放っておくと危険!早朝高血圧になりやすいタイプとは?
高血圧には、あまり知られていませんがいくつかのタイプがあります。その中のひとつが「早朝高血圧」です。
健康診断や健診では正常血圧値でも、実際には早朝の血圧が高いというタイプです。
そして、この早朝高血圧はそのまま放っておくと、とても危険なタイプの高血圧でもあるのです。
目次
放っておくと怖い、早朝高血圧とは?

「早朝高血圧」は病院の健診などでは発見されにくい。
「早朝高血圧」は、健診などでは正常血圧値なのに、自宅で測定すると早朝の血圧値だけが高くなる症状です。これは、「逆白衣高血圧」または「仮面高血圧」とも同じタイプになります。
また、高血圧で降圧薬を飲んでいても、特に早朝の血圧が高くなる症状もあります。
- 健診などでは正常血圧値だが、実際には早朝の血圧値だけが高くなる症状
- 高血圧の人の中でも、特に早朝の血圧が高くなる症状
そのため、早朝高血圧は早期に発見し、治療することが重要となります。
早朝高血圧には、朝の目覚める前後に血圧が急上昇するタイプ(早朝上昇型)と、夜になっても血圧が下がらないまま緩やかに上昇するタイプ(夜間持続型)があります。
- 早朝上昇型(モーニング・サージ・タイプ)
朝の目覚める前後に血圧が急上昇するタイプ - 夜間持続型(持続タイプ)
夜の血圧が下がらないまま緩やかに上昇するタイプ
また、既に降圧薬を処方して飲んでいる人のうち、約50%以上が早朝高血圧であるという研究結果もあります。
そのため、高血圧と診断されていない人の中にも、早朝高血圧の人がかなりの割合で存在していると考えられるのです。
夜間持続型の早朝高血圧は、最も危険な高血圧

「夜間持続型」早朝高血圧は、心臓病や脳卒中などの発症率が高くなり危険な高血圧。
早朝高血圧でも夜間から高血圧が持続している「夜間持続型」は、高血圧でも最も危険なタイプです。それは、他の高血圧のタイプと比べると、心臓病や脳卒中などの血管病の発症率が2.8倍となり、高血圧全体の中でも一番血管病を招きやすいからです。
その理由は、夜になっても血圧が下がらず1日中血圧が高い状態が続き、血管に大変な圧力がかかり続けるためです。
高血圧で降圧薬を飲んでいても、前日に飲んだ薬の効果が寝ている間に切れて、早朝に血圧が急上昇する場合があります。そのため、突然死につながることもある危険な高血圧なのです。
早朝高血圧の人が避けたい起床時の行動
早朝高血圧は、早朝に起きやすい脳卒中などのリスクが高まるため、起床時の行動には十分注意する必要があります。
朝目覚めてもすぐに立ち上がらずに、しばらく布団の中で軽く手足を動かしたりして、全身の血行を良くしてから立ち上がるようにしましょう。
特に冬場など温度が下がる時期は、十分に体を温めてから起き上がるようにすることです。
- 目覚めて直ぐに布団から立ち上がる
- 冬場など寒い時期に、トイレに急いで行く
- 冷水での洗顔、炊事を始める
- 寒い浴室でのシャワーや、朝風呂に入る
早朝高血圧になる原因は?

早朝高血圧の原因は、血管内皮細胞の機能が低下にある。
血圧は一日の中でも常に変動しているものです。夜の睡眠時には自然と血圧が下がり、朝の目覚める前には除々に血圧は高くなるのが普通です。早朝になると、活動の準備をするために目覚めと共に血圧が上昇していきます。
このような血圧の変動は、自律神経がコントロールしています。日中は交感神経が活発になり、夜間になると副交感神経が優位に働くためです。
しかし、早朝高血圧の人は、この血圧を調整する機能が弱っている状態です。
正常な血圧の人の場合だと、血圧が高くなると内皮細胞から血管を広げる物質が出て、早朝でも血圧が上がり過ぎないように調整します。
早朝高血圧の場合には、この血管内皮細胞の機能が低下して、早朝の血圧上昇を抑えられなくなって起こる症状なのです。
血管内皮細胞の機能低下の原因は、動脈硬化にあります。動脈硬化があると、血管内皮細胞が傷ついて正常な働きができません。そのため、血管を拡張させる物質が十分に分泌されず、血圧調整がうまくできなくなるのです。
動脈硬化で血管内皮細胞の機能が低下し、血圧調整がうまくできない。
早朝高血圧になりやすいタイプ
早朝高血圧の原因となるのが、血管内皮細胞の機能の低下です。そして、この機能低下の原因となるのが、動脈硬化なのです。
そのため、動脈硬化をもつ人は、早朝高血圧になりやすいタイプということになります。
そこで、早朝高血圧の原因となる動脈硬化の判断目安としては、次のような要因があります。
- 高齢者
動脈硬化の危険因子で最も確実で大きいため。 - 既往歴
過去に、脳卒中や心筋梗塞を起こした人は、確実に動脈硬化症があるため。 - 動脈硬化症の臨床検査での数値が高い
- コレステロールなどの動脈硬化の危険因子がある
コレステロールなどの危険因子を複数有する場合、動脈硬化が確実に進行しているため。 - 臓器の機能障害がある
めまいやひどい物忘れ、視力・視界の低下、狭心症、不整脈、血尿、歩くと足が痛くなるなど、臓器の異常からくる症状がある場合。 - 上下の血圧に差がある
上と下の血圧値の差が大きい場合、動脈硬化の進行が考えられるため。 - 睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に10秒以上無呼吸状態が続く病気。40~70%に高血圧が合併し、夜間高血圧の原因のひとつ。
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 肥満
早朝高血圧を発見する方法は?

早朝高血圧の発見には、家庭血圧の測定が重要になる。
健診などでは発見されない早朝高血圧ですが、見分けるためには家庭での血圧測定が重要になります。
就寝前と早朝1時間以内の、1日2回の血圧を測定します。そして、それぞれの収縮期血圧の差が20mmHg 以上、2つあわせた平均が135mmHg 以上の場合、早朝高血圧と判断します。
高血圧で降圧薬を処方されて飲んでいる場合、夕食後に服用した薬の効果が早朝には切れる時間帯でもあります。そのため、起床時の血圧が135mmHg 以下であるかどうかを確認することが必要です。
- 就寝前と起床後1時間以内の、1日2回の血圧を測定する。
- それぞれの収縮期血圧の差が、20mmHg 以上の場合。
就寝前と起床後の収縮期血圧を合わせた平均が、135mmHg 以上の場合。
早朝高血圧を早期に発見して改善するためには?
「家庭血圧」が早朝高血圧を発見する第一歩
早朝高血圧を早期に発見するためには、毎日の家庭での血圧測定が重要になります。
家庭血圧を測定することは、早朝高血圧や白衣高血圧、逆白衣高血圧などの、病院などの健診では発見されない高血圧の早期発見につながるのです。
高血圧を治すための第一歩は、「家庭血圧」を測定することでもあります。
血圧の変動を管理する上でも、是非、家庭血圧の測定を習慣にするようにしましょう。
家庭血圧の正しい測り方については、こちらの記事で紹介しています。
早朝高血圧を改善するための生活習慣
また、早朝高血圧を改善するためには、血管内皮細胞の老化を進行させないことです。
そのためには、最も大きな要因となる動脈硬化を予防することが重要となりです。それには、動脈硬化の危険因子となる、生活習慣を改善する事が先決となります。
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 過食による肥満
- 塩分、糖質、脂質の多い偏った食生活
- 運動不足
- 睡眠不足(睡眠時無呼吸症候群)
- ストレスの蓄積
動脈硬化を改善する血液サラサラ効果

動脈硬化の改善には、血液をサラサラにする食事が効果的。
動脈硬化は、脂質や糖質などの摂り過ぎや過食によって、血液がドロドロになるのが大きな要因です。そのため、動脈硬化の予防や改善には、血液をサラサラにする食生活を心がけるようにするといいでしょう。
魚や大豆製品などの良質なタンパク質や、抗酸化作用の高い野菜などを多く食べることで、血管の老化予防につながります。
動脈硬化の改善に効果的な“血液をサラサラにする食べ物”については、こちらの記事をご覧下さい。
突然死の危険性がある早朝高血圧は、早期発見と治療することが重要になります。
そのためにも是非、家庭血圧を測る習慣と、動脈硬化を進行させない生活習慣を心がけて下さい。