高血圧の人にとってお酒は「毒」にも「薬」にもなる?!

お酒

お酒は“百薬の長”などといわれますが、血圧が高い人にとってのお酒は、飲み方次第では「毒」にも「薬」にもなるのです。

お酒は一時的に血圧を下げ、慢性的に血圧を上げる

血圧が高いとお酒は飲まない方がいいのでは?と思われる人もいるでしょう。確かに、人によっては禁酒した方がいい場合もあります。
ただ、お酒が好きな人だと、飲むのを我慢することでストレスが溜まり、逆に血圧によくない影響を与える場合もあります。

また、お酒は適量を守って上手に飲むことで、血管を広げて血圧を下げたり、リラックス効果もあるので、ストレス解消にもなります。
しかし、過度の飲酒は血圧の変動をもたらし、血圧を上げることになるのです。

また、慢性的にお酒を飲み続けていると、交感神経の緊張亢進や、レニン活性や血管細胞内カルシウムの増加などで、血圧が上がることになります。毎日お酒を飲む生活を続けることで、血圧は除々に上がっていきます。

つまり、アルコールは一時的には血圧を下げて、慢性的には血圧を上げるという、たいへん複雑な作用を持っているのです。

また、アルコールは高エネルギーということを忘れてはいけません。大量の飲酒が習慣化している場合、そこに運動不足が加わることで肥満の原因となります。
更には、高血圧動脈硬化を促進する恐れも出てきます。

大量の飲酒は早朝高血圧の危険がある?!

寝たきりの状態

お酒を正しく飲むには、自己管理が大切。自信が無い方は飲まない方がいいかも?

お酒を大量に飲む人には、高血圧になる傾向が多く見受けられます。周りを見渡してみても、お酒が好きで飲む量が多い人は、だいたい血圧が高いという人が多いのではないでしょうか?

アルコールは一時的に血管が拡張されて、お酒を飲んでいる間は血圧が下がって脈拍が増えます。しかし、酔いがさめてアルコール濃度が薄くなると、血圧は上がります。
このため、毎日の飲酒が習慣化されていると、夜はお酒で血圧が下がり、昼間は上がるという血圧の変動を繰り返すことになります。そうすることで、慢性的な高血圧症となってしまうのです。

毎日お酒を飲んでいると..

夜は血圧が下がる。昼間は上がる。

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慢性的な血圧変動が高血圧症に繋がる!

アルコール自体の高カロリーと併せて、脂質や塩分の多いおつまみを食べることによって、肥満や塩分の摂り過ぎとなることも関係します。

特に、酔いつぶれるほど大量のお酒を飲む人は、アルコールが体内に残っている間は血管が拡張していますが、酔いがさめ始める朝方になると血管が収縮します。そのため、朝の血圧が高くなる「早朝高血圧」の危険性があります。

血圧を下げるために減塩したり、食事療法に取り組んでいたとしても、毎日大量にお酒を飲んでいたのでは、血圧を下げることは期待できません。

適量の飲酒は「百薬の長」となる?

適量のお酒

高血圧の治療では、生活習慣改善の一つとして、アルコールの摂取制限が広く勧められています。お酒を飲む場合は、時々大量に飲酒するよりは、平均して適量を飲むのがいいでしょう。

アルコールによる影響は個人差が大きく、他の条件にもよるので一概には言えませんが、適量なアルコール量の目安があります。
高血圧治療ガイドラインでは、1日のアルコール量を、「男性で2030ml以下」「女性で1020ml以下」という減酒が推奨されています。

適量なアルコール量の計算方法

飲酒量(ml)×アルコール濃度(%)÷100=アルコール量(ml)

飲酒の適量の目安

  • ビール    中瓶1本(500ml)
  • 日本酒    1合(180ml)
  • 焼酎    1/2合
  • ワイン    グラス2杯
  • ウイスキー    ダブル1杯
お酒が「百薬の長」となる場合は、この適量に限ってのことです。
全体的に適量飲酒している人は、死亡率が低く長生きしているという結果があります。心筋梗塞や狭心症など虚血性心臓病は、飲酒量が適量の場合だと、全く飲酒しない人と比べて危険度が低くなるという報告があります。

これは、適量の飲酒により、善玉コレステロールが増えたり、血液が凝固しにくくなるため心臓や頸部、手足などの血管の動脈硬化の程度が軽くなるためです。
このように適量の飲酒に限っては、長寿効果や心臓病予防など健康に良い効果があるとされています。

ただし、大量の飲酒習慣はその逆で、飲まない人よりも全体の死亡率は高くなります。

大量の飲酒は「万病の元」となる

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多量の飲酒は、男性では高血圧の影響を加速させ、動脈と心筋を硬くします。女性では心臓の組織に直接ダメージを与えて心臓肥大を引き起こすこともあります。

アルコールは血圧を一時的に下げますが、長い間飲み続けることで、高血圧不整脈を誘発し、心肥大心不全を引き起こす原因となります。更には、脳出血やくも膜下出血の危険因子ともなります。
また、多量の飲酒により、肝臓や胃腸を痛めたり、精神や神経系にも悪い影響を及ぼします。

実際に、アルコールと血圧の関係について調べた過去の研究のほとんどで、習慣的にお酒を飲む人は、飲まない人に比べて高血圧の頻度が高く、血管年齢は10歳も加齢しているという報告があります。

適量のお酒は「百薬の長」となりますが、多量のお酒は「万病の元」に変わっていくのです。

アルコールは節酒することで血圧が下がる

毎日大量のお酒を飲んでいた人が節酒すると、血圧が急に上昇することがありますが、継続することで血圧は除々に下がってきます。アルコールを1日あたり約30ml減らすと、血圧は3mmHg程下がることが認められています。

これは私の父親の場合もそうでした。父の場合は、入院生活で禁酒を余儀なくされたのがきっかけですが。退院後も血圧が安定するまでお酒はドクターストップがかかり、しばらくは禁酒生活が続きました。
そのおかけで、血圧は下がっていました。もちろん食生活の改善も行っていたので、その影響もあったかもしれません。

しかし、それまでは毎日の飲酒が習慣化されていて、飲む量も適量を超えていました。このような生活から禁酒したのですから、その結果は明らかです。
しばらくして、血圧も安定してきたため、主治医から飲酒の承諾が出て、今では一日おきと決めて適量を守ってお酒を楽しんでいます。

お酒を「百薬の長」とするためにも、最低週二日は休肝日をもうけ適量を守って楽しく飲むのが良いでしょう。

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