高脂血症とは？ – 診断基準と原因について

コレステロールや中性脂肪が高くなると心配なのが、「高脂血症」です。
「高脂血症」は、最近では「脂質異常症」と呼ばれ、悪化すると動脈硬化を促進する大きな要因となります。

そこで、「高脂血症」とはどういう状態なのか？悪化するとどうなるのかを詳しく見てみましょう。

「高脂血症（脂質異常症）」とは？

高脂血症とは、血液中の中性脂肪（トリグリセライド）やコレステロールなどの脂質が異常に増えて、一定の基準値よりも多くなった状態のことです。
以前は「高脂血症」と呼ばれていました。しかし、コレステロールでも善玉となるHDLコレステロールは高いほうが良いことを理由に、病名が見直されました。そのため、最近は「脂質異常症」と呼ばれています。

「高脂血症（脂質異常症）」の診断基準

「高脂血症（脂質異常症）」は、血液中の中性脂肪（トリグリセライド）やコレステロールの値によって診断されます。

健康な人では、悪玉のLDLコレステロールが140mg/dL未満、トリグリセライド（中性脂肪）が150mg/dL未満、善玉のHDLコレステロールが40mg/dL以上です。
この三つの値のいずれかが、その範囲を超えた状態を、「高脂血症（脂質異常症）」と診断されて治療が必要になります。

ただ、LDLコレステロールは140mg/dL未満でも、120～139mg/dLの間は「境界域」に該当して、高血圧や糖尿病などがある場合には治療の必要性が高くなります。

「高脂血症（脂質異常症）」の原因は？

では、「高脂血症（脂質異常症）」はどのようなことが原因で起こるのでしょう？

脂質異常症は、過剰な中性脂肪の増加と、HDLコレステロール（善玉菌）の減少が問題で起こります。そのため、最も大きな原因は食生活にあります。

コレステロールを多く含む食品やカロリー過多の食事は、悪玉のLDLコレステロールが増加して「高LDLコレステロール血症」の原因となります。
また、このような食生活が慢性化すると、中性脂肪が増加して「高トリグリセライド血症（高中性脂肪血症）」を引き起こします。
更に、バランスの悪い食事や運動不足による肥満、喫煙などは、善玉のHDLコレステロールを減少させて、「低HDLコレステロール血症」となります。

脂質異常症になる食生活とは？

脂質異常の原因には、毎日の食生活が大きく影響しています。
脂質異常は中性脂肪とコレステロールの増加が問題ですが、コレステロールが増える一番大きな原因は、食事によるエネルギーの摂り過ぎです。
コレステロールは食事によって増えるだけではなく、体内でも作り出されます。

脂肪分や糖分の多い食事、お酒の飲み過ぎ、食べ過ぎなどによるカロリーの増加は、コレステロール値や中性脂肪を増やす大きな要因です。

脂質異常症になる生活習慣

食事だけではなく、運動不足による肥満や喫煙などは、善玉のHDLコレステロールを減少させるため、脂質異常症を起こす要因です。

脂質異常症は、内臓脂肪型肥満による代謝異常の一つでもあります。「内臓脂肪型肥満」とは、腸などの内臓の周りに脂肪がつくタイプの肥満で、中高年の男性に多く見られます。

内臓脂肪が蓄積して肥満状態になると、身体の働きを調整する役割をもつ生理活性物質の分泌や働きが低下します。そうすると、筋肉や脂肪組織に中性脂肪の取り込みが悪くなり、「脂質異常」が起こります。
そのため、内臓脂肪の蓄積による肥満が、脂質異常症を引き起こす原因となるのです。

「高脂血症（脂質異常症）」が動脈硬化を促進させる？！

脂質異常症となっても特に自覚症状はありません。しかし、血液中にはコレステロールなどの脂質が増加して、まさに“血液はドロドロの状態”です。

脂質異常症になると、血管内の内皮細胞に障害が起こり、血管の内壁が傷つきやすくなります。そうなると、そこから血液中に増えたコレステロールが付着して、動脈の内腔が狭く硬くなり、血液の流れを悪くします。

そのため、高血圧だけの時よりも、動脈硬化を急激に促進させることになります。
動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの心血管病を発症させる可能性が高まります。

脂質異常症と動脈硬化の関係については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。

「高脂血症（脂質異常症）」を改善するには？

「高脂血症（脂質異常症）」となる最大の原因は食生活にあります。そのため、脂質異常症の改善には、食生活を見直して改善することが重要です。

コレステロールの多い食品を控えることも大切ですが、体内でコレステロールの材料となるものを減らす必要もあります。そのためには、食事による摂取カロリーを減らすことが大切です。

特に注意したいのが「飽和脂肪酸」の摂り過ぎです。脂肪酸の一種である「飽和脂肪酸」は、過剰に摂取することでコレステロールなどの血中脂質を増やします。
飽和脂肪酸は、牛肉や豚肉、鶏肉の脂肪分、バターなどの動物性脂質に多く含まれています。そのため、これらの食品を摂るのを控えたり、食べる量を減らすことです。

逆に、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きのある、大豆などの植物性タンパク質や食物繊維を積極的に摂るようにするといいでしょう。
高カロリーな食事を控えて、栄養バランスのとれた食事を心がけることです。

また、内臓脂肪は運動によって燃焼されやすい脂肪です。そのため、食生活の改善だけではなく、定期的な運動を行うことで更に改善の効果が期待できるでしょう。

脂質異常症を改善するための食事については、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。

このように、高脂血症（脂質異常症）は毎日の食事が大きく影響して起こります。
コレステロールなど脂質が高くなってきたら、普段の食生活を見直す必要があるかもしれません。