高血圧を改善する食事 – 簡単な減塩メニュー
血圧が気になり出すと、毎日の食事のメニューを考えるのに困りますよね?
一般的に、高血圧の人はまず“減塩”するためのメニューを考えます。しかし、血圧を下げるために本当に必要なことは、実は減塩ではないのです。
目次
過度の減塩は、高血圧には逆効果になる?
人が生きていくうちで必要となるものが、「空気と水」です。そして、もう一つ大切なのが「塩」なのです。
私たちの体から出る水分、「涙、汗、鼻水、尿」など、全てに塩分が含まれています。人の体は、自然な営みによって塩分が体外へ排出されるようになっています。そのため、適量な塩分を常に補給する必要があります。
しかし、近年ではなぜか「塩分の摂り過ぎは体によくない」といった情報が、過大にアピールされるようになっています。
そのため、必要以上に塩分を控えた食生活を送る人も少なくありません。その結果、体温調整がうまくできず、冷え性や免疫力の低下、自然治癒力の働きが低下してしまっている人が増えているのです。
- 体温調整がうまくできない
- 冷え性
- 免疫力の低下
- 自然治癒力の働きが低下
「熱中症」は減塩が原因だった?

「熱中症」はミネラルなどの塩分不足が原因になる。
夏の「熱中症」もその一つです。
最近では地球温暖化の影響により、毎年のように“猛暑”となるのが当たり前のようになっています。その度に、“熱中症”で倒れる人が増加傾向にあり、緊急搬送される患者さんが増えてニュースになるほどです。
このような“熱中症”が増加した背景にも、必要以上に塩を減らした食事での「減塩」が関係していると考えられます。
塩分には、人の体に必要なミネラルが含まれています。塩分不足になることで、血中濃度が低くなり、体温の調整機能がうまく働かなくなるのです。そうなると、気温の高いときに体温が上昇し、低いときに体温が低下してしまいます。そのため、塩分は「発汗作用」と「体温調整」するために不可欠なミネラルなのです。
しかし、このような症状になる原因は、決して減塩だけではありません。
運動不足やお菓子、清涼飲料水などにより砂糖の摂り過ぎや、季節に合わない食べ物を摂ることなども関係してきます。
このように塩分は、体を温めたり、免疫力を高めてくれるものなので、必要以上に減塩することはないのです。
ただし気をつけなければいけないのが、肉類を多く摂る人です。野菜を多く摂る食事をしていると、カリウムを多量に摂れるので、余分な塩分を排出してくれます。
しかし、カリウムが不足する肉類を中心とした食事では、逆に塩分過多となってしまうからです。
また、体に必要な塩分を摂取するには「塩」を選ぶことも大切です。
加工された塩化ナトリウム純度の高い「精製塩」は、避けることです。体にとって必要な塩は、多様なミネラルが豊富な“天然塩”になります。
体にいい塩の選び方については、こちらの記事をご覧下さい。
血圧を下げるには、減塩ではなく塩分コントロール機能をアップ!

野菜などに多く含まれる「カリウム」が体内の塩分を排出する。
血圧を下げるためには、体の中の塩分をうまく排出することが大切です。
そのためには、減塩よりも、効率よく塩分の排出を助けてくれる食品を多く摂ることです。
塩分を体外へ排出してコントロールしてくれるのが、「カリウム」になります。
野菜に多く含まれる「カリウム」は、体内の余分な塩分を排出する作用があります。そのため、カリウムを多く摂ることで、体内の塩分濃度を抑えることができるのです。
カリウムには、体内の余分な塩分を排出する作用がある。
- 野菜
- 果物
- 豆類
- 芋類
- ナッツ類
- 海藻類
減塩しても血圧が下がらないのはなぜ?
高血圧の人の中には、「減塩しているのに血圧が下がらない」という人も多いようです。
そのような人の多くが、「塩分」には注意しているけれど、「糖質」は気にしていない人が多いのです。
実は、「糖質」の摂り過ぎが血圧を上げる原因になることはあまり知られていません。そのため、減塩さえしていれば血圧が下がると勘違いしている人も多いのです。
糖質を多く摂るような食生活は、高血圧を引き起こす原因になります。
砂糖の摂り過ぎが“カルシウム不足”を招く!?

砂糖を摂り過ぎると、体内のカルシウムが失われて「カルシウム不足」になる。
血圧を下げるために必要な栄養素が「カルシウム」です。
しかし、砂糖を摂り過ぎると、体内のカルシウムが失われてしまうのです。
砂糖は体内で分解されるときに、血中のph調整やカルシウムとリン濃度のバランスを保つため、体内のカルシウムやビタミンB1が消費されてしまいます。そうすると、骨や歯、筋肉の元となる大切なカルシウムが、尿とともに排出されてしまうことになります。
そのため、砂糖を摂り過ぎることによって、体内のカルシウムが排出されて“カルシウム不足”となるのです。
砂糖が体内で分解される際に、カルシウムやビタミンB1が消費されて体外へ排出されるため。
「梅干し」が減塩効果をアップする?!

実は、梅干しにはカルシウムを増やす作用がある。
「梅干し」は塩分が多く、高血圧の人は敬遠しがちです。
しかし、実は梅干しを食べることで、カルシウムを増やすことができるのをご存知ですか?
カルシウムは、血液や体温を正常に保つために必須のミネラルです。そして、血圧を調整するためにも必要になります。
そのため、高血圧の人はしっかりとカルシウムを摂ることが大切になるのです。
日本の水は軟水でカルシウムなどのミネラル分が少ないため、日本人はどうしてもカルシウム不足になりやすい傾向にあります。
そこで、日本で古くから“万能薬”として作られてきた保存食「梅干し」が活躍してくれるのです。
私たちの体の中には、「クエン酸サイクル」と呼ばれる仕組みがあります。これは、クエン酸が触媒として働いて、カルシウムを体内に吸収されやすいコロイド状に変えてくれるというものです。
そのため、クエン酸が豊富に含まれる梅干しを食べると、カルシウムの体内吸収が良くなるというわけです。
このように、梅干し自体にカルシウムは含まれていませんが、梅干しが持つクエン酸の働きによって、カルシウムを効率よく増やすことができるのです。
梅干しのクエン酸が触媒となり、体内へのカルシウムの吸収が良くなる。
本物の梅干しでなければ効果は期待できない?
ただし、本物の梅干しでなければ、その効果も期待できません。
梅干しはスーパーなどでも多く売られているので手軽に手に入れることはできます。しかし、一般に売られている梅干しの多くが、“梅干しもどき”なのをご存知ですか?
JAS(日本農林規格)法では、伝統的製法によって作られた梅干しのみを「梅干し」としています。その他の加工された梅干しは、「調味梅干し」となります。
そして、お店で売られている梅干しの多くが、加工品の「調味梅干し」です。商品のラベルには“紀州の梅”と書いてあっても、裏の表示は「調味梅干し」となっていて、中国原産のものも少なくありません。
「調味梅干し」の原料となる梅の多くは、塩漬けされた輸入品です。そのため、クエン酸などの薬効成分がほとんどなくなっている状態なのです。その上、酸味料、甘味料、アミノ酸、保存料など多くの添加物も多く含まれることになります。
梅干しを購入する際には、裏の表記に「梅干し」とあるものを選ぶようにして下さい。
今でも昔ながらの製造で梅干しを作っているメーカーもありますので、そのような信頼のおけるところで買うのがおすすめですね。
高血圧改善に効果のある簡単メニュー
というわけで、高血圧の人には意外かもしれませんが、毎日の食事で「梅干し」を食べることをおすすめします。
酸っぱいのが苦手で、そのまま食べるには抵抗があるという人は、お湯に梅干しを入れるだけで簡単にできる“梅湯”がおすすめです。
特におすすめなのは、1日の始まりの朝に梅干しを食べることです。“梅は三毒を絶つ”と言われるように、疲労物質を排出して疲れない体をつくってくれます。
- 湯呑みに梅干し一粒を入れる。
- 熱湯を注いで、梅干しをくずしながら飲む。
※熱湯の代わりに、番茶などお好みで飲んで下さい。
毎日の食事に摂り入れたいおすすめ食材

お酢は、体の疲労物質を排出し新陳代謝を良くする。
また、梅干しのようにクエン酸が豊富な「お酢」も、毎日の食事に摂り入れるのにおすすめの食材です。
お酢に含まれる有機酸には、カルシウムやビタミンEの吸収を助けたり、ビタミンCの酸化を防ぐ働きがあります。そのため、栄養素が豊富な食材を調理する際に、調味料としてお酢を使うと効果的です。
また、お酢に含まれるアミノ酸「ペプチド」には、体の疲労物質を排出する働きがあります。悪玉コレステロールの排出を促したり、炭水化物に含まれる糖類をエネルギーに変える作用があるため、新陳代謝が良くなります。肥満気味で体重を落としたい高血圧の人にはおすすめです。
- 体の疲労物質を排出。
- 悪玉コレステロールの排出を促す。
- 糖類をエネルギーに変える作用がある。
- 肥満の解消。
いつもの炒めものや煮物に、少し黒酢を加えるだけで、とても美味しくなり食欲をそそられる一品となります。
お酢など毎日の食事に加えたい、おすすめの食材についてはこちらの記事をご覧下さい。
食事は毎日のことなので、手軽に簡単に作れるものがいいですよね。
クエン酸が豊富な梅干しや、お酢などはいつでも簡単に活用することができます。是非、毎日の食事に加えて、体調の変化を実感してみてはどうでしょう?