降圧剤を飲み続けると、認知症になりやすくなる?!
高血圧症で処方される降圧剤ですが、長年飲み続けているのに症状が改善されないという人もいます。しかも、それだけではなく、副作用で認知症が早まるという説もあるのです。
降圧剤で認知症になるというのは本当?
血圧を下げる薬剤「降圧剤」には、様々な種類があります。
しかし、どの降圧剤にも共通して言えるのは、薬の働きは血圧を下げることにあり、高血圧を招いている根本的な要因を改善することはできないのが普通です。
更に、降圧剤を飲み続けることによって、様々な副作用が生じる可能性があることも分かってきています。中でも、近年注目されているのが、高齢者の認知症です。

降圧剤を飲み続けると、認知症が進むという話は事実だろうか?
目次
降圧剤には、血圧を下げるために脳の中の神経、自律神経に働きかける成分が入っています。このため軽いうつ症状や食欲が無くなるなど、自律神経失調症に似た症状が現れることがあります。
自分の意思とは無関係に、体の機能を調整している神経。「植物神経」とも呼ばれている。
交感神経、副交感神経の2つの神経から成り立ち、呼吸や消化器官、鼓動や消化液の分泌など、あらゆる器官の働きを調整している。
降圧剤が自律神経に影響を与えることにより、認知症になるのが早まるという報告もあります。
それは、脳の血流が低下することや、交感神経の刺激を抑制することによって、脳の活動が低下することが原因だろうと考えられています。
降圧剤を飲み続けると
- 脳の血流が低下する。
- 交感神経の刺激が抑制され、脳の活動が低下する。
特に、高齢者に強い降圧剤を与えると、急激に脳血流が減って一過性のぼけ症状が出るという報告もあります。
降圧剤で血圧を下げることで、脳卒中や心筋梗塞の発症を防ぐことはできるかもしれませんが、知的活動、身体活動や、認知脳が低下することで、他の要因による死亡率が高まることも起こりうるのです。
高齢者は無理に血圧を下げない方がいい?
高齢になると、多少の差があったとしても動脈硬化が進行していきます。そのため、血液を体のすみずみまで循環させるために、ある程度血圧が高くなってしまうのです。
特に高齢者の場合、血液を心臓から全身に送り出すための収縮期血圧が高くなる傾向にあります。そのため、急激に血圧を下げると血流が悪くなって脳梗塞を起こすこともあります。しかし、そうは言っても「高齢だから高血圧でいい」というわけではありません。
スウェーデンで高齢高血圧者を対象に行われた研究によると、血圧の低いグループの方が、高いグループに比べて、脳卒中や虚血性心疾患の発症が少なくなったという報告があります。
日本高血圧学会では、高齢者の降圧目標を140/90mmHg未満としています。
薬だけに頼らずに、生活習慣の改善もしながら、かかりつけ医と相談しながら、除々に血圧を下げていくようにすることが大切です。
高齢者の高血圧は治療計画が異なる
高齢者の場合、高血圧治療のガイドラインが一般成人とは変わってきます。
日本の高血圧治療ガイドラインによると、高齢者を65歳以上75歳未満の「前期高齢者」と、75歳以上の「後期高齢者」に分けて、降圧目標を定めています。
- 前期高齢者(65歳以上 75歳未満):140/90mmHg未満
- 後期高齢者(75歳以上):
- 軽症高血圧では 140/90mmHg未満
- 中等症・重症高血圧では140/90mmHg未満を最終降圧目標150/90mmHg未満を暫定的降圧目標とし、慎重に降圧。
前述しているように、高齢になるにしたがって動脈硬化が進み、血圧が高くなることから、降圧は慎重に行う必要があります。
高齢で血圧が低すぎると、脳への血液循環が不十分になり、立ちくらみやめまいを生じやすくなります。特に後期高齢者では、動脈硬化が進んでいることが多く、60歳未満とは明らかに異なる循環動態になります。
そのため、脳循環を良好に保つためにも、やや高めの血圧が必要になるのです。
降圧薬などによる急激な血圧低下は、脳循環を悪化させることにもなり、脳梗塞を起こしやすくなります。
また、高齢者は日常生活のちょっとしたことで血圧が変動しやい特徴があります。血圧変動が大きい時は、立ちくらみなどを起こしやすいので、注意する必要があります。
- 入浴やトイレでの血圧上昇幅が大きい
- 急に立ち上がった際に生じる起立性低血圧
- 入浴後の血管拡張や食後の消化で生じる血圧低下
