妊娠高血圧症候群とは? – 母体と胎児への影響

女性は妊娠すると、体の変化に伴い様々なトラブルが生じます。
妊娠中に特に注意したいのが、「妊娠高血圧症候群」です。
悪化すると、母体だけではなく胎児への影響も出てくる可能性があります。

そこで今回は、妊娠高血圧症候群で起こるリスクと、予防するためにはどうしたらいいのか詳しく見てみましょう。

妊娠高血圧症候群とは?

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降、分娩後12週までに収縮期血圧(最高)が140mmHg以上、拡張期血圧(最低)が90mmHg以上の状態を指します。
また、高血圧か尿に蛋白が出るかのどちらかに当てはまる場合に、妊娠高血圧症候群と診断されます。

妊娠高血圧症候群は、妊婦検診で行なわれる血圧測定、尿検査などで発見され、その割合は妊婦さん全体の約3〜7%です。

血圧の値と尿に含まれる蛋白の量により、症状の程度が決まります。重症化すると、母体、胎児ともに命の危険にさらされることもあるため、十分な注意が必要です。

症状の程度

  • 軽症の基準
    血圧が収縮期血圧(上)が140mmHg以上で16mmHg0未満、拡張期血圧(下)が90mmHg以上で110mmHg未満、尿蛋白が+の場合。
  • 重症の基準
    軽症の基準となってる各数値の上限を超えた場合。
    複数回検査していずれも尿蛋白が連続して3+の場合。
また、発症時期によって、「早発型」と「遅発型」に分けられます。
一般的には、早発型のほうが重症になる傾向があるため、特に注意する必要があります。

発症時期

  • 早発型
    妊娠20~32週未満で発症したもの
  • 遅発型
    妊娠32週以降に発症したもの

妊娠高血圧症候群の種類

症状や症状が見られる時期によっていくつかの種類に分けられます。

名称 発症時期 症状
妊娠高血圧 妊娠中期の妊娠20週目から出産を経て、分娩後12週目までの間 高血圧のみ、もしくは高血圧と蛋白尿の症状が妊娠が要因となって見られる場合。
妊娠高血圧腎症 妊娠20週を超えてから 高血圧となり、更に尿蛋白も併発します。分娩後12週までには回復する場合。
加重型妊娠高血圧腎症Ⅰ 妊娠前もしくは妊娠20週まで 既に高血圧症状があり、妊娠20週を超えてから尿蛋白症状が出た場合。
加重型妊娠高血圧腎症Ⅱ 妊娠前もしくは妊娠20週まで 高血圧と尿蛋白両方の症状があり、妊娠20週を超えてから一方もしくは両方の症状が悪くなる場合。
加重型妊娠高血圧腎症Ⅲ 妊娠前もしくは妊娠20週まで 尿蛋白の症状があって、妊娠20週を超えてから高血圧症状が出る場合。
子癇 妊娠20週を超えて 妊娠が要因となってけいれんが起きる場合。

妊娠高血圧症候群が悪化した場合のリスクは?

「妊娠高血圧症候群」は、悪化すると母体と胎児の両方に悪影響を与える可能性があります。

「妊娠高血圧症候群」の母体への影響

妊娠高血圧症候群

「妊娠高血圧症候群」は悪化すると、母体と胎児の両方に悪影響を与える可能性が出てくる。

妊娠高血圧症候群が重症化した場合、血圧の上昇や蛋白尿に加えて、脳出血子癇(しかん)と呼ばれるけいれん症状を起こすことがあります。

また、腎臓・肝臓の機能障害の合併症状や、最悪の場合には、HELLP(ヘルプ)症候群と呼ばれる肝機能障害や溶血(ようけつ)を伴う異常が起こることもあります。

更に、正常な位置にある胎盤が分娩前に子宮壁から剥離されて、大量出血を起こす「常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)」につながるリスクが出てきます。
このような状態になると、母体も胎児も大変危険な状態となるため、緊急帝王切開で出産する可能性もあります。そのため、通常分娩ができなくなる場合もあるのです。

「妊娠高血圧症候群」の母体への影響

  • 脳出血
  • 腎臓・肝臓の機能障害の合併症状
  • 子癇(しかん)
  • HELLP(ヘルプ)症候群(肝機能障害)
  • 常位胎盤早期剥離
  • 緊急帝王切開での出産

「妊娠高血圧症候群」の胎児への影響

悪化することで起こる胎児への影響は、血液の流れが悪くなることで胎児に送る酸素や栄養が不足して、赤ちゃんが十分に育たなくなる「胎児発育不全」「胎児機能不全」などを引き起こすことです。

そのため、体重が少ない低出生体重児になったり、低酸素症で脳に悪影響を及ぼすこともあります。

「妊娠高血圧症候群」の胎児への影響

  • 胎児発育不全
  • 胎児機能不全
  • 低出生体重児

「妊娠高血圧症候群」の出産後のリスク

症状が重いと、出産後も治らずに高血圧が続く場合があります。
そうなると薬物治療が必要となり、生まれてきた赤ちゃんに母乳を与えられなくなる可能性もあります。

妊娠高血圧症候群になる原因は?

「妊娠高血圧症候群」になる原因は、妊娠によって起こる体の変化にうまく体が適応できないためと言われていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
ただ、妊娠中に高血圧を発症しやすい危険因子というのがあります。そのため、以下に記すような要因があると、「妊娠高血圧症候群」を発症しやすくなります。

「妊娠高血圧症候群」を発症しやすいタイプ

  • 高齢もしく若齢(年齢が15歳以下、もしくは40歳以上)
  • 肥満の人(BMI値が25以上)
  • 高血圧、甲状腺機能障害、糖尿病などの合併症がある場合
  • 母親が妊娠高血圧症候群を発症したことがある場合
  • 初産婦の場合
  • 双子以上の多胎妊娠
  • 胞状奇胎がある場合

妊娠高血圧症候群を予防するには?

妊娠高血圧症候群の予防

妊娠高血圧症候群は重症化しないよう、妊婦健診をしっかりと受けて血圧の異常を早期発見することが大切。

妊娠高血圧症候群は重症化しないよう予防することが重要です。
そのためには、定期的に妊婦健診をしっかりと受け、血圧の異常を早期発見することが大切です。
また、自宅で血圧を測定することで早期発見にもなり、予防への意識を高めることにもつながります。

妊娠高血圧症候群は早期発見が重要

  • 定期的に妊婦健診を受けるようして、血圧の異常を早期発見する
  • 自宅での血圧を測定する
「妊娠高血圧症候群」は、危険因子があると発症しやすくなりますが、他にも、急な体重の増加や、塩分や糖分の摂り過ぎなどの食生活も影響します。
特に妊娠中は、体調の変化や食の好みが変わったりして、食生活が崩れがちになります。そのため、栄養バランスのよい食事を摂ることが大切です。
また、不安感やストレスから精神的にも不安定になります。血圧の変動は自律神経とも深く関係しているため、なるべくリラックスできるよう心がけることも大事です。

生活習慣の改善

  • 栄養バランスのよい食事
  • リラックスを心がけた生活
高血圧を予防するための食事療法については、こちらの記事で紹介していますので参考にして下さい。

妊娠中は体調が大きく変化しがちですが、高血圧には特に注意する必要があります。
予防のためにも、しっかりと定期検診や家庭血圧を測定するよう心がけましょう。

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