初めての「血圧測定器」の選び方と、その特徴
血圧は、年に一回の健診でしか測定しないという人もいます。しかし、血圧は年齢と共に高くなる傾向があります。
そして、高血圧を予防するためには家庭での血圧測定がとても重要になるのです。
そこで今回は、家庭で血圧を測るために必要な「血圧測定器」についてご紹介します。
目次
血圧測定器にはどんな種類があるの?

家庭での血圧測定器には、上腕式の「カフ巻きつけ型」がよく使われている。
家庭で血圧を測るための血圧測定器は、大きく2つのタイプに分かれます。
医療機関で使われているのは、測定値が正確に出る水銀血圧計です。家庭での血圧計では、それと手軽に使えるデジタル血圧計があります。
- 水銀血圧計(医療機関で使われている)
- デジタル血圧計(家庭で使われるタイプ)
デジタル血圧計
画像:オムロン
デジタル血圧計には、測る場所により種類が分かれます。中でも上腕で測定する血圧計は信頼度が高く、一般的によく使われているタイプです。
手首や指で測定するタイプもありますが、数値の変動が生じる可能性があります。しかし、コンパクトで持ち運びやすいというメリットがあるため、携帯して外出先などで測定するには便利です。
上腕式の測定器には、「カフ巻きつけ型」と「アームイン型」があります。
カフ巻きつけ型は、自分で腕にベルト(カフ)を巻いて強さを調整して測定するものです。アームイン型は、腕を通すと自動で上腕を最適な角度に固定して、安定した姿勢をキープできるものです。
- 上腕式の測定器(カフ巻きつけ型、アームイン型)
- 手首式の測定器
血圧はどのように感知される?
血圧を感知する方法には、「聴診法」と「振動法(オシロメトリック)」があります。
病院を受診した際に医師が行うのが「聴診法」ですが、血管の中に流れる血液を感知する方法です。
「振動法」は、血液が流れうときの血管壁の振動を感知する方法です。
血圧測定の基本は聴診法ですが、振動法は測定エラーが出にくいことから一般的によく用いられています。
家庭での血圧測定器 おすすめは?
家庭で使う血圧測定器を選ぶポイントは、操作が簡単で使いやすいことと、正しく血圧を測定できることです。
- 操作が簡単で使いやすいこと。
- 精度が高く正しく血圧を測定できること。
上腕で測るタイプは、測定値に誤差が出やすい、手首や指先で測るタイプよりも、信頼度が高いためです。
「上腕で測るタイプ」
測定値に誤差が出にくいため信頼度が高い。
人気の血圧測定器は?
血圧測定器は電気製品なので、電器店など家電量販店で販売されていて、各メーカーの製品を見比べることができます。
価格は数千円のものから1万円台のものが主流です。
一般的によく売れている人気のタイプは、上腕式の「カフ巻きつけ型」測定器になります。
測定が簡単で、各メーカーから販売されている種類も多く、値段も格安のものからあるため、購入しやすくなっています。
血圧測定器を販売しているメーカーには、「オムロン」「テルモ」「パナソニック」などがあります。
初めての血圧測定器であれば、家庭用血圧計のトップメーカーである「オムロン」のものが標準機種ですので、これを基準に選ぶようにするといいでしょう。
同じ機種でもその違いは、メーカー独自の工夫や機能などがあります。
カフの巻きやすさにこだわったオムロン独自の「オムロン デジタル自動血圧計」は、測定のしやすさと大きく見やすい液晶表示が人気です。
画像:オムロン 最新のデジタル自動血圧計
「オムロン デジタル自動血圧計」(価格は5千円~1万円以内)
家庭で正しく血圧を測定するには?

正しい血圧を測定するためには、毎回同じ条件で測ることが大切になる。
血圧は、測る時間や気温、体調などによっても変化します。
正しい血圧を測定するためには、毎回同じ条件で測ることが大切です。
測定頻度
- 1日朝晩の2回、できるだけ毎日同じ条件で測定する。
タイミング
- 朝は起床後1時間以内に、薬や食事をとる前に測る。
- 夜は就寝前に測定する。
測る回数
- 1度に1回以上測定して、平均値を記録する。
続けて測定せずに、1回ごとにカフをゆるめて1分程おいてから測る。
血圧は興奮したり緊張すると高くなるため、測定中はテレビを見たり会話をしないようにします。ニュースや話をしていていると、イライラしたり気持ちが高ぶって興奮することもあるからです。
座ってからゆっくりと深呼吸を2~3回してから測るようにするといいでしょう。
また、気温の変化によっても血圧は変動するため、気温が低くなる冬は部屋を温めるなどして、寒さを感じないようにします。朝は食事や薬を飲む前に測るようにします。
- 座ってから2~3分安静にした後に測定する。
- 測定中はテレビを見たり会話をしないようにする。
- 食事前、薬を飲む前に測定する。
- 冬は寒さを感じないよう暖めてから測定する。
- 食後、飲酒後、入浴後、運動後、喫煙後すぐは避けるようにする。
家庭血圧計の正しい測り方
(上腕タイプの場合)
- 座ってから2~3分安静にしてリラックスした状態で測る。
- 左の上腕をテーブの上にのせて伸ばし、上腕と心臓とが同じ高さになるようにする。
- カフ(腕に巻くベルト)の中央が上腕動脈にかかるようにして、指が1〜2本入るくらいゆとりをもたせて巻く。
(強く巻き過ぎると測定値が高めに出る) - 加圧ボタンを押して測定する。
- 2回以上測定して、平均値を記録する。
(1回毎にカフをゆるめて、1分程間をおいてから測るようにする。)
家庭血圧と外来血圧とで測定値が変わる?

「家庭血圧」と「診察室血圧」では測定値が異なり、家庭血圧が優先される。
一般的に、家庭で測定する血圧値は、病院などの診察室で測る血圧よりも低めになる傾向があります。
病院などの健診時に測る血圧は、緊張から正常値よりも高めになることが多いからです。
普段生活している家庭での血圧測定は、リラックスした状態で測ることができるので、本来の正常な血圧値を測ることができます。
そのため高血圧のガイドラインでは、「家庭血圧」と「診察室血圧」では基準値が異なり、家庭血圧を優先するようになっています。
家庭血圧の測定値
【一般】
- 正常値 125/80mmHg未満
- 高血圧 135/85mmHg以上
【高齢者】
- 正常値 135/85mmHg未満
外来血圧の測定値
【一般】
- 正常値 130/85mmHg未満
- 高血圧 140/60mmHg以上
【高齢者】
- 正常値 140/90mmHg未満
家庭での血圧測定が高血圧予防・改善につながる

毎日の家庭血圧測定の情報が、より細かな治療へつながる。
高血圧治療で月に一度、通院して外来血圧を測っていたとしても、それだけの情報ではより細かな治療には結びつきにくいものです。
毎日記録された家庭血圧の膨大で確かな情報を比較することで、医師もより細かなアドバイスや治療を行うことができます。
そのため、病院でも患者さんに家庭での血圧測定を推奨し、その情報を診療に活用しているところが増えています。
また、降圧剤を飲んでいる場合には、家庭血圧を見ながら薬を調整することで、血圧が下がり過ぎるなど、副作用を防ぐことにもつながります。
血圧は測る環境や条件によって変動しやすいため、信頼性のあるデータをとることが重要なのです。
- 降圧剤の効き目を確認を正確に捉えることができる。
- 血圧が下がり過ぎるなどの薬の副作用を防ぐことにもつながる。
- 診療材料となり、きめ細かな血圧のコントロールができる。
- 病院での血圧値と家庭では測定値が変わることがある。(家庭測定を優先)
- 家庭測定によって早朝高血圧、仮面高血圧を発見することができる。
家庭血圧で危険な高血圧を発見できる

家庭での血圧測定が、健診などで見つかりにくい「早朝高血圧」の発見にもつながる。
「早朝高血圧」は、健診では正常血圧値なのに、自宅で測定すると早朝の血圧値だけが高くなる症状です。
これは、健診などでは発見されにくいため、健診で普段より血圧値が低くなる「仮面高血圧」と同じタイプになります。
また、高血圧治療で降圧剤を飲んでいても、早朝の血圧が特に高くなる症状もあるので注意が必要です。
早朝高血圧は、起床前後に多発する心筋梗塞や脳卒中の大きな原因ともなります。そのため、突然死にもつながる最も危険な高血圧でもあるのです。
このように、家庭で血圧を測定することで、病院では発見されにくい「早朝高血圧」を発見することにもつながります。年に数回程度の健診でしか血圧を測定しないという場合、このような危険な高血圧を発見することができません。
脳卒中や心不全などの脳心血管系の病気を引き起こすのは、家庭で測った血圧が、高い相関性があることがわかっています。そのため、高血圧の臨床研究でも、家庭での血圧測定の有用性が証明されています。
家庭血圧を測る習慣で、健康管理ができる
高血圧は長い期間での生活習慣が原因で起こる生活習慣病のひとつです。
そのため、家庭での血圧測定を習慣にすることで、自分自身で健康を管理するという意識が高まります。また、高血圧によって引き起こされる臓器障害の予防にもつながるのです。
毎日の血圧を測定していると、寝不足や食べ過ぎなどの生活習慣や、ストレスや精神状態まで自然とわかるようになります。
ただし、あまり数値に神経質になりすぎると、血圧を測定することがストレスとなってしまいます。
あくまでも血圧を管理する上での情報のひとつとして考えるようにしましょう。
血圧は一時的に高くなることよりも、平均して高くなっているかどうかが問題になるのです。
高血圧を予防するためにも、まずは“正しい血圧の測り方”を身につけて、それを習慣にすることから始めてみて下さい。