ただし、高齢者の血圧は個人差が大きく、実際の年齢よりも生理的年齢(体の老化の度合い)が重要になります。そのため、個々の病態を総合的に考慮した上で、降圧目標値を決めていくはずです。
降圧剤を使う前に確かめておくこと
高血圧症と診断された場合でも、安易に降圧薬を飲み始めるのは考えた方がいいでしょう。
WHOでは、1週間くらいの間隔を置いて、3回血圧を計り、3度とも下の血圧が90mmHg以上の場合、その後3ヶ月間計測しても常に下が100mmHg以上の場合に、降圧薬治療をすべきであると主張しています。
個人の勝手な判断で、医師に処方された薬を飲まないというのは危険です。必ず担当の医師に相談してください。
- 3回血圧を計り、3度とも下の血圧が90mmHg以上
- その後3ヶ月計測しても、下の血圧が100mmHg以上
※実際の治療の判断は状況によって異なるため、医師の判断を仰ぐこと。
下が100mmHg以下の場合でも、3ヶ月連続して95mmHg以上だったら治療を開始すべきですが、まずは生活習慣の改善を試してみることです。
それだけ降圧薬治療は慎重に判断する必要があります。降圧薬を飲み始めると、薬の種類によっては抗体がついたり、途中で止めるとリバウンドが起こって、かえって血圧が上がることがあります。
※薬に抗体がついてしまうと、その薬を飲んでも効果が得られにくくなる。
初診時に血圧が高く出たとしても、何回か計ってもらい、1~2ヶ月くらいの血圧の変動を確認して、それから納得の上で降圧薬治療を始めるべきでしょう。
降圧剤を飲まずに血圧を下げる方法はあるの?
高血圧の大部分を占める、本脳性高血圧は、生活習慣病の代表的な病気です。
本能性高血圧とは
原因は単一ではなく、両親から受け継いだ遺伝素因に加えて、生後の成長過程、加齢プロセスにおける食事、ストレスなどの様々な生活習慣がモザイクのように複雑に絡みあって生じる病態(モザイク説)。
高血圧患者の9割以上を占める。出展:Wikipedia「高血圧 – 本能性高血圧」
体に害を及ぼす、日頃の悪い生活習慣を長く続けることで引き起こされます。例えば、喫煙、脂質や糖分の摂り過ぎ、お酒の飲みすぎ、運動不足などがそうです。
ですので、まずは元の原因となっている「悪い生活習慣」を見直すことから始めなければいけません。
これは、「悪い生活習慣」を改善することで、高血圧を改善することに繋がるということです。「血圧を下げる」ためだけなら、降圧剤を用いた「薬物療法」が近道でしょう。
しかし、根本の血圧を上げている要因を取り除くためには、食事療法や運動療法などの生活習慣を改善する「一般療法」を実行することが大切になります。
特に、食生活の改善は重要です。人間の内臓は、その人の「人生の縮図」ともいえます。
あなたが今まで食べてきたものによって、あなたの体は作られているのですから。
なるべく薬を使わずに高血圧を治したいという人は、まずはあなたの食生活を見直すことから初めてみてはいかがでしょうか?
高齢者にお勧めの高血圧を改善する食べ物は?
高齢者の多くが、少なからず何らかの薬を処方されて飲んでいる場合が多いのが現状です。薬は病の進行を抑えるだけではなく、からだ全体の免疫機能の低下へもつながります。
そのため、なるべく普段の食事で高血圧を改善する食べ物を積極的に摂ることをお勧めします。
高血圧や動脈硬化の予防に効果的な、血管に良い食べ物をこちらの記事で紹介していますので、参考にして下さい。
特に高齢者の方にお勧めしたいのが、上の記事の中でも紹介している「黒にんにく」です。黒にんにくは近年健康食品として大変注目されていますが、その理由の一つが“抗酸化力”です。
にんにくを長期間、熟成・発酵させて作られる黒にんにくには、「S-アリルシステイン」という有効成分が飛躍的に増加することがわかっています。
それにより、強力な免疫力アップの効果が期待できるのです。体の免疫力が高まることで、有害物質であるウィルスの排除や抗がん作用、生活習慣病の予防など、あらゆる病を予防する効果が高まるのです。
降圧薬を長年飲み続けていると、今すぐに止めることは難しくなります。
そのため、毎日の食事でできるだけ免疫力を高める食材を積極的に摂ることを心がけたいものです。
黒にんにくは、話題になっていることもあり、私の周りでも食べている人が増えています。特に高齢者の人の評判がよく、「食べると活力が出る」という感想をよく効きます。
黒にんにくの詳しい効果については、こちらの記事で紹介しています。