血管と血圧の関係 – 血流依存性血管拡張反応(FMD)とは?
高血圧は血圧が基準値以上になる状態ですが、血圧と最も深い関係にあるのが「血管」です。
血圧が高いということは、血管壁が過剰に収縮して、血管に負担がかかり続けている状態になります。
そのため、血管の老化が進むと、必然的に血圧も高くなってしまいます。
そして、近年ではこの血管の老化度を、身近な検査によって知ることができるのです。
目次
血管の老化度を知る検査、血流依存性血管拡張反応(FMD)とは?
一般の健診で行う血液検査では、血液の健康度を知ることができても、血管の老化度を知ることができません。
血圧や血糖値、コレステロール値では、血液のドロドロ具合がわかるため、血液の健康度を推しはかる大きなバロメーターとなります。しかし、血管がどれだけ老化しているかを知ることはできないのです。
そこで近年では、医療機器の開発によって、血管の健康度をダイレクトに測定できる検査法が可能となりました。
血管がどれだけ老化しているかを知る検査に、FMD検査(血流依存性血管拡張反応)があります。
FMD検査では、血管の内皮細胞から放出される物質、NOエヌオー(一酸化窒素)の量を測ることができます。
内皮細胞は血管壁の最も内側に位置していて、血液中の悪い成分が血管壁内に侵入するのを防ぐ働きがあります。また、内皮細胞から生み出されるNO(一酸化窒素)が、血管壁に良い刺激を与えて、血管壁を広げる働きがあります。
NOが血液中に放出されると、血液がかたまりにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓(血のかたまり)ができにくくなるのです。
このように、内皮細胞は血管を守り、健康に保つために働いているのです。
そのため、血管の健康状態は、内皮細胞の働きが正常に機能しているかを知ることでわかるのです。
- 血管を守る“バリア機能”
- 血管の拡張を促す“活性化機能”
血管の内皮細胞の機能を調べる検査。
内皮細胞から放出されるNO(一酸化窒素)の量を血管拡張の程度から測定し、内皮細胞の機能を測定する。
腕に圧力カフを巻き、圧力をかけて一時的に腕の血流を抑制します。その後、カフをゆるめて血流の再開による血管拡張の程度を自動的に測定されます。
所要時間は10~15分程。
正常値は6%以上
- PWV(脈波伝播速度)検査
- ABI値(足首上腕血圧値)検査
- 頚動脈(けいどうみゃく)超音波検査
血管の老化度を知ることで、血管病を予防できる
これらの検査で血管の老化度を知ることによって、動脈硬化がどれくらい進行しているかがわかります。
動脈硬化は血管の老化現象でもあります。そして、動脈硬化の程度を確認するということは、危険な血管病を未然に防ぐことに繋がるのです。
動脈硬化の進行を確認する方法は、こちらの記事で詳しく説明していますので参考にして下さい。
内皮細胞が元気になると、血管が若返る?!
血管を健康にして若返らせるには、もろく弱くなった内皮細胞をケアして、働きを良くすることです。
内皮細胞がイキイキと活性化すると、傷ついて弱った血管も強くよみがえらせることができるのです。
では、内皮細胞を活性化するにはどうしたらいいのでしょう?
それは、内皮細胞への負担を減らし、良い刺激を与えて活性化することです。
- 内皮細胞を痛める要因を減らす
- 血圧を上げる原因を減らす
- 血管内の血流がスムーズになる環境を作る
それは、活性酸素によってLDLコレステロールと血糖が酸化すると、それぞれ酸化LDLコレステロールとAGEという悪玉度を増した物質に変わるためです。
内皮細胞を傷つける大きな要因となる「酸化」と、その予防については、こちらの記事で詳しく説明していますので参考にして下さい。
血管を健康に若返らせる生活習慣
血糖値を急上昇させる食生活や、タバコやストレス、過度の飲酒などによって起こる「酸化」は、内皮細胞を傷つける大きな要因です。
また、運動不足や睡眠不足も内皮細胞の機能を低下させ、NOの分泌を悪くすることになります。
このように、血管の老化を促進させる要因には、普段の生活習慣が大きく関係しています。しかし、傷ついて弱った血管を強く若返らせるのも生活習慣の改善によって可能になるのです。
NOの分泌を促す食生活や定期的な運動をすることで、血管をイキイキと若返らせることができます。
血管を若返らせる生活習慣については、こちらの記事も参考にして下さい。
血管を健康にすることは、血圧を下げて高血圧を予防することにつながります。
また、血管をケアすることは、動脈硬化の進行を防ぐだけではなく、体全体のトータルケアにつながるのです。
血管病を予防するためにも、早目の血管ケアを心がけるようにしましょう。