妊婦と血圧の関係 – 高血圧のリスクと胎児への影響

妊娠すると定期的に妊婦検診を受けます。そこで毎回行うのが「血圧測定」です。
何故、妊娠すると毎回血圧を測る必要があるのでしょう?
それには、妊娠中の高血圧を早期に発見する目的があるからです。

今回は、妊娠中に血圧が高くなるとどんなリスクがあるのか?また、どのようなことに注意したらいいのか、「妊婦と血圧の関係」について詳しく紹介します。

妊婦検診で血圧測定する理由

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妊娠すると、これまで健康だった人でも血圧が変動しやすくなります。また、妊娠をきっかけに高血圧になる場合もあります。
妊娠中に高血圧になると、「妊娠高血圧症候群」となり、母体だけではなく胎児への影響も出てくる危険性があります。定期的に妊婦健診で血圧測定をするのには、「妊娠高血圧症候群」を早期に発見する目的があります。

「妊娠高血圧症候群」は、妊娠32週以降に発症することが多いですが、「早発型」と呼ばれる妊娠32週未満で発症した場合、重症化する可能性もあるため十分な注意が必要です。

「妊娠高血圧症候群」

妊娠20週以降、産後12週までに高血圧を発症した場合。

妊娠高血圧症候群の診断目安

  • 軽症の場合
    収縮期血圧140mmHg以上、160mmHg未満、あるいは拡張期血圧90mmHg以上、110mmHg未満。
    尿蛋白300mg/日以上〜2,000mg/日未満。
  • 重症の場合
    収縮期血圧160mmHg以上、あるいは拡張期血圧110mmHg以上。
    尿蛋白2,000mg/日以上。

妊婦の血圧の目安は?

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では、妊娠中の血圧はどのくらいが正常値になるのでしょう?
妊婦の血圧の正常値を知っておくと、妊婦健診で血圧測定した際に、高血圧を予防する目安ができます。
また、どこからが高血圧となるのか、その基準を把握しておくことも大切です。

妊婦の血圧の目安

  • 至適血圧 120/80mmHg未満
  • 正常値 130/85mmHg未満
  • 正常高値 140/90mmHg未満
  • 妊娠高血圧症候群 140/90mmHg以上
    ※「至適血圧」とは、脳梗塞や心臓病、腎臓病などの臓器障害を起こさないための理想的な血圧の値のこと。

妊娠中の「低血圧」

また、高血圧とは逆に、妊娠中には「低血圧」になる場合もあります。妊娠時期によって、低血圧になる原因は異なります。
低血圧になると、少しの動作でもふらついたり、めまいや疲れやすくなったり、むくみが出やすくなる症状が起こります。

妊娠時期による「低血圧」

  • 妊娠初期
    つわりなどにより水分の摂取量が少なくなることや、貧血によって血圧が低下する。
  • 妊娠5〜6ヶ月頃まで
    胎盤の形成で血液が胎盤に集中する為、一時的に低血圧や貧血になる事がある。
  • 妊娠中期から後期
    大きくなった子宮に周辺の静脈が圧迫されて、血液の循環が悪くなることで低血圧になる。
低血圧の場合は、薬などによる治療方法はありません。
そのため、妊娠中に低血圧になった場合、水分をしっかり補給したり、朝は塩分を多めに摂るようにしてミネラルや鉄分を補給するように心がけることです。

妊婦で高血圧になると、どんなリスクが?

妊婦の高血圧のリスク

妊婦の高血圧は、母体だけではなく退治へ影響する可能性もある。

妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの約20人に1人の割合で起こります。
高血圧が重症になると、「子癇(しかん)」と呼ばれるけいれん発作や、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害を起こす可能性が出てきます。
また、正常な位置にある胎盤が、分娩前に子宮壁から剥離されて大量出血を起こす、「常位胎盤早期剥離」につながり、妊娠を維持できなくなるリスクもあります。

更に、母体だけではなく胎児へ影響が出る場合もあります。赤ちゃんの発育不良や、場合によっては胎児死亡の可能性もあります。

娠高血圧症候群は重症化すると、母子ともに大変危険な状態になることがあるため、薬物治療や入院が必要になることもあります。

妊娠中の高血圧のリスク

  • 重症化すると、子癇(しかん)や、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害を起こす。
  • 常位胎盤早期剥離になると、妊娠を維持できなくなる。
  • 重症の場合には、薬物治療や入院が必要になる。
  • 胎児への悪影響もあり、発育不良や、場合によっては胎児死亡の可能性もある。
また、症状が重いと出産後も高血圧が続くことがあり、薬物治療を行う必要があります。そうなると、母乳で赤ちゃんを育てることができなくなります。

妊娠中の高血圧のリスクについては、こちらの記事で詳しく紹介していますので参考にして下さい。

妊婦の高血圧を予防するためには?

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群は、軽度のうちに早期発見することが大切。

このように妊娠高血圧症候群は、重症化すると母子ともに大きなリスクが伴うため、軽症の段階でしっかりと対処することが大切です。

早目に血圧の変動に気づくこと

娠高血圧症候群を予防するためには、早目に血圧の変動に気づくことが重要です。
そのためにも妊婦健診だけではなく、家庭でも血圧を測定することで、高血圧を早期に発見することができます。

高血圧を早期発見する

家庭でも血圧測定を行う(1日3回、食事前に血圧を計る習慣をつける)。

家庭での正しい血圧測定方法については、こちらの記事で詳しく案内していますので参考にして下さい。

血圧を上げないための生活習慣

高血圧の予防には、生活習慣を見直す必要もあります。
食生活では、塩分の摂り過ぎ以外にも高血圧になる原因があります。脂質や糖分の摂り過ぎ、食べ過ぎも血圧を上げる要因となります。

血圧を上げないようにするためには、良質なタンパク質や食物繊維、ミネラルが十分摂れるようなバランスの良い食事を心がけることです。

高血圧を予防する食事のポイントについて、こちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。

家族とのコミュニケーションが大切

妊娠中のストレスや不安

妊娠中のストレスや不安は、自分一人でため込まないよう家族とのコミュニケーションが大切。

女性は妊娠すると、体調の変化だけではなく精神的にも不安定になりがちです。
自律神経と血圧は深く関係しているため、ストレスや緊張、不安なども、高血圧の原因となります。
精神的なストレスが続くと、交感神経が活発になり、分泌されるホルモンの影響で血管が収縮して、血圧が高くなります。

妊娠中は何かと気がかりなことが増えて、普段よりも不安やストレスが多くなります。
ストレスや不安は、自分一人でため込まないようにすることが大事です。
家族との時間をいつもより意識的にとるようにして、妊娠中の不安を解消できるようにすることが大切です。

妊婦と血圧の関係についてのまとめ

妊娠中は様々な身体の変化が起こりますが、特に血圧には注意する必要があります。

そのためにも、妊婦健診をしっかり受けて、血圧の変動を早期発見することが大切です。
また、「むくみやすくなった」「急激に体重が増えた」など、気になる症状がある場合には、医師や看護師さんに相談するようにしましょう。
特に血圧が高くなってきたら、「これくらいなら大丈夫だろう」と、勝手に自己判断はしないことです。どんな些細な症状でも、かかりつけの産婦人科で相談することが大切です。

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