高血圧を放っておくと怖い「合併症」とは?
高血圧をそのまま放っておくと危険だと言われるのは、様々な合併症を発症する可能性があるからです。
血圧が高い状態を放置しておくと、血管を傷つけ心臓への負担を大きくして、生命に関わる重大な病気を発症することもあります。
では、高血圧を放っておくと、いったいどんな合併症が起こるのか見てみましょう。
高血圧を放っておくと危険な理由は?
高血圧は自覚症状がないため、そのまま放置されるケースも多くあります。しかし、血圧が高い状態が続くと、血管や心臓への負担が大きくなります。
そして、血管の内壁に高い圧力がかかり続けて、血管が硬くもろくなり動脈硬化を起こすのです。動脈硬化は血管病の大きな原因となります。
血管病と聞いてもピンとこないかもしれませんが、心臓病や脳卒中がそうです。
これらの血管病は、ガンと同じくらい多くなっており、今では日本人の死亡原因の約30%を占めているのです。
高血圧を放っておくと心臓への負荷が大きくなる
高血圧になると、心臓から血液を送り出す時に強い圧力が必要になります。そのため、心臓の筋肉に負荷がかかり心臓の壁が厚くなって、心肥大や心不全、心筋梗塞を起こすのです。
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 心肥大
- 心不全
しかし、重症になった場合には、特殊なペースメーカーを使った「心臓再同期療法」や「補助人工心臓」、「心臓移植」などが検討されることになります。
高血圧を放置すると動脈硬化の進行を早める?!
加齢とともに血管が老化して起こるのが動脈硬化です。年をとれば誰にでも起きますが、高血圧を放っておくと、血管(動脈)に常に高い圧力がかかることになるため、動脈硬化の進行を早めてしまいます。
また、動脈硬化が進行して更に高血圧があると、様々な合併症を引き起こす可能性があります。
脳に動脈硬化が生じると、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血を起こすことになります。また、心臓に血液を送り込んでいる冠状動脈が硬化を起こすと、血流が不足して虚血状態となり、狭心症や心筋梗塞の原因となります。
また、腎臓の細動脈で硬化が起こると、腎臓のろ過機能が低下して、腎不全や腎硬化症(腎臓が硬くなる)を起こします。
動脈硬化は起こる場所によっては、直ちに命の危険性がある重大な病気を発症する場合もあるのです。
- 脳出血
- くも膜下出血
- 脳梗塞
- 一過性脳虚血発作
- 脳動脈硬化
- 脳血管性認知症
- 目の病気(高血圧性網膜症、眼底出血)
- 動脈硬化
- 大動脈瘤
- 解離性大動脈瘤
- 閉寒性動脈硬化症
- 糖尿病
- 腎硬化症
- 腎不全
- 抹消循環不全症
- 脂質異常症(高脂血症)
高血圧の治療は将来起こる合併症を防ぐ
このように、高血圧を放置することは、様々な合併症を引き起こす原因になるのです。
そして、高血圧を治療することは、血圧を下げることが最終目的ではありません。血圧を下げることによって、この先発症するかもしれない危険な合併症を防ぐことにあるのです。
つまり、合併症を防ぐことは“健康寿命”を延ばすことにもなります。
そのためにも、高い血圧はそのまま放置せず、早めに治療することが大事です。特に、血圧が上がる傾向にある中高年期になると、普段からしっかり血圧のコントールをすることが大切になります。
年齢とともに血圧が高くなるのは仕方のないことです。それよりも、毎日の生活で血圧を上げる原因となるような習慣を見直していくことが大切なのです。
高血圧はその状態が長くなればなるほど、血管病のリスクは高まります。そうならないためにも、血管に悪い生活習慣を改善して、早目の血管ケアを心がけるようにしましょう。