薬(降圧薬)でも下がりづらい血圧がある?

血圧を下げるために使われる降圧薬ですが、服用したからといって誰でも必ず血圧が下がるとは限りません。いくつかの要因によっては、薬を使っても下がりづらい血圧というのもあります。

もしあなたが降圧薬を飲んでいても血圧が下がらないという場合、他の要因が関係しているのかもしれません。

薬

降圧薬を飲んだからといって、必ず血圧が下がるという訳ではない。

薬でも血圧が下がりづらい「治療抵抗性高血圧」

降圧薬は、多くの場合2〜3剤の薬の併用が必要となります。しかし、3剤以上の降圧薬を服用しても、血圧が目標血圧まで下がらない高血圧というのがあります。
それは、「治療抵抗性高血圧」と呼ばれるものです。割合としては、一般診療では数%と言われていますが、腎臓内科外来や高血圧専門外来では、半数以上という報告もあります。

治療抵抗性高血圧には様々な原因があります。もし、降圧薬を服用していてもなかなか目標値まで血圧が下がらないという場合は、これらの要因がないか確認してみる必要があります。

思い当たる要因があれば、それを改善することで十分な降圧効果が望める可能性があります。

治療抵抗性高血圧の要因と対策

要因 対策
白衣高血圧、白衣現象 自宅での血圧測定を習慣づける。自由行動下血圧測定(体に付けた自動血圧計による15〜30分毎の測定)を習慣づける。
肥満の進行 カロリー制限を徹底して食事療法を行ったり、運動不足を解消する。
過度の飲酒 飲酒する場合は、エタノール換算で男性20〜30ml/日以下、女性10〜20ml/日以下を徹底する。
睡眠時無呼吸症候群 専門医でCPAP(睡眠時の鼻マスクによる無呼吸の治療法)による治療を行う。
塩分の摂り過ぎ 栄養士に相談するなどして食事療法を徹底する。
他の薬の併用 経口避妊薬、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、甘草を含む漢方薬、シクロスポリン、エリスロポエチン、抗うつ剤などは中止あるいは減量する。
治療の目標 何のために治療しているか、高血圧が体にどんな危険をもたらすかを再度確認する。

血圧を上げる薬もある?

薬を服用する際に気をつけなければいけないのは、知らずに血圧を上げる薬を服用している場合があるということです。
風邪のひき始めや、胃の調子が悪いから、、そんな軽い気持ちで飲んだ市販薬が、降圧薬に影響する場合があります。

市販薬や漢方薬の中には、血圧を上げる作用があるものがあります。測定で血圧が高く出る場合、そうした薬を服用していないかどうかチェックする必要があります。

血圧を上げる作用を持った薬剤

アドレナリン系統の薬剤(昇圧剤でもある)

  • 鼻詰まり、咳止め薬(エフェドリン系)
  • かぜ薬(咳止め入りのもの)
  • 喘息の薬(アドレナリン系=β作動剤)
  • 漢方薬(麻黄、小青竜湯などエフェドリン系薬剤が入っているもの)
  • 昇圧剤(エホチールなど)
抗炎症剤、解熱剤(血管収縮作用があるため血圧が上昇する)

  • 非ステロイド抗炎症剤
  • 解熱鎮痛剤
  • ステロイド剤、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)
  • 甘草、グリチルリチン
ステロイド以外のホルモン剤、ホルモン代謝剤

  • 甲状腺ホルモン
  • インスリン及び経口血糖値降下剤
精神・神経系薬剤及び類似薬剤

  • 三環系抗うつ剤
  • SSRI(うつ病、パニック障害用の薬剤)
  • 抗精神病薬(フェノチアジン、ブチロフェノン剤など)
  • 制吐剤(メトクロプラミド)
  • 抗潰瘍剤(スルピリド)
  • ある種の抗ヒスタミン剤(オキサトミド)
抗パーキンソン病剤
アルツハイマー用剤
片頭痛用剤
輸血・血漿代用剤
その他

  • 抗がん剤
  • 造影剤
  • 麻酔剤
  • 経口避妊剤
  • 麻酔拮抗剤など

降圧薬と相性の悪い薬もある?

薬によっては降圧薬との併用に注意が必要なものがあります。
特に高齢者になると、その他の病気を併発する可能性も高くなる為、降圧薬以外の薬を服用することが多くなります。そのため、薬同士の相互作用が問題となるのです。

薬は体の中に入ると、肝臓で酵素によって分解されることになります。この薬物を分解する代表的酵素はチトクロームP−450(CYP)と呼ばれる一群の酵素で、それぞれ異なる薬物代謝を分担しています。
この際、薬物によってはこれらの酵素との関わりが異なる為、薬の血中濃度が高められることもあるのです。また、逆に血中濃度が低下する場合もあります。

降圧薬の中でも、他の薬との相互作用が最も問題となるのがカルシウム拮抗薬です。
強心薬のジギタリスや交感神経受容体抑制薬、さらに抗不整脈薬の血中濃度は、多くのカルシウム拮抗薬の使用によって上昇します。
一方、カルシウム拮抗薬の血中濃度が上昇するものもあります。それは、消化性潰瘍の治療薬、抗真菌薬、抗生物質、あるいは免疫抑制薬と併用された場合です。

また、薬だけではなく、食品にも降圧薬に影響のあるものがあります。グレープフルーツの摂取によって、ある種のカルシウム拮抗薬の血中濃度が上昇することが明らかにされています。

グレープフルーツ

グレープフルーツと降圧薬の飲み合わせには要注意を!薬を飲んでいる間は、グレープフルーツは控えるようにすべき。

他に、カルシウム拮抗薬の血中濃度を低下させる可能性がある薬剤として、抗テンカン薬、抗結核薬あるいはステロイドホルモンなどがあります。

カルシウム拮抗薬と他の薬との相互作用

併用によって起こる可能性がある作用 薬の種類 その他食品など
カルシウム拮抗薬との併用で、血中濃度が上昇する可能性がある
  • ジギタリス、キサンチン誘導体
  • β遮断薬
  • α遮断薬
  • 抗不整脈薬
カフェインなど
カルシウム拮抗薬の血中濃度を上昇させる可能性がある
  • 消化性潰瘍治療薬
  • 抗真菌薬
  • 抗生物質
  • 免疫抑制薬
  • β遮断薬
グレープフルーツ
カルシウム拮抗薬の血中濃度を低下させる可能性がある
  • 抗結核薬
  • 抗テンカン薬
  • ステロイドホルモン

高血圧以外の病気で薬を服用している場合には、必ずその旨を医師に伝えて確認することです。また、一見血圧とは関係がないように思える病気でも、市販薬などを服用する際には十分に注意する必要があります。

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