ニンニクがスタミナ料理と言われる理由 – その効果と薬効は?
ニンニクが入っている料理は“スタミナ料理”と言われますよね?
確かに、夏バテや疲労がたまっている時にニンニク料理を食べると、疲れががとれて元気になれる気がします。しかし、これは気のせいだけではありません。
ニンニクには、“スタミナ料理”と呼ばれるだけの疲労回復に効果のある栄養成分が豊富に含まれているのです。
目次
「ニンニク」料理はなぜスタミナがつくのか?
スタミナ料理といえば、必ずといっていいほど「ニンニク」が入っていますが、それにはちゃんとした理由があるのです。
肉体疲労や食欲不振、虚弱体質など、元気のない人がニンニクを食べると、はっきりとその効果が現れ、やる気が出て体の動きも活発になります。
これにはニンニクの薬効の一つである“強壮作用”の働きが関係しています。
- 独特の味と香りによる食欲増進効果
- 自律神経の交感神経系を刺激して興奮させる
- 糖や脂質の燃焼を促進し、エネルギーに変換する
- ビタミンB1の血中レベルを上昇させる
- 性ホルモンの分泌を促進する
ニンニクに含まれる「アリシン」には、このビタミンB1の吸収率を上げて、その働きを長時間持続させる作用があります。そのため、糖分がスムーズにエネルギーとなり、疲労回復やスタミナをアップさせる効果があるのです。
「ニンニク」に含まる有効成分と薬効の関係
ニンニクは疲労回復効果だけではなく、様々な効果に期待できる有効成分が豊富に含まれています。
では、その有効成分と薬効の関係を見てみましょう。
アリイン
「アリイン」は、生ニンニクに含まれる非タンパク性の含硫アミノ酸です。
主な薬効:
体熱を作らせる作用。
アリイナーゼ
アリイナーゼは、生ニンニクに含まれる酵素です。
ニンニクをすったりして細胞が破壊されると出る酵素で、アリインに作用します。
アリシン
アリシンは、生ニンニクに傷をつけると生じるニオイの本体です。
主な薬効:
殺菌作用、抗菌作用。
アリルスルフィド類
アリルスルフィド類は、アリシンが分解して生成するイオウ化合物です。
主な薬効:
ガン予防、抗血栓作用、血小板の凝縮抑制作用、肝臓の解毒酵素活性を上昇させる作用。
アホエン
アホエンは、アリシンを油などで低温加熱すると生じます。
主な薬効:
ガン予防、抗ウィルス・抗菌作用、血小板の凝縮抑制作用、抗血栓作用。
スコルジニン
スコルジニンは、ニンニクの中の諸成分を抽出処理してできた複雑な化学構造をもつ物質です。
主な薬効:
強壮作用、抗酸化作用、抗ガン作用。
S-アリルシステイン、S-メチルシステイン
「S-アリルシステイン、S-メチルシステイン」は、ニンニクを長期間熟成した濃縮エキスに含まれます。
主な薬効:
抗ガン作用、抗酸化作用、老化防止。
アリキシン
アリキシンは、フェノール(石灰酸)性化合物です。
主な薬効:
抗ガン作用。
ニンニクには、特有の強烈な匂いがありますが、このニオイの成分にこそ優れた薬効があるのです。
ニンニクを切ったり、すりおろしたりすると生じるニオイの成分「アリシン」には、強力な殺菌・抗菌作用があります。その効果はコレラ菌やチフス菌などに対しても抗菌力を示すほどだといわれます。また、風邪やインフルエンザのウィルスにも効果を発揮するものです。
「ニンニク」はガン予防効果が最も高い野菜?!
このように優れた有効成分をもつニンニクですが、その薬効には日本人の死因トップ3である、「ガン、脳梗塞、心筋梗塞」のいずれにも効果を発揮すると言われるものです。
中でも注目されるべき効果として、「ガン予防効果」があるということです。
これは、アメリカ国立ガン研究所を中心にした、ガンに予防効果のある食品を探し出す国家プロジェクト「デザイナーズ計画」でも明らかとなっています。これは、様々な食品とガン発生の関係を調べたものですが、40種類以上の食品の中で、ガン予防の効果がある食べ物として、トップに立ったのがニンニクだったのです。
「ニンニク」の有効成分を発見したのは日本人の研究者だった?!
ニンニクに含まれる無臭有効成分「スコルジニン」には、末梢血管を拡張させる作用があります。そのため、血行を促進して血圧が上がるのを抑える働きがあります。
また、酸化還元作用もあるため、体内の細胞を活性化して代謝を促進する働きがあります。
更に、アレルゲンや有害物質を無効化して、速やかに排出する作用もあります。それにより、アレルギーの症状を抑える効果もあるのです。
- 末梢血管拡張作用があり、血行促進や高血圧を抑える働きがある。
- 酸化還元作用によって、体内の細胞を活性化して代謝促進。
- アレルゲンや有害物質を無効化して速やかに排出する作用があり、アレルギー疾患に有効。
小湊博士は50年にもおよびニンニクを研究し続け、ニンニク研究者としては世界の第一人者として、1967年に世界16ヶ国からなる第三回ニューヨーク国際発明展で銀賞を受賞しています。
ニンニクは5000年の昔から人類に愛用されながらも、何の成分がどのように効果があるのか解明されず、謎の植物とされてきました。しかし、小湊博士のような熱心な研究者たちのおかげで、現在ではその有効成分の正体が明らかとなっているのです。
「ニンニク」は高血圧を予防する効果もある?!
ニンニクは“スタミナアップ”や“滋養強壮”のイメージが強いため、高血圧の人にはよくないと思われる人もいるかもしれませんが、実はニンニクには血圧を下げる効果もあるのです。
それは、ニンニクがもつ血管拡張作用やコレステロール低下作用、血液をサラサラにする作用があるためです。
ニンニクに含まれる「スコルジニン」には、血栓を予防したり、末梢血管の血液の流れを改善するという働きがあります。そのため、血液をサラサラにする効果があります。血管が拡張され、血流が良くなると血圧は下がります。
また、コレステロールを抑制することで、コレステロールが血管内に溜まり血管が細くなることを防ぐことができます。そのため、血圧の上昇を防ぐことができるのです。
更に、アリシンを加熱すると生じる「アホエン」には、抗血栓作用があります。血栓を予防することで、脳卒中や心筋梗塞を防ぐことにもつながるのです。
熟成発酵した「黒にんにく」には、更なるすごい有効成分が
このように疲労回復効果や抗ガン作用、高血圧を予防する栄養成分に優れたニンニクですが、更にその効果が高まるものに変身するのです。
それが今健康食として話題の「黒にんにく」です。
一般の白いニンニクを高温・多湿という環境のもとで、熟成・発酵させて作られる黒にんにくは、「アミノ酸」や「ポリフェノール」、「S-アリルシステイン」といった有効成分が通常のニンニクの数倍増えることがわかっています。
そのため、抗酸化力や免疫力、抗ガン作用が高まることで近年特に注目されている食品なのです。
「黒にんにく」の詳しい効能については、こちらの記事を参考にして下さい。
ニンニクはスタミナがつくだけではなく、体を健康に保つための栄養成分に優れた野菜です。毎日食べ続けることで、その効果も実感できるはずです。
是非、日々の食生活にニンニクを摂り入れてみてはいかがでしょう?