高血圧の種類 – 症状別のタイプと危険な高血圧
血圧は常に変動しています。そのため、病院の測定結果だけでは発見されない隠れた高血圧もあります。
また、突然死のリスクが高まる危険な高血圧もあります。
同じ高血圧でも、症状や性別、年齢によって特有のものもあります。
今回は、高血圧にはどのような種類があるのか詳しく見てみましょう。
目次
高血圧にはどんな種類があるの?

高血圧は大きく分けて、原因が特定される「二次性高血圧症」と、原因が特定できない「本態性高血圧症」とがある。
高血圧は、血圧値による症状別段階とは別に、発症原因によって2種類に大別されます。
他の病気など特定できる原因によって血圧が高くなる「二次性高血圧症」と、原因が特定できない「本態性高血圧症」です。
- 原因が特定しにくい「本態性高血圧症」
- 原因が特定できる「二次性高血圧症」
他の病気が原因の高血圧「二次性高血圧症」
「二次性高血圧症」は、別の病気や薬の副作用が原因となって起こります。
主に、腎障害から起こることが最も多く、その次に内分泌性の病気が関係しています。
また、近年では薬の副作用が原因で高血圧となるケースも増えています。
- 腎性高血圧症
- 内分泌性高血圧症
- 血管異常による高血圧症
- 脳・神経系による高血圧症
- 薬物性高血圧症
「二次性高血圧症」については、こちらの記事で詳しく説明していますので参考にして下さい。
他に、特殊な高血圧として「肺高血圧症」があります。
肺血管の血圧が高くなる病気で、比較的発症率が低い希少疾患です。
- 肺動脈性肺高血圧症(PAH)
- 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
- 肺疾患に伴う肺高血圧症
高血圧のタイプは3種類に分かれる

高血圧の大半を占める「本態性高血圧症」の中には、症状によって大きく分けて3つのタイプがある。
日本人の高血圧の約90%を占める「本態性高血圧症」ですが、その中でも、症状によって大きく分けて3つのタイプがあります。
- 持続性高血圧
病院と家庭との測定で両方とも高い場合。 - 白衣高血圧
家庭では正常値で病院で測定すると高くなる。 - 仮面高血圧(逆白衣高血圧、隠れ高血圧、早朝高血圧)
病院では正常値だが、家庭や職場で血圧が高くなる。
「白衣高血圧」は、家庭で測定すると正常値なのに、病院で測定すると血圧が高くなるタイプです。
これは、医師や看護師を前にして緊張から血圧が高くなるためです。軽い高血圧症と診断される、約2~3割の人が白衣高血圧のタイプだと言われています。
血圧の変動は精神状態にも大きく関係してくるため、白衣高血圧で悩む人は意外に多いようです。
白衣高血圧については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。
女性特有の高血圧

女性はホルモン分泌の関係から、妊娠中と出産後、更年期以降に血圧が高くなる傾向がある。
血圧は男性と女性でも、ホルモンの分泌によって変化しやい時期が変わります。
女性特有の高血圧として、妊娠中と出産後、更年期以降に血圧が高くなる傾向があります。
元々、女性は男性に比べて高血圧になる割合が低いです。これは、女性特有のホルモンの分泌が関係しているためです。
しかし、更年期を過ぎる頃から、女性ホルモン「エストロゲン」の減少によって、血圧が高くなる傾向があります。
また、妊娠による体の変化によって起こる「妊娠高血圧症」、出産後も回復が遅れてそのまま高血圧が続く「産後高血圧」があります。
- 更年期以降の高血圧
- 妊娠高血圧症
- 産後高血圧
出産後には自然と血圧は下がるものですが、そのまま高血圧が続き、産後高血圧で悩む女性も割と多いようです。
若い人の高血圧「若年性高血圧」
また、最近では小中学生のこどもや、高校生などでも血圧が高くなるという人が増えています。
29歳ぐらいまでの若い年齢での高血圧を「若年性高血圧」と呼びます。
高血圧は中高年や高齢者の病気というイメージですが、近年では食生活の変化や運動不足による肥満から、若年性高血圧になる傾向があるようです。
- 若年性高血圧
病院では発見されない高血圧「仮面高血圧」

高血圧は病院の健診では発見されない、「仮面高血圧」と呼ばれる隠れた高血圧がある。
高血圧は、健診時の血圧測定によって診断されます。
しかし、病院の健診では発見されない高血圧もあります。そのため、高血圧症と診断されず放置されたままのケースもあります。
このような高血圧を仮面をかぶった高血圧患者として、「仮面高血圧」と呼びます。
仮面高血圧には、夜間や早朝の時間帯だけ血圧が高くなるタイプや、職場でだけ高血圧になるタイプがあります。
- 夜間高血圧
- 早朝高血圧
- 職場高血圧
家庭で毎日血圧を測定することで、このような隠れた高血圧を発見することができます。
家庭での正しい血圧測定方法については、こちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。
危険な高血圧とは?

症状が悪化して重大な発作につながり、急死を招く可能性もある危険な高血圧がある。
高血圧の中でも、放っておくと危険なタイプがあります。
先に紹介している「仮面高血圧」のタイプになる「早朝高血圧」です。
早朝高血圧でも夜間から高血圧が持続している「夜間持続型」は、高血圧でも最も危険なタイプです。
普通なら夜になると血圧は自然と下がるものですが、夜間になっても血圧が下がらず一日中血圧が高い状態が続くため、血管に大きな負担がかかり続けることになります。
そのため、他の高血圧と比べると、心臓病や脳卒中など血管病の発症率が2.8倍となり、高血圧全体の中でも最も血管病を招きやすくなります。
夜間持続型の「早朝高血圧」は、他のタイプに比べて血管病の発症率が2.8倍になる。
高血圧症と診断されて降圧剤を飲んでいても、早朝の血圧値が特に高くなるケースがあります。
原因には、動脈硬化の進行や肥満、喫煙、過度のストレスなどがあります。
早朝高血圧については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでご覧下さい。
高血圧は自覚症状がないため、そのまま放置されるケースも多いです。そのため、症状が進行して重大な発作につながり急死を招く可能性もあります。
早朝高血圧を含め、悪性の高血圧についてこちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。
同じ高血圧でも症状や年齢などでタイプがありますが、いずれも早期に発見して治療することが大切です。
そのためにも、日頃から家庭で血圧を測定する習慣が重要です。また、血圧が高くなってきた場合には、早めの生活習慣の改善が必要になります。