高脂血症で起こる症状は? – 早期発見のポイント
高脂血症は、血中の中性脂肪やコレステロールが異常に多くなる状態ですが、ほとんど自覚症状はありません。
しかし、高脂血症を治療せずに放っておくと、動脈硬化を引き起こす恐れがあります。
そのため、自覚症状がなくても、早期に発見して治療に取り組むことが大切です。
今回は、高脂血症で考えられる症状と、早期発見のためのポイントをご紹介します。
高脂血症で起こる症状は?
高脂血症は、血中の中性脂肪やコレステロールが異常に多くなった状態で、最近は「脂質異常症」と呼ばれています。
脂質異常症はほとんどの場合、血液中に脂質が増えるだけで、何も自覚症状が現れません。
そのため、多くの場合は、定期健診などの血液検査で初めてわかることがほとんどです。
脂質異常症(高脂血症)の診断基準
診断 | 数値 |
高LDLコレステロール血症 | LDLコレステロール ≧ 140mg/dL |
低HDLコレステロール血症 | HDLコレステロール < 40mg/dL |
高トリグリセライド血症 | トリグリセライド(中性脂肪)≧ 150mg/dL |
脂質異常症の診断と原因については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
このように、症状だけで高脂血症を早期発見することは難しいです。
また、脂質異常症と診断されても、自覚症状がないため本人は軽く受け止めて、そのまま放置されるケースも少なくありません。
遺伝性で起こる症状
脂質異常症には、遺伝性の「家族性高コレステロール血症」があります。これは、日本人では500人に1人の高い頻度でみられる疾患です。
症状として、「黄色腫(おうしょくしゅ)」と呼ばれるコレステロールの塊が、ひじやひざ、アキレス腱の辺りにできることがあります。
- アキレス腱肥厚(けんひこう)
アキレス腱が盛り上がって痛みを感じたり、黄色い出来物ができる。最も多くみられる症状。 - 腱黄色腫(けんおうしょくしゅ)
手の甲、ひじ、膝の腱にできる硬い盛り上がり。 - 眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)
まぶたにできる黄色い斑点状の盛り上がり。 - 角膜輪(かくまくりん)
黒目の周囲に白い輪ができることがある。
高脂血症(脂質異常症)の悪化で起こる症状
脂質異常症をそのまま放っておくと、増えた脂質がどんどん血管の内側に溜まってしまいます。そして、知らないうちに体の血管が傷つき、動脈硬化を引き起こすことになります。
動脈硬化が起こっても、自覚症状が現れないため、そのまま病気が進行してしまう場合があります。
動脈硬化は、進行する場所によっては「心筋梗塞」や「脳梗塞」など、命の危険性が高い病を発症することになります。
- 脂質異常症は動脈硬化の原因。
- 脂質異常症も動脈硬化も、自覚症状がないまま進行する。
- 動脈硬化が心臓の血管で進行すれば「心筋梗塞」に、脳の血管で進行すれば「脳梗塞」になり、最悪の場合は命を落としてしまう可能性もある。
すい臓は、脂質などを分解する消化酵素を分泌している器官です。そのため、血液中の中性脂肪が多くなりすぎると、それを分解するために大量の消化酵素を分泌することになります。そうすると、消化酵素によってすい臓自体が消化されてしまい、大きなダメージを受けるのです。
- 突然、みぞおちや脇腹などに激しい痛みを感じる。
- 重症の場合は、すい臓だけでなく他の臓器まで損傷して、死に至ることもある。
高脂血症(脂質異常症)を早期発見するには?
高脂血症は、悪化するまで症状が現れないですが、血液検査によって発見することができます。
そのため、早期に発見するためには、健康診断など定期的に病院での健診を受けることが大切です。
高脂血症(脂質異常症)の原因は食生活
脂質異常症の治療は、動脈硬化を予防することが目的です。血液検査で数値に異常があった場合、無症状であっても正しい治療を行う必要があります。
脂質異常症の治療といっても、直ぐに薬物治療が必要になるわけではありません。
薬物治療の適応に関しては、他の危険因子も照らし合わせて決められます。
そのため、脂質異常症の治療では、先ずは食生活の改善を行うことになります。
脂質異常症で特に問題になるのが、「高コレステロール血症」と「高トリグリセライド(中性脂肪)血症」です。そして、その原因のほとんどが食生活にあります。
脂質異常症となる食事については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
高脂血症を防ぐためには、毎日の食生活を見直すことが必要です。
また、血液検査で高脂血症の兆候があった場合には、早めに食事の改善に取り組むようにしましょう。