高血圧は「認知症」になるリスクが高まる?!

高齢化社会となった今、「認知症」にまつわる様々な問題が多く取りあげられるようになりました。

もはや人事ではなくなった認知症ですが、実は生活習慣病が原因となっている場合があるということをご存知ですか?
それも、実は「高血圧」と深く関係があるというのです。

高血圧が原因で認知症になる?!

高血圧と認知症の関係

高血圧が認知症へと繋がるケースは意外と多い。

老年性認知症は、主に「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」があります。

  • アルツハイマー型認知症
    脳内に異常なタンパク質が溜まることで、ニューロン・シナプスが徐々に減っていく(死滅・破壊される)ことで起こる認知症。
  • 脳血管性認知症
    脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害が引き金となって起こる認知症。

日本では、欧米の人と比べて脳血管性認知症を発症するケースが多いのです。

脳血管性認知症になる原因は、動脈硬化によって脳の血管に小さな脳梗塞がいくつもできる多発性脳梗塞や、脳血管障害による後遺症です。
多発性脳梗塞は、脳の細い動脈の壁が高血圧で厚くなり血流が悪くなることで起こる「ラクナ脳梗塞」や、心臓にできた血栓が原因となって引き起こされます。

このように、認知症は高血圧が引き金となることで、発症率が高くなるのです。

高血圧で認知症発生リスクが10倍に

九州大学が実施している疫学調査「久山町研究」によると、正常血圧の人と比べて、軽い高血圧の人では4.5~6倍、重度の高血圧の人では5.6~10.1倍に、それぞれ血管性認知症の発生頻度が高くなるという報告があります。

高血圧患者の認知症リスク

  • 軽い高血圧:正常血圧の人の4.5〜6倍
  • 重度の高血圧:正常血圧の人の5.6~10.1倍

参考:九州大学 久山町研究

更に、老年期になって高血圧になった人よりも、中年期に血圧が高かった人の方が認知症の発症リスクが高いことがわかっています。

将来、自分が認知症になる可能性も?!

疑問

認知症は、生活習慣病を予防することで、ある程度防ぐことができるかもしれない。

認知症は高齢者だけがなる病気ではありません。

近年増加しているのは18歳~65歳未満の「若年性認知症」です。これは、65歳以上の老人性認知症とは区別されています。
原因として、脳血管障害によるものが最も多いことが、厚生労働省の調査などから分かっています。

(若年性認知症の)原因となる病気として挙げられることが最も多いのは、脳血管性認知症で40%です。
続いて、アルツハイマー病が25%、頭部外傷後遺症が8%、続いて前頭側頭型認知症、アルコール性認知症、レビー小体型認知症などがあります。

出展:ヘルスケア大学

年齢と共に記憶力は衰えていくものです。台所に行ったのに何を取りに来たのか忘れていたり、有名人の名前がなかなか出てこなくなったり。多くの人が身に覚えがあるのではないでしょうか?

こういった、出来事の一部を思い出せないというのは、通常の物忘れです。

しかし、認知症の場合は違います。食事したこと自体を忘れたりと、物事全てを忘れてしまうのです。
しかも、しだいに時間や場所の認識や、計算ができなくなるなど、知的なこと全般に障害が出てくるようになります。

認知症と物忘れの違い

通常の物忘れ  認知症
原因  加齢  脳の病気
 物忘れ  自覚している  自覚していない
 生活体験  一部忘れる  全体を忘れる
 病状  ほとんど進行しない   進行する
 日常生活  支障がない  支障をきたし、介護が必要になる場合もある
 対応  自分で対処できる  自分で対処できない
 他の身体的症状  伴わない  頭痛、めまい、高血圧、虚血性発作、卒中発作、精神的症状などがある

もはや認知症は、高齢者だけの問題ではなくなっているのです。
例え高齢者ではなかったとしても、あなた自身が近い将来、認知症になる可能性だって十分にありえるのです。

認知症の発症を防ぐためには、中年期からの高血圧管理は、極めて重要になります。

認知症予防は中年期の高血圧改善が重要

生活習慣病の代表ともいえる「高血圧」ですが、若くから患っている人も多くいます。

特に30代から50代の中年期の男性に多く見られます。
この年代になると、仕事でもそれなりの経験を積んで、管理職など責任あるポジションについているという人も多いでしょう。

そういう立場の人ほど、部下と上司との板ばさみ、など、人間関係でのストレスも多くなります。接待や飲み会などの付き合いも増え、仕事は夜の遅い時間まで続いたりと、生活のリズムも不規則になりがちです。

内臓脂肪が増え始めるのも、この年代から増える傾向が高くなります。
高齢になった時に内臓脂肪が付いている人は、たいてい中年期の頃から胴囲のサイズが大幅に増え始めたという人が多いのです。

ストレスや不規則な生活、更には過剰な飲酒や喫煙、脂質の多い外食などが増えることで、必然的に内臓脂肪は増えていくのです。

肥満

不規則な生活や食事は、高血圧を助長する原因となる。

高血圧は、生活習慣病です。普段の生活の乱れが原因となって引き起こされることの多い病気です。そして、男性は特に中年期に、生活が乱れやすくなる傾向があります。

高血圧の薬である降圧薬を飲んでいるのは、高齢者ばかりではありません。若い人では、30代から降圧薬を飲んでいるという人も少なくありません。
ただ、若くから降圧薬を飲んでいると、あまり高血圧に対しての「危険性」を感じづらくなる傾向があるようです。
ですので、ただ処方された薬を飲むだけで生活習慣を見直そうとする意志に欠けるのです。

まさに私の父がそうでした。父は、中年の頃から既に高血圧症を患っていました。しかし、降圧薬を飲んでいても喫煙はしばらく続けていました。飲酒の量も控えようとはしませんでした。タバコを止めたのも、60代になってからのことです。

そして高齢になった今、やっと食生活などを本格的に見直し始めたのです。そのきっかけも、2度目の大動脈瘤破裂の手術からなのです。
もっと早い段階で生活習慣を見直し、高血圧の改善に本格的に取り組んでいたのなら、このような命に関わる大手術を二回もせずにすんだことでしょう。

長年の高血圧症が続くことで、血管にはダメージを与え続けていることになります。それが原因となって、将来高齢になった時に認知症を発症する確率が高まるのです

高血圧を改善するのは、早ければ早いほどいいのです。

認知症を防ぐには、血圧と血糖値を管理すること

認知症と特に深い関係にある生活習慣病は、「高血圧」と「糖尿病」です。

将来、自分が高齢になった時に認知症にならないためには、いずれも今から改善しておく必要があるのです。
食生活や運動不足など、生活習慣を見直すことが認知症予防に繋がるのです。

認知症になるリスクを減らすために

高血圧・糖尿病を予防、改善すること。

血圧と血糖値を管理することで、将来の認知症になるリスクを下げることができます。

MCI(軽度認知障害)の予防と高血圧の関係

認知症は予防できる

軽度認知障害( MCI)の予防・改善が認知症の進行を食い止める。

認知症への対処として、近年、その兆候を早期に発見して、認知症の進行を抑える方法が注目されています。
MCI(軽度認知障害)と呼ばれる、部分的な記憶障害が現れている状態で改善することによって、認知症への進行を予防することができるのです

改善方法は、食生活の見直しや適度な運動をすることです。

MCIの段階で生活習慣を改善することにより、認知症の発症を遅らせたり、人によっては症状が出ずに済む人もいます。
認知症を予防することは、そのまま生活習慣病の改善にも繋がります。つまりは、食生活や運動によって高血圧を改善することで、将来認知症になるのを防ぐことになるのです。

心身ともに健康で豊な老後生活を迎えるためにも、今から認知症予防に取り組む必要性があるのです。

MCI(軽度認知障害)の進行を判断するには?

近年、認知症を予防するための様々な研究が行われています。

そんな中、最近の研究でMCI(軽度認知障害)の段階で発見して対策を行えば、認知症を予防できる可能性が明らかになったのです。

MCI(軽度認知障害)は、脳内ネットワークの異常によって起こります。
MCIがどれだけ進行しているかを確認するには、歩行で判断することができます。MCIが進行すると、歩行やバランスが不安定になってくるのです。

MCIのサイン

  • 歩行が遅くなる
  • 歩行リズムが悪くなる
また、歩く早さで認知症になるリスクが簡単にわかるのです。

認知症になる人の割合

  • 歩く早さが遅い⇒1.5倍
  • 歩く早さが遅い + 記憶力の低下の自覚⇒2倍
認知症になるリスクを見極める「歩く早さ」の目安は、秒速80cm以下(時速2.9km)です。これより遅いと要注意ということになります。

歩く早さといっても、判断するのは難しいですよね。そこで、普段の生活で見極める方法があります。それは「横断歩道を渡りきれるかどうか?」ということです。

横断歩道は、秒速100cmで渡りきれるように作っています。なので、足腰が悪くないのに横断歩道を渡りきれないという場合は、要注意です。

他にも、MCIの人に多く見られる兆候というものがあります。

MCIの人に見られる変化

  • 外出するのが面倒。
  • 外出時の服装に気を使わなくなった。
  • 同じことを何回も話すことが増えた。
  • 小銭での計算が面倒、お札で払うようになった。
  • 手の込んだ料理を作らなくなった。
  • 味付けが変わったと言われる。
  • 車をこすることが増えた。

これらは、脳内ネットワークの乱れから生じる症状だということになります。

「認知症予防」は「高血圧予防」と同じだった

MCIから認知症に進む原因は、脳内で毛細血管が傷つくことで起こる「微小出血」によるものとされています。血管が傷つくことで、周りの神経細胞が死んでしまうのです。

加齢と共に、MCIだと思われる症状が出てくる人も多いでしょう。
誰もが「このまま認知症へ進んでしまうのだろうか?」といった不安を抱えることになるのも無理はありません。以前なら認知症は治らない病気とされていたからです。

しかし、現在では様々な研究によって、認知症は予防できることがわかってきたのです。

認知症予防

認知症はライフスタイルの改善で予防することができる

フィンランドでは、「フィンガー研究」という実験でMCIの疑いがある1260人が参加した、世界でも類を見ない大規模な認知症予防の研究が行われました。
それによると、ライフスタイルの改善によって「認知機能」が上がるということがわかったのです

これは「年齢と共に下がるものを上げることができた」という画期的な研究結果です。
この結果によって、「認知症を予防するのに遅すぎるということはない」ということが言えるのです。

そこで気になるのが、認知機能を上げることができた「ライフスタイルの改善」ですが、内容はこのようなものでした。

ライフスタイルの改善

  • 早歩き(有酸素運動)
    週三回、1日30分程度
  • 筋力トレーニング
  • 食生活の改善
    塩分、脂肪(動物性脂質)を抑え、野菜・果物・魚などの抗酸化物質を増やす
  • 記憶力のトレーニング
    記憶力のゲームなど、週3回、10分程度
  • 血圧管理(高血圧を防ぐ)
このライフスタイルの改善を2年間行った結果、取り組みを行わなかった人に比べて、認知機能が25%上がったというのです。

しかし、この改善内容を見てみると、「高血圧を改善する生活習慣」とほとんど同じなのです。
すなわち、高血圧を改善することが、認知機能を上げることにつながり、認知症を予防することになるということでもあるのです。

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