛乳 | 200g | 300mg |
大豆(ゆで) | 50g | 285mg |
小豆(ゆで) | 50g | 230mg |
あじの開き(焼き) | 中1尾(約60g) | 240mg |
枝豆(ゆで) | 15さや(約40g) | 228mg |
ほうれん草(ゆで) | 50g | 225mg |
普段の食事で塩分摂取量が多い人ほど、カリウムを多く含む食品を多く摂るようにして、余分なナトリウムを排泄することが望ましいです。
ただし、腎臓の機能が悪い人は注意が必要です。カリウムを過剰に摂り過ぎることで「高カリウム血症」になり、かえって血圧の上昇を招くこともあるからです。
腎臓が悪い人は、医師と相談しながら食事の目安を考えるようにしましょう。
血圧を調整する「カルシウム」の働き

カルシウムには血圧の安定と調整作用がある
カルシウムといえば、骨や歯を強くするというイメージが強いですよね。しかし、カルシウムの働きはそれだけではありません。心臓や細動脈の収縮に重要な役割を果たし、血圧を調整して安定させる働きがあるのです。
一般的に、高血圧の人の血液中のカルシウム分は低い傾向にあります。逆に、尿中のカルシウム量は多くなっています。これは、何らかの代謝異常によって、必要なカルシウムがどんどん排泄されていることを意味します。
不足しているカルシウムを補うことで、血圧が下がるケースが多くあります。血圧の安定と調整には、カルシウムが一定量必要になるのです。
- 高血圧の人は、カルシウムが体外に排出される傾向にある。
- 血圧の安定と調整には、カルシウムが一定量必要。
また、カルシウムにはカリウムほどではないですが、血圧を下げる作用があることもわかっています。
カルシウムを効率よく吸収するためには、ビタミンD が不可欠となります。ビタミンDが豊富な青魚やきのこ類などと一緒に摂ることで、カルシウムの吸収がよくなります。また、適度な日光浴も効果的です。
カルシウムを豊富に含む食品とその含有量
いわしの丸干し | 中1尾(約60g) | 840mg |
ナチュラルチーズ | 20g | 240mg |
干しエビ | 10g | 230mg |
牛乳 | 200g | 240mg |
木綿豆腐 | 1/2丁(約100g) | 120mg |
ごま | 大さじ1(約10g) | 120mg |
カルシウムの効果には「マグネシウム」が必要

マグネシウムは、精製する前の米や麦などに多く含まれる。
カルシウムを摂取する時には、一定量のマグネシウムも一緒に摂る必要があります。それは、マグネシウムにはカルシウムが血管壁に入るのを阻止する働きがあるからです。
カルシウムには血圧を安定させる働きがありますが、過剰に作用すると血管壁の筋肉が収縮して、血圧を上昇させるおそれがあります。そのため、マグネシウムと一緒に摂ることで、血管収縮作用を抑えることができるのです。
カルシウムが過剰に作用すると、血圧が上昇する
マグネシウムと一緒に摂れば抑制できる
また、プロスタグランディンという物質を増やし、昇圧作用のある交感神経の緊張を緩める働きも期待できます。
しかし、マグネシウムは多く摂取したからといって、血圧が急に下がるわけではありません。マグネシウムの摂取量の目安は、カルシウムの摂取量と2対1くらいの比率で摂るのが理想的です。
マグネシウムは、穀物では精製する前の米や麦に豊富に含まれています。精白や製粉などの加工や調理の過程で、マグネシウムの量は大きく低下するのです。
また、アーモンドやカシューナッツ、ごまなどの種実類や、こんぶやひじきなどの海藻類にもマグネシウムは豊富に含まれています。

アーモンドやカシューナッツ、ごまなどの種実類にはマグネシウムが豊富
マグネシウムを豊富に含む食品とその含有量
玄米ご飯 | 1杯(150g) | 74mg |
甘栗 | 50g | 36mg |
あさり | 175g(正味70g) | 70mg |
カキ(養殖・生) | 5個(正味70g) | 53mg |
納豆 | 1パック(50g) | 50mg |
大豆(乾燥) | 20g | 44mg |
ひじき(乾燥) | 5g | 31mg |
アーモンド | 20g | 54mg |
カシューナッツ | 20g | 48mg |
煎りゴマ | 10g | 36mg |
普段の食生活で血圧を下げるためには、これらのカリウムやカルシウム、マグネシウムを多く含む食品を意識して摂り入れることが大切です。
意識して摂りたい「血管に良い食べ物」

高血圧の改善には血管に良い食べ物を意識して摂るようにする
また、高血圧の改善には血管の老化を防ぐことも重要です。
血管の老化が促進されることで動脈硬化を起こす原因となります。動脈硬化は高血圧となる大きな要因でもあります。
食べ物の中には、血管の老化を防いで若返らせる成分が含まれているものがあります。このような栄養素が豊富に含まれる食べ物を、毎日の食事で積極的に摂るようにするといいでしょう。
血管の老化を防いで修復作用のある食べ物については、こちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。
高血圧の人は特に、毎日の食事を意識することで薬に頼らず血圧を下げる効果が期待できるようになります。
是非、血圧を下げる栄養素や血管に良い食べ物を、意識して摂るようにしてみて下さい。