血圧はどうして上がるのか?血圧が変動する仕組み

高血圧を薬剤療法だけに頼らず、根本的に改善するためには、「血圧の仕組み」を理解することが必要です。どうして血圧が上がっているのか?あなたが高血圧になった成り立ちなど、原因となる血圧の仕組みを理解することで、高血圧を改善するための対処法が見えてくるのです。

高血圧の改善には「血圧」を理解することから

高血圧を改善するための情報として、一般的には「血圧を下げるにはどうしたらいいか?」などのハウツーものが多く目立ちます。しかし、「そもそも血圧とは何か?」「血圧はどうして上がるのか?」といったことに対して、知識を持っていない人が意外に多いようです。
高血圧を根本的に改善していくためには、原因となる「血圧を上げる仕組み」をまずは理解しておくことが大切です。

血圧とはどんなもの?

人間の体は、全身を巡る動脈を通して血液が運ばれていきます。そして、その血液は血管の壁を押し広げながら流れていきます。この時、血流が血管の壁を押す圧力が「血圧」です。


血圧 = 血流が血管の壁を押す力

体の中心となる心臓は、ポンプのように収縮と拡張を繰り返して血液を全身へと送り出しています。
心臓から血液が動脈に送られる時の圧力(血圧)が、ある程度保たれていないと、全身に血液を循環させることが難しくなります。そういう意味で血圧はとても重要なのです。

心臓が収縮して血液を送り出す時に、血管壁にかかる圧力が、「収縮期血圧(上の血圧)」です。その逆に、全身から血液が戻ってきて心臓が拡張した時に、血管壁にかかる圧力が「拡張期血圧(下の血圧)」です。

そして、血圧を決める最も重要な要素が、心臓が1回の収縮で送り出す血液の量(心拍出量)と、抹消血管での血液の流れにくさ(抹消血管抵抗)です。

血圧を決める重要な要素

血圧 = 心拍出量 × 抹消血管抵抗

この他にも、血液の粘着度循環血液量大動脈の弾力などのいくつかの因子によって血圧が決定されます。

血圧に関係する体内で作られる物質

血圧を決める主なものは心拍出量と抹消血管抵抗ですが、この他にも体内で作られる物質で血圧の上昇や低下に関わってくるものがあります。

例えば、緊張や興奮して交感神経が活発になると、心拍数も心臓の収縮力も増加して血圧が上昇します。その時、体内では心臓や血管を収縮させるように働く内分泌因子も作られます。その代表的なものが、レニン・アンジオテンシン系カテコールアミンです。これらの物質は、心拍出量を増加させたり、抹消細動脈を収縮させて血圧を上昇させます。

また、これとは逆に、就寝時やリラックスした時など副交感神経が活発になると、心拍数は減り心臓の収縮力は弱まって、血圧は低下します。この時に体内では、心臓の収縮力を抑え、血管の拡張に働く内分泌因子が作らています。その代表的なものが、カリクレイン・キニン系プロスタグランディン心房性Naペプチドファミリーなどの物質です。これらの物質には、血圧を下げる働きがあります。
したがって、これらの内分泌因子の産生や分泌に何らかの障害があると、血圧は上昇することになります

昇圧物質

  • レニン・アンジオテンシン系
  • カテコールアミン

降圧物質

  • カリクレイン・キニン系
  • プロスタグランディン
  • 心房性Naペプチドファミリー
このように、血圧の上昇や低下には、神経因子内分泌因子循環血液量の変化など、様々な因子が複雑に関係しています。これらが心拍出量と抹消血管抵抗に影響し、血圧を調整しているのです。そのため、血圧はとても動揺しやすいのです。

血圧を上げる原因とは?

ストレス

高血圧には2つのタイプがあります。一つは何らかの病気が原因となって起こる、二次性高血圧です。これは腎臓の病気などが原因で高血圧となる場合です。
二次性高血圧は原因がはっきりしているので、原因となっている病気を治療することで改善されます。

しかし、もう一方の本態性高血圧(一次性高血圧)は、特に原因となる病気がないのに血圧が高くなる場合です。現在、日本で高血圧と診断されるほとんどの人が、この本態性高血圧になります。

本態性高血圧は、遺伝的素因生活習慣が複雑に絡んで発症するため、なかなか原因を特定することができません。しかし、遺伝要因と環境要因が関係していることは明らかです。
遺伝要因に加えて、塩分の多い食事や過度の飲酒、肥満、ストレス過多、喫煙、運動不足といった生活習慣が積み重なるうちに、血圧を調整する仕組みに異常が生じて、高血圧になると考えられています。

血圧を上げる原因

遺伝要因

環境要因

食塩(ナトリウム)の摂り過ぎ

肥満

喫煙

運動不足

過度の飲酒

ストレス

血圧を調整する仕組み

血圧は主に、心拍出量と抹消血管抵抗によって決まりますが、体内には血圧を調整する仕組みがあります。自律神経ホルモンがその役目を担っています。血圧が上がっても、しばらくしてまた下がるのはこのためです。

また、体には全身に常に必要かつ充分な血液を循環させるためのセンサーも備わっています。それは圧受容体といって、大動脈や頸動脈(けいどうみゃく)にあります。運動やストレスなどの緊張によって血圧が上昇すると、それを感知して、元の血圧に戻るよう脳の心血管中枢に指令を出すのです。いわゆる血圧を安全に保つための安全装置のようなものです。
しかし、長年の高血圧状態が続くことで、このセンサーの感度が鈍くなり、血圧が高い状態のまま維持するように働いてしまうのです。

高血圧をそのまま改善せずに放って置くということは、この安全装置を自ら壊してしまったような状態なのです。

まずは高血圧になる原因を探ることから

高血圧になる仕組みを理解すると、なぜ自分の血圧が高くなっているのかを知ることができます。そうすると、血圧を下げるための改善策も見えてくるのです。

高血圧になっても、特に生活習慣を改めようとしない人が意外に多いことに驚きます。おそらく、自分の体が危険に晒されているという実感がないためでしょう。
そして、血圧を上げている根本的な原因を理解していないということもあります。

このような場合、何かのきっかけがあって、急に危機感に襲われるということがあります。
よくあるのは、会社の同僚や同年代の知人が若くして、心筋梗塞などの病気で亡くなるという訃報を受け、我が身を振り返るパターンです。そこで始めて、高血圧を放置しておくことの怖さに気付かされるのです。

薬物治療は対処法に過ぎないため、根本的な高血圧の改善にはなりません。血圧を上げている根本的な原因を改善するために最も必要なことは、“自分の意思”なのです。自分の意思で、病気を克服していこうとするところから、本当の意味での“治療”は始まります。

そのためにも、血圧が上がる仕組みを理解して、生活習慣を改めて見直すことが、高血圧改善への一番の近道となるのです。

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