動脈硬化の原因「脂質異常症」を改善するための食事とは?
動脈硬化は血管の老化が進んで起こります。そのため程度は異なりますが、加齢とともに誰でも進行していくものです。
しかし、加齢以外に動脈硬化を急速に進行させるものもあります。中でも、特に大きな要因となるのが「脂質異常症」なのです。
動脈硬化を促進する「脂質異常症」とは?
「脂質異常症(高脂血症)」とは、メタボリックシンドロームとなる4つの危険因子の一つです。
- 内臓脂肪型肥満
- 高血圧
- 脂質異常症
- 高血糖
脂質異常症は、血液中の中性脂肪(トリグリセライド)やコレステロールなどの脂質が異常に増えて、一定の基準値を超えた状態になります。
目安となるのは、「中性脂肪(TG) 150mg/dL以上または、HDLコレステロール 40mg/dL未満」です。ここでのコレステロール値は、悪玉のLDLコレステロールではなく、HDLコレステロールの値で判断します。これは、中性脂肪とHDLコレステロールの方が、他の生活習慣病との関係が強くなるため、このどちらかの値で診断するのです。
- 中性脂肪(TG) 150mg/dL以上または、
- HDLコレステロール 40mg/dL未満
高血圧だと「脂質異常症」を合併しやすい?
血圧が高い人は、生活習慣から脂質異常症を合併しやすい傾向にあります。
メタボリックシンドロームは4つの要素のうち、内臓の周囲に脂肪がたまる“内臓脂肪型肥満”が診断のベースとなります。そして、他の3つの要素“高血圧”“脂質異常症”“高血糖”はそれぞれが軽症でも、因子が重なることで動脈硬化の危険性が増すと考えられています。
そのため、それぞれが比較的軽度であったとしても、危険因子を複数かかえている場合、それぞれの病気を改善しながら、動脈硬化を予防する必要があるのです。
「脂質異常症」の原因となる生活習慣とは?

喫煙などによるHDLコレステロールの低下は脂質異常症の原因となる
脂質異常症の原因であるコレステロールの増加ですが、体内で合成されるのが70~80%です。残りの20~30%は、食品から摂取されることになります。
また、体内で合成されるコレステロールも、食品から摂取した脂質や糖質を原料として作られます。そのため、高脂肪の食品や甘い物の食べ過ぎは、脂質異常症の原因となるのです。
更に、中性脂肪やコレステロールの増加は、エネルギーの摂り過ぎにも原因があります。そのため、食べ過ぎや飲み過ぎも大きな要因となります。
また、脂質異常症となるHDLコレステロールの減少は、喫煙や運動不足、肥満などバランスの悪い食生活が原因となって起こります。そのため、善玉コレステロールを減少させるような生活習慣を見直す必要があるのです。
- 高LDLコレステロール血症
肉類、乳製品などの動物性脂肪の多い食品、コレステロールの多い食品の摂り過ぎ、過食やカロリー過多が原因 - 高トリグリセライド血症(高中性脂肪血症)
慢性的なカロリー過多、過度の飲酒などによる中性脂肪の増加が原因 - 低HDLコレステロール血症
運動不足や肥満、喫煙、バランスの悪い食事などによるHDLコレステロール(善玉)の減少
血液中のコレステロールや中性脂肪が増えることによって、脂質異常症となります。そのため、脂質異常症を改善するには食習慣を見直すことが最も有効なのです。
「脂質異常症」を改善する食事とは?

飽和脂肪酸とコレステロールの多い食品の摂り過ぎは脂質異常症の原因となる
脂質異常は、体に良くない脂肪を摂り過ぎている状態です。そのため、飽和脂肪酸とコレステロールの摂取を控えることが大切です。
脂質の構成成分である脂肪酸には、「飽和脂肪酸」「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」の3種があります。このうち、過剰に摂取することでコレステロールなどの血中脂質を増加させるのが、“飽和脂肪酸”です。
- 飽和脂肪酸
- 一価不飽和脂肪酸
- 多価不飽和脂肪酸
⇒“飽和脂肪酸”
- 牛肉や豚肉の脂肪部分
- 鶏肉(もも肉、手羽)
- 肉の加工食品(ベーコン、ソーセージ、ロースハムなど)
- バター、チーズ、生クリームなど

野菜や果物を多く摂ることで、血圧の上昇や血中脂質の増加を抑える
代わりに、野菜や果物、大豆製品、海藻類などを多く摂るようにするといいでしょう。これらの食べ物には、血圧の上昇や血中脂質の増加を抑える作用があります。それによって動脈硬化の予防にもつながるのです。
- 野菜や果物
- 大豆製品
- 海藻類
そのためにも、現在の生活習慣を見直すことがとても大切なことなのです。