正常な血圧を測るには?家庭用血圧計の種類と正しい測り方
高血圧の治療でベースとなるのが、血圧の「自己測定」の習慣です。
家庭で血圧測定をする習慣をつけることで、体の変化や状態を把握することができます。また、降圧薬を処方されている場合には、薬の効き目を知る上でも大切になります。
そこで今回は、家庭で正しく血圧を測るために注意するポイントと、正しい測り方についてご案内します。
目次
血圧を測るのに最適な家庭血圧計は?
家庭で血圧を測る際に使う血圧計には、指先で測るものや、手首式、上腕式などがあります。
血圧計を選ぶポイントは、計測機器の精度とデータの信頼性の高いものを選ぶことです。
また、誰でも簡単に操作できて、血圧を正しく測ることができるものが必要とされます。
このような条件からすると、家庭用の血圧計で推奨されるのは、誤差が出やすいとされる手首や指先で測るものより、上腕で測定するものになります。
ちなみに日本高血圧学会では、「家庭血圧測定条件設定の指針」というのを定めていて、上腕での測定器を推奨しています。
簡単な操作で計測値の信頼性が高い「上腕で測定するタイプ」
家庭用血圧計の正しい測り方
家庭での血圧測定は、1日に朝と晩の2回、できるだけ同じ条件の元で測るようにします。
- 座って上腕をテーブの上に乗せ、上腕の動脈と心臓とが同じ高さになるようにする。
- カフ(腕に巻くベルト)を十分に押しつぶして中の空気を完全に抜く。
- カフの中央が上腕動脈にかかるようにし、カフの下端を肘より指2本程、上に来るようにする。
- カフと腕の間に指1〜2本が入る程度のゆとりをもたせて巻く。
- 加圧ボタンを押して測定する。
- 2回以上測定して、平均値を記録する。1回毎にカフをゆるめて、1分程間をおいてから測るようにする。
家庭血圧を正しく計るために注意すること

家庭血圧を正しく測定するには、いつも同じ条件の元でリラックスした状態で測るようにする。
家庭で血圧を正しく測るためには、落ち着いた状態で測ることです。
座って深呼吸などをして、1〜2分リラックスしてから測るようにします。
測定に適したタイミングは、朝は起床後1時間以内で、薬の服用や朝食をとる前です。夜は就寝前になります。
また、測定の30分前は運動や興奮しないようにします。冬は屋外に出て寒さを感じていたら、30分程経ってから測るようにしましょう。
食事や運動、トイレ、入浴の直後を避け、毎日決まった時間にできるだけ同じ条件で測るようにすると、正しい血圧値を測定することができます。
- 深呼吸などしてリラックスして測る
- 毎日同じタイミングで測る
- 朝は起床後1時間以内に測定する
- 朝食前や就寝前の1日2回測定する
- 2回以上測定して平均値を記録する
- トイレは済ませてから測る
- 食事、運動、喫煙後の計測は、30分以上あけるようにする
一般的に、家庭で測定する血圧値は、病院などの診察室で測る血圧よりも低めになる傾向があります。
そのため高血圧のガイドラインでは、「家庭血圧」は「診察室血圧」よりも低めに設定されています。
「高血圧治療ガイドライン」については、こちらの記事で紹介していますのでご覧ください。
「家庭血圧」を測ることで発見できる危険な高血圧とは?

「家庭血圧」を測る習慣をつけることで、放っておくと危険な「早朝高血圧」を発見することにもつながる。
「家庭血圧」を測る習慣をつけることで、そのまま放っておくと危険な「早朝高血圧」を発見することができます。
「早朝高血圧」は、病院などの健診では正常血圧値でも、早朝の血圧値が急激に高くなる高血圧です。そのため、検診などでは高血圧症と診断されず、治療もせずにそのまま放置されるケースも多いのです。
しかし、「早朝高血圧」をそのまま放っておくと、起床前後に多発する脳卒中や心筋梗塞などを発症する危険性も高くなります。
そのため、毎日の血圧を測定することで、このような危険な早朝高血圧を発見することにもつながるのです。
「早朝高血圧」は、既に降圧薬を飲んで治療している人でも起こる症状です。
前日に飲んだ薬の効果が寝ている間に切れて、早朝になると血圧が急上昇する場合もあるからです。
そのため、「早朝高血圧」は突然死にもつながる最も危険な高血圧なのです。
「早朝高血圧」になりやすいタイプなど、こちらの記事で紹介していますので、是非参考にして下さい。
1日の変動がわかる24時間血圧測定
1日の血圧変動がわかる検査に、24時間携帯血圧計(自由行動下血圧測定、ABPM)検査があります。
これは上腕にカフを巻いて、腰にベルトで固定した記録計によって24時間の血圧変動を測定するための検査です。
24時間の血圧変動を測定することで、早朝高血圧や白衣高血圧、逆白衣高血圧の発見や、心血管系疾患の発症の可能性などを判断するのに役立ちます。
この検査は、循環器の専門医などで受けることができます。
家庭での血圧測定は、自己療養の基本のひとつです。高血圧を治療するためにも、まずは正しい血圧値を測ることが最も大切となります。
そのためにも、毎日の“はかる”習慣をつけて、血圧の変動をしっかりと管理するようにしましょう。