血管年齢の若返りは可能?老化した血管を若返らせるには
最近は血管年齢を調べることができる検査があります。そこで実年齢より血管年齢が高くなっていると、心配になりますよね?
血管の老化は、脳梗塞などの重大な病気の原因にもなります。
しかし、実は生活習慣を見直すことで、老化した血管年齢も若返らせることができるのです。
目次
血管の老化を速める原因は?
血管年齢が実年齢より高くなっていて、ショックを受ける人も少なくありません。
しかし、一旦老化して高くなった血管年齢も、その原因を改善することで若返らせることはできます。そのためには、まずは、血管を老化させている原因を知ることが大切です。
一般的には、血管の老化は加齢と共に進行していくものです。そして、年齢とともに誰でも動脈硬化が進行していきます。
しかし、加齢以外にも血管の老化を早めてしまう原因があります。
高血圧や高血糖、脂質代謝異常などは、血管を老化させる大きな危険因子です。そのため、これらの要因があると、加齢に関係なく血管の老化を速めることになるのです。
- 高血圧
- 高血糖
- 脂質代謝異常
「血管内皮細胞」には本来、血管を守るためのバリア機能が備わっているのですが、血管が傷つき弱まわることで、その機能が低下してしまいます。
そして、傷ついた血管内へ、悪玉の「LDLコレステロール」などの異物が侵入して、それが酸化することで動脈硬化を進行させるのです。
「血管内皮細胞」が障害されてバリア機能が低下する。
血管内に悪玉の「LDLコレステロール」などの異物が侵入する。
「LDLコレステロール」が酸化して動脈硬化を進行させる。
こんな生活習慣が血管を老化させていた!?
血管の老化と大きく関係している「血管内皮細胞」ですが、本来は血管を守るバリア機能があります。
健康な状態であれば、血管内皮細胞から分泌される「NO (一酸化窒素)」という物質によって、血管の傷を修復したり、血圧をコントロールする働きがあるのです。
「NO (一酸化窒素)」の分泌によって、血管の修復機能や血圧をコントロールする働きがある。
また、「NO (一酸化窒素)」には血管の修復機能だけではなく、血管を保護する働きもあります。
血管内の炎症やプラーク(コブ)を修復したり、血小板が凝縮して血栓(血のかたまり)ができるのを予防して血管が詰まるのを防ぐのです。
- 血管拡張作用
- 血流の流れを促進する
- 血圧をコントロールして安定させる
- 血管内の炎症やプラーク(コブ)を修復する
- 血栓(血のかたまり)を予防する
そのため、このような悪い生活習慣を長く続けることで、血管の修復機能が十分に働かなくなり、血管の老化を促進させてしまうのです。
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 脂質の摂り過ぎ
- 食べ過ぎ
- 運動不足
- 疲労やストレスの蓄積
- 睡眠不足
そのため、高血圧の人や血液がドロドロで血流が悪い人は、「NO (一酸化窒素)」が正常に分泌されず不足している状態ということになります。
老化した血管を若返らせることはできる?

血管内皮細胞の働きを活発して、「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くすることで血管修復機能が高まる。
「一旦老化した血管は若返らせることはできないのでは?」と心配される人も少なくありません。
しかし、私たちの血管には元々備わっている「血管修復機能」や「血管保護機能」があります。ですので、血管を若返らせるためには、これらの機能を正常に働くようにしてあげればいいのです。
そのためには、血管内皮細胞の働きを活発して、「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くすることです。そうすれば、「NO (一酸化窒素)」が持つ血管修復機能や保護機能が働いて、老化した血管も元気に若返らせることができるのです。
血管内皮細胞の働きを活発にさせる
「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くする
「血管修復機能」や「血管保護機能」がアップする
「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くするには?

「有酸素運動」で血行を促進することで「NO」の分泌が促進される。
血管内皮細胞の働きを活発にして「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くするには、高血圧や高血糖、脂質異常の原因となる悪い生活習慣を改善することが先決です。
それらの原因となっている生活習慣を改善することで、血管内皮細胞を元気にして、低下した機能を回復させることができるからです。
高血圧や高血糖、脂質異常の原因となる悪い生活習慣を改善すること。
そして、血行を促進する最も効果的な方法となるのが、「有酸素運動」です。
有酸素運動はウォーキングなどの酸素を取り込みながら、運動で筋肉を動かすことによって全身の血行が促進されます。そうすると、筋肉からは「ブラジキニン」という物質が放出されます。そして、それが血管内皮細胞を活性化させて、「NO」の分泌が促進されるのです。
「有酸素運動」で血行を促進する。
筋肉からは「ブラジキニン」という物質が放出される。
血管内皮細胞を活性化させて、「NO」の分泌が促進される。
食べ物で「NO (一酸化窒素)」を増やす

青魚などに多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」はNOの分泌を促進する。
また、食べ物の中にも「NO (一酸化窒素)」の分泌を促す効果があるものがあります。
それは、青魚などに多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」です。
最近の研究では、魚が血管に及ぼす効果が明らかになっていますが、それは魚に多く含まれる「EPA 」には、血管内皮細胞の炎症を静めて、血管の膜を作る作用があるためです。
魚に含まれるEPAについては、その効果的な摂り方などをこちらの記事で紹介していますので、参考にして下さい。
また、魚のEPA以外にも、ブルーチーズに含まれているLTP (ラクトトリペプチド)に、血管内皮細胞の機能を高める作用があることが分かっています。
LTPにはこの他にも、血管拡張作用とそれにともなう血圧降下作用があるため、弱った血管内皮細胞を改善する効果が期待できるのです。
- 青魚などに多く含まれる「EPA(エイコサペンタエン酸)」
血管内皮細胞の炎症を静めて、血管の膜を作る作用がある。 - ブルーチーズに含まれている「LTP (ラクトトリペプチド)」
血管内皮細胞の機能を高める作用がある。
血管拡張作用と、それにともなう血圧降下作用がある。
血管を若返らせる「長寿ホルモン」を増やす
私たちの体には様々なホルモンが存在していますが、中には“長寿ホルモン”と呼ばれるものがあります。
これは善玉ホルモンの一種で、「アディポネクチン」というホルモンです。
「アディポネクチン」には、生活習慣病のリスクを改善したり、血管の老化を防ぐなど様々な効果があるため、世界的にも“長寿ホルモン”として注目されているのです。
- 「アディポネクチン」の分泌を活発にさせる
アディポネクチンが正常に分泌されていると、血糖値を下げたり、血管修復機能が働く。
- コーヒー
- 杜仲茶
- 納豆などの大豆製品に含まれる「βコングリシニン」
- 青魚に多く含まれる「EPA (エイコサペンタエン酸)」
- 野菜、海藻類などの食物繊維
そのため、食事で青魚や大豆製品を多く摂るようにすると、血管を若返らせる“長寿ホルモン”が増えるということです。
また、「アディポネクチン」は内臓脂肪が増えると正常に分泌されず、分泌量が低下してしまいす。
そのため、内臓脂肪が増えている場合には、原因となる生活習慣を改善して、内臓脂肪を減らすことが先決となります。
血管を若返らせる長寿ホルモン「アディポネクチン」については、こちらの記事でも詳しく紹介していますので参考にして下さい。
血管を若返らせる効果的な方法
このように、私たちの体には元々、血管を修復したり保護するための機能が備わっているのです。
そのため、これらの体の機能を高めることによって、弱って老化した血管を修復して、イキイキと若返らせることができるのです。
- 血管内皮細胞の働きを活発にして、「NO (一酸化窒素)」の分泌を良くする。
- 「アディポネクチン」の分泌を活発にさせる。
悪い生活習慣を続けることによって、高血圧や高血糖、脂質異常が起こります。そして、これらの要因によって、加齢とは関係なく血管の老化を速めることになるのです。
“血管の健康状態”は、毎日の食生活や運動習慣、生活習慣によって大きく影響を受けます。
血管を若返らせるためには、まずはこれまでの生活習慣を見直すことから始めてみて下さい。