高血圧の薬は一度処方されると止めることはできないの?
高血圧の治療として処方されるのが「降圧薬」です。降圧薬は、一度処方されると止めることができないと聞きます。
これは、薬を飲んでいる人にとってはとても深刻な問題ですよね。
果たして、本当に高血圧の薬は、一旦飲み始めると止めることはできないのでしょうか?
目次
高血圧の薬物治療はいつから始まるのか?
高血圧の薬物治療は、血圧値が正常値を超えて「高血圧症」と診断された場合に開始されることになります。
薬物治療を開始する基準は、「高血圧治療ガイドライン2014」によって定められています。それによると、診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHgを高血圧の診断基準としています。そして、診察室血圧よりも家庭血圧を優先することになっています。
高血圧のガイドラインについては、こちらの記事で詳しく説明していますので参考にして下さい。
高血圧の薬を処方されている人は、この基準値を超えている人ということになります。しかし、誰もが高血圧と判断されてすぐに薬物療法が必要となるとは限りません。高血圧のリスクや体質などによっても違ってくるからです。
一般的に薬物療法が必要となるのは、「高リスクの高血圧」の人になります。
高血圧の薬は飲み始めたら止めれないのか?
降圧薬を飲んで血圧をコントロールしている場合、薬を止めると血圧値は元に戻ってしまいます。
そのため、血圧が基準値を超える高い値の場合、薬を飲み続けることになるのです。
そしてもう一つ重要なことが、高血圧の薬が処方される本来の目的が、高血圧によって引き起こされる「危険な合併症」を予防するということです。
血圧が高い状態をそのまま治療せずに放っておくと、心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが高まります。そうなると、命の危険に関わるからです。
現在、降圧薬を処方されて飲んでいる人は、このようなリスクが高い「高リスクの高血圧」ということになるのです。
高血圧の薬は血圧値が正常に戻れば止められる?
このように見てみると、「やはり高血圧の薬は止めることができない」と思われるでしょう。
しかし、実際には薬の量を減らしたり、止めることができた人もいます。
降圧薬は、血圧値を正常値にコントロールするために処方されています。ですので、血圧が正常値まで下がって安定すれば、薬を飲む必要がなくなるのです。
そのためには、降圧薬に頼らずに血圧をコントールできるようにする必要があります。その方法は、血圧を上げている原因を取り除くことです。
この「血圧を上げている原因」は、人によって違います。そのため、自分自身の血圧がどうして高くなっているのかを、先ずは究明しなければなりません。そして、血圧を上げている原因を改善することです。原因が改善されれば、必然的に血圧を正常値に戻すことができます。そして、高血圧の薬を止めることができるのです。
このように、言葉では簡単そうに思えますが、実際にはこの「原因の改善」がとても難しいことなのです。
高血圧の薬を止めるには?

タバコは、1本吸うだけでも血圧を上昇させる。
他の病気が原因で高血圧となっている「二次性高血圧」でない場合は、「本態性高血圧」ということになります。
本態性高血圧で、脳や心臓、腎臓に合併症がない場合、生活習慣の改善によって血圧を下げることができます。具体的には、食事療法や運動療法の実践です。
そして、血圧を上げるような悪い習慣がある場合には、まずはそれを改善することです。血圧に明らかに悪影響を与える要因となるのが、「タバコ」「アルコール」「肥満」です。
「タバコ」「アルコール」「肥満」が血圧に及ぼす影響については、こちらの記事を参考にして下さい。
また、これ以外に血圧を上げる要因となるのが、「運動不足」「睡眠障害」「ストレス」です。
高血圧は、普段の生活を少し見直すだけでも改善される場合があります。
特に、睡眠障害で血圧を上げる大きな要因となるのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS )」です。これは、睡眠中のいびきによって一時的に呼吸が止まった状態になる症状で、中高年の肥満気味の男性で、お酒をよく飲む人に多い疾患です。
SASの場合は、降圧薬を飲んでいても効きにくくなります。
血圧を下げるのに効果的な運動療法や、睡眠、ストレスについては、こちらの記事で詳しく説明していますので参考にして下さい。
高血圧は薬では改善されない
高血圧は自覚症状がほとんど無いため、あまり危機感を抱かない人が多いようです。
しかも、降圧薬を処方されて飲んでいる人は、薬で血圧が下がるため、生活習慣を見直す人が少ないのです。
降圧薬はあくまでも一時的に血圧を下げるだけで、血圧を上げている要因そのものを改善することはできません。そのため、薬だけに頼って生活習慣を改善しないままだと、一般的に言われている通り、「一生薬を飲み続けること」になるのです。それだけではなく、長年薬を飲み続けることで、薬の体性ができることになり、薬の量が増える可能性もあります。更には、薬の副作用の心配も出てきます。
高血圧の薬を止めるためには、血圧を上げている根本的な要因を改善することです。そのためには、普段の生活習慣を見直すことが重要になります。
毎日の生活習慣を改善することで、必ず体には変化が現れるものです。
一日も早く薬を止めるためにも、日々の習慣を見直すことから始めてみて下さい